2019.06.29 Jun
更新日時:2019.09.13 Fri
太陽光発電に日陰は死活問題!日陰を回避する知恵のアレコレ
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日照条件の良し悪しが、太陽光投資の成功と失敗を左右することは、いわずと知れた事実。しかし、自身が運用する太陽光パネルに、どれほどの日陰がどの時間帯に落ちているかを知らないオーナーが意外にも多いのです。日陰は太陽光発電にとって死活問題。
ここでは、日陰がおよぼす発電への影響をはじめ、日陰による損失を回避する方法などを分かりやすく紹介します。これから太陽光投資を検討されている方は必読です。
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目次
1.太陽光発電を阻害する雨雲による日陰
太陽光パネルが最大限の能力を発揮するための条件は各メーカーによって定められており、厳正な認証テストを経て出荷されます。
しかし、実際に運転がはじまり毎時間の発電量を確認すると、そのパネルが持つ最大の能力が発揮される気象条件が揃うことは、1年を通して数えるほどしかありません。天候や気温、日照度などが好条件に恵まれることは、自然環境ではかなりシビアな現象なのです。
分かりやすい例を挙げてみましょう。
毎年6月頃になると、不安定な天候が続くことがよくあります。「昨日は朝から夕方まで晴天だったのに、今日は朝から雨雲が太陽光を遮ってどんよりしている」なんて日の発電量は、通常の10分の1もしくは、それ以下しかない可能性もあります。雨雲の影がパネル全体に落ちてしまうと、これほどまでに発電量が落ち込んでしまうのです。
しかし、太陽光という自然エネルギーを活かした発電システムである以上、人間が雨雲をコントロールすることは不可能です。とはいうものの、気象の変化によって起きる日陰は、年間のトータル発電量で見ると大きな影響を与えるわけではありません。そのため、さほど心配することはないのです。
もし、どうしても心配が拭えないというのであれば、発電設備の設置を予定している土地や地域における、過去の気象データを調査しておくと安心です。NEDOが公開している、全国各地の年間日射量のデータベースなどを参考にすると、太陽光投資に適している土地かどうかを判断するのに役立ちます。
2.日陰は発電量にどう影響するのか?
雨雲による大きな日陰がパネル全体にかかると、発電量が低下することは容易に想像がつくでしょう。では小さな日陰、例えば、パネル1枚のみに日陰が落ちた場合では、発電量に影響を与えないのでしょうか?
それについては、太陽光パネルが電力を生産するシステムを知ることで理解できます。
一般的な結晶シリコン型の太陽光パネルは、約15cm角の「セル」と呼ばれる半導体の板が直列で繋がっており、いくつかの系統(サブモジュール)で構成されています。単体のパネルで作られた電力は、複数のパネル同士が直列で繋がった「ストリング」で共有し、パワーコンディショナに入力されるのです。
このような仕組みから、日陰によってパネル1枚の発電を阻害してしまうと、ストリング全体に影響をおよぼしてしまうことが理解できます。
よって、部分的な日陰もしくは一時的な日陰であっても、発電システムの能力が十分に発揮されません。つまり、発電量の低下に繋がってしまうのです。
3.日陰が起きる原因と対策について
天候による日陰は防ぎようがないものの、天候以外の原因によって日陰がおきてしまうことがあります。これらは日常的に決まった時刻、もしくは常にパネルに日陰を落してしまうため、影が落ちている間は必ず発電量が下がってしまいます。
では、実際に多く見られる日陰が落ちてしまうケースをいくつか紹介しましょう。
(1)アレイの間隔が狭いために起きる日陰
複数枚の太陽光パネルを組み合わせ、架台に設置した単位を「アレイ」と呼び、投資用の太陽光発電設備では、複数のアレイで構成されています。
しかし、敷地面積に1枚でも多くのパネルを設置して発電量を稼ごうとするあまり、南北に設置されるアレイ同士の間隔を詰めすぎてしまい、日陰が干渉するケースが多く見られます。
特に太陽の位置が低くなる朝方や夕方、また冬至を境とする冬場などはパネルの影が長く伸びるため、北側のパネルに日陰を落としてしまうのです。
①日陰を干渉さないためのアレイ対策
日陰を干渉させないアレイ同士の間隔は、太陽光発電設備の設置地域の緯度やパネルの角度によって異なります。
一般的には設置場所となる各地域において、冬至の朝9時における影の長さを基本に、パネルの角度や高度を考慮してアレイ同士の間隔を決定します。間隔を決めるにあたり、決められた計算式はありますが、よほど物理や数学に強い人、もしくは建築設計に通じた人でない限り数値を導き出すのは困難です。
そのためオーナーは、設計士に対して日陰が干渉しないパネルレイアウトに設計されているか、必ず着工前に確認しておくことが大事です。
②設置枚数を増やすならパネルの角度は10~15度で
太陽光パネルの傾斜角度は、一般的に30度がよいとされています。
しかし、限られた土地の面積を最大限に有効活用し、パネルの設置枚数を増やすのであれば、傾斜角度を10~15度で設置することでアレイ同士の間隔を詰めることが可能です。
ただし、間隔を詰めすぎてしまうと、後の点検やメンテナンスの作業に支障をきたす場合があるので注意が必要です。また、寒冷地域では積雪による荷重超過の被害の恐れがあるため、傾斜角度を緩くすることは避けたほうがよいでしょう。
(2)森林などによる日陰
多くの場合、投資物件となる太陽光発電設備は、耕作放棄地や山林の麓などの土地を活用して設置されます。建設予定地に足を運んで一見すると、障害物もなく日当たりが良さそうな土地に見えるかも知れません。
しかし、その時に注意を払っておくことがあります。それは、東から南にかけて小高い森林の山が無いかということ。昼間は問題ないのですが、朝方の太陽光を遮る山があると発電が開始する時間に大きく影響してしまうからです。
夏至にあたる時期において、早い場所では朝4時過ぎには発電がスタートします。しかし、東側に森林や山があると、その規模によっては6時以降でないと発電しない恐れがあり、冬場となれば、なお遅くなることが予測できます。
現地の調査に足を運んだ際には、必ずそのあたりに注意してチェックをすることをおすすめします。
(3)電柱やフェンスによる日陰
よく目にする日陰の原因に、発電設備がある敷地内に建てられる電柱や、外柵フェンスがあります。
パネル全体を覆うような日陰ではないにしろ、上記でも述べたように、部分的にかかる日陰はストリングに影響を与えるため発電量の低下につながります。
①電柱は西から北側の位置に建てる
野立ての太陽光発電における低圧連係の場合、敷地内には1発電所につき必ず引込み用の電柱を1本立てる必要があります。
着工前には必ず設計士によって、パネルや電柱などの配置が示されたレイアウト図面がおこされます。この際に、電柱の位置が西から北側にかけて配置されているかを確認しておくことが必要です。
場合によっては、適正な位置に建てられない土地もあります。その際は、電柱による日陰が発電量にどの程度