2019.07.31 Jul
更新日時:2020.02.23 Sun
【投資家必見】太陽光発電の「定格出力」を勘違いしていませんか?
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みなさんは「定格出力」という言葉を聞いたことがありますか?
電化製品やエンジン機械などの仕様銘板には、必ずこの定格出力の数値が明記されています。当然、太陽光パネルやパワーコンディショナにも明記されており、それぞれの能力を知るうえでとても大事な情報です。
このページでは、太陽光発電設備に関する定格出力の基礎知識や、技術的な応用まで分かりやすく解説しています。
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目次
1.太陽光発電における「定格出力」の定義
定格出力という用語は「定格」と「出力」に分けられます。定格とは、メーカーや業界が定めた使用条件下での最大値または限度を指します。これを出力で表したものを、定格出力と呼びます。
つまり、定格出力とは「一定の条件下で使用した出力の最大値」ということです。電力ではW(ワット)もしくはkW(キロワット)が単位として用いられます。
(1)定格出力と最大出力は異なるため注意
よく定格出力と最大(最高)出力を混同してしまう方がいますが、定格出力と最大出力の違う点は、測定時に定める条件によって異なります。通常、定格出力を導く条件では、安全性や持続性が考慮されています。
一方の最大出力は、その機器がもつ瞬間的な最大の能力であり、定格出力のような条件下での測定値ではありません。
(2)太陽光パネルの定格出力について
それぞれの太陽光パネルに表記されている定格出力は、JISによって定められた下記の条件下での測定で得られた数値となっています。
①分光分布 〔エアマス(AM)1.5〕
太陽光が地上に届くまでの大気層の厚さを示す指数。地上に真上から太陽光が当たる場合にエアマスは1.0。エアマス1.5とは、42°の角度で地上に照射された時の指数。
②放射照度 〔1,000W/平方メートル〕
1平方メートルに1,000Wの照度とは、夏至の晴れた日中に相当する照度。
③モジュールの表面温度 〔25°C〕
太陽光パネル本体の表面温度。気温ではないので注意。気温が25°Cの場合、太陽光パネルの表面温度は約50~60°Cまで上昇する。
この3つの条件下で測定された出力値が、定格出力として公称されます。これらの測定条件は、JIS C8918で規定する「標準試験条件」と呼ばれ、世界共通の条件です。
(3)定格出力を超えて発電することはあるのか?
では、それぞれの太陽光パネルの銘板に表記されている定格出力を超えて発電、つまり電力が出力されることはあるのでしょうか?
実はこの質問、とても回答に困る質問なのです。なぜなら「ある」と「ない」、どちらともいえるからです。
①太陽光パネルが定格出力を超えて出力するケース
日本では、国内外のパネルメーカーを問わず、標準試験条件で測定されます。そして、測定で得られた公称最大出力のプラス・マイナス10%以内の商品であれば、出荷が許可されています。
しかし、ほぼ全てのメーカーが公称値を上回る商品を出荷しているため、最大でプラス10%の出力が期待できるという訳です。これが、定格出力を超えた出力が「ある」といえる理由です。
②太陽光パネルが定格出力を下回るケース
逆に「ない」といえる理由はこうです。定格出力を導く標準試験条件では、かなり理想的な環境下での測定条件が敷かれています。照射角度42°に加え、夏至の時期にあたる日照度やパネルの表面温度、どれをとっても実際に太陽光発電設備が置かれている環境とは、かけ離れている条件です。
そのため、一般的な発電所におけるパネル出力は、だいたい定格出力の約7割程度とされています。
2.太陽光パネルの出力を最大限に発揮させる条件や方法は?
太陽光パネルの仕様銘板に記載されている定格出力を100%発揮させるには、標準試験に見合う条件下でないと達成できません。
では、実際の環境下で、太陽光パネルが持つ能力を最大限に発揮させるには、どうすればよいでしょうか。
いくつかの有効な方法をご紹介していきます。
(1)太陽光パネルの表面をきれいに保つ
太陽光パネルの表面に土埃や花粉が堆積してしまうと、パネルの発電能力は極端に落ちてしまいます。酷い場合には、発電量が約10~20%も落ちてしまうことも珍しくありません。
雨水が洗い流してくれる程度ならさほど心配はありませんが、酷く汚れていると感じたら、早めに洗浄するように心がけましょう。
関連記事:太陽光発電のメンテナンスが義務に!費用の相場とメンテナンス時の注意点
(2)地表からの照り返しによるパネルの高温化を防ぐ
気温の上昇にともなって、太陽光パネルの温度が上がると発電効率は下がってきます。結晶シリコンの太陽光パネルの場合、本体の温度が1°C上昇するごとに約0.5%も発電量が低下します。そのため、地表からの照り返しによる温度上昇を防ぐ必要があります。
面倒な除草作業を免れようとして地表をアスファルトやコンクリートで覆ってしまうと、その結果、真夏日はその照り返しによって、相当な熱を帯びてしまう羽目になりかねません。地盤がしっかりと熱を吸収するように、自然の土壌を活かすほうが賢明といえるでしょう。
(3)適正な太陽光の入射角度で設置する
太陽光パネルの本体に、太陽の光が垂直に当たることで発電のパフォーマンスは最大限に発揮されます。しかし、日本には四季があり、その時期によって太陽からの入射角度も異なります。
例えば、夏至と冬至では、最大で40度以上も入射角度に差があり、そのたびに太陽光パネルの角度を変えることは容易ではありません。そのため、年間でのロスを最小限にとどめるパネルの設置角度は、20度前後とされています。
しかし、これはあくまで平均的な角度ですので、パネルを設置する場所に適した角度を、設計の段階で算定しなければなりません。
3.パワーコンディショナの定格出力について
太陽光パネルと同様に、パワーコンディショナにも定格出力があります。パワーコンディショナの役割りは、太陽光パネルが発電した直流電流を交流に変換し、出力した電力を受変電設備に送る「インバータ」のことです。
そのため、パワーコンディショナの定格出力とは、交流電流を出力する最大能力を示す値となります。一般的なパワーコンディショナの定格出力は、kWの単位で表します。
ちなみに、太陽光パネルから出力された電力量が、パワーコンディショナの定格出力を上回った場合、上回った分の電力はパワーコンディショナから出力されません。つまり、その分は無駄になるのです。
そのため、パワーコンディショナを選定する時は、太陽光パネルからの出力量を考慮して選定する必要があります。
4.太陽光発電の「パネル過積載」と「定格出力」の関係
近年では、太陽光発電設備の設計段階で「過積載」という手法が、ふんだんに採用されています。過積載という手法は、太陽光パネルの定格出力にある短所を補足する有効な手段といえます。
具体的な過積載の例をみてみましょう。
(1)太陽光発電における過積載の一例
定格出力が300Wの太陽光パネルを200枚設置すると、理論上の総出力(発電量)は60kWとなります。そこに、定格出力9.9kWのパワーコンディショナを6台設置するならば、当然、60kWの受け入れが可能なことは理解できます。
しかし、実際には太陽光パネルの出力は、定格出力の7割程度となるため、パワーコンディショナに大きな空き容量ができてしまうのです。
そこで、過積載という手法を用います。理論上で総出力が60kWの太陽光パネルを設置する場合に、定格出力が9.9kWのパワーコンディショナを4台設置。パワーコンディショナ1台に対して、太陽光パネル15kWを入力させます。
定格出力の値が15kWであれば、その値の7割は10kW弱となり、9.9kWを出力するパワーコンディショナの能力をフルに活かすことが可能です。
(2)パワーコンディショナを最大活用するために過積載は有効
夏至の晴天日には、太陽光パネルが公称値に近い発電量を出力するかも知れません。しかし、それも日中の数時間程度のこと。それよりも、パワーコンディショナの能力を最大限に活かして、太陽光パネルの定格出力が抱える短所を補うほうが賢明といえます。
また、パワーコンディショナの台数が6台から4台に減ることで、初期投資にも大きな差が出てきます。
このように、過積載を検討する場合には、ただ単に定格出力の倍数で算定するのではなく、総合的な見地から機器や台数の選定を行うことが求められるのです。
5.定格出力が高い太陽光パネルほど価格は高いのか?
太陽光パネルにおいて、定格出力は一定条件下での発電量を示すもの。では、定格出力が高い太陽光パネルは、低い太陽光パネルよりも必ず高価なのでしょうか。
当然かも知れませんが、同じメーカー内の製品では、定格出力が高いパネルほど価格も高く設定されていることがほとんどです。しかし、国内外の太陽光パネルメーカーで、主に流通している結晶系シリコンの太陽光パネルを比較すると、必ずしもそうではありません。
結晶系シリコンの太陽光パネルには、大きく分けて「多結晶パネル」と「単結晶パネル」があります。一般的に同じ定格出力でも、単結晶パネルのほうが多結晶パネルよりも価格は高くなります。
これは、太陽光を電力に変換する際の「変換効率」に差があるためです。公称されている定格出力が低いパネルでも、変換効率が高いパネルは価格が高くなります。要するに、設置面積が狭い場所でも、効率よく発電できる利点が価格に反映されているのです。
メーカーによって太陽光パネルの特性はさまざまです。単に価格や定格出力だけで選定せず、それぞれのパネルの特徴をリサーチして、しっかり比較検討することをおすすめします。
6.メーカーによるパネルの出力保証を比較してみました
それぞれのパネルメーカーは、製品の出荷前には必ず厳正な検査を行い、合格した製品のみを出荷することが義務付けられています。
しかし各メーカーは、万が一の場合に備えて、公称の定格出力を下回ったパネルを無償で修理および交換をするメーカー保証が付けられています。
パネルメーカーによる保証は主に以下の2つの保証があります。
(1)製品保証
メーカーによる検査を通過したにもかかわらず、何らかの原因でパネルに製造上の問題が確認された場合に適用される保証です。中には、運送会社による過失でパネルが損傷した場合でも、無償で交換に応じるメーカーもあります。
しかし、施工業者の過失による損傷では保証の対象とならないので、施工前の検品は重要です。基本的に、出荷前の段階で不良品だったと証明できなければ保証の対象とならないのが事実です。
(2)出力保証
メーカーによって定めた期間中に、公称の定格出力を下回った場合、無償で交換や修理を行う保証です。ほとんどのパネルメーカーが10〜20年間を保証期間として定めています。
ただし、メーカーの出力保証サービスを受けるには、そのパネルに欠陥があることを証明する必要があります。そのため、毎時の発電量を計測しデータとして記録していなければなりません。
また、パネルの出力は気象条件に大きく左右されるため、気温や日照度のデータの記録も必須となります。つまり、保証の対象となるかどうかを正常な運転状態と比較できるデータがなければ、認めてもらえないのです。
さらに、経年劣化による出力低下は、メーカーが唱えている低下の範囲であれば保証の対象にはなりません。ほとんどのメーカーでは、公称している定格出力の80%前後を保証対象の範囲として定めています。
①劣化による太陽光パネルの出力低下は高くても1%程度
通常の太陽光パネルは、1年に1%程度の出力低下が見込まれています。よって、20年で20%の低下となり、売電の期間内は保証対象となる出力低下に該当しない計算です。
しかし、太陽光パネルも他の電気機器と同様に、完全無欠ではありません。20年間の売電期間中に、何らかの理由で出力が異常に低下した際、すぐに保証の申請ができるように、日々のデータの管理はしっかり行いましょう。
(3)メーカー別でみる出力保証の内容
国内外の主な太陽光パネルメーカー別に、出力保証の内容を比較してみました。※カッコ内は保証出力値
メーカー別でみる出力保証の内容 | |
京セラ | 10年(81%) |
シャープ | 10年(81%) |
ソーラーフロンティア | 20年(76%) |
カナディアン・ソーラー | 25年(80.2%) |
インリー | 25年(単結晶 82%・多結晶 80.7%) |
トリナソーラー | 25年(単結晶 80.18%・多結晶 80.7%) |
ハンファQセルズ | 25年(82.6%) |
ハンファQセルズは上記の保証以外にも、日照時間が平均よりも下回った場合に1年間で最大50,000円の補償がされるサービスも付けられています。
このように、近年では競争激化によって、各社が独自の保証サービスを付与しています。
関連記事:太陽光発電で変換効率は重要?出力や発電量との関係まで徹底解説
7.定格出力は設備全体を構成する大切な情報のひとつ
太陽光発電設備にはパネルやパワーコンディショナに限らず、さまざまな機器によって構成されています。それぞれの仕様について知ることはもちろんですが、すべての機器がバランスよく構成されることも大事な設計要素といえます。
その中で、各機器の定格出力について理解しておくことは、設備全体の能力を把握することにも繋がります。
大きな初期投資をともなう太陽光投資だからこそ、少しでも多くのリターンが得られるよう、機器の仕様にも関心を持つように心がけることをおすすめします。
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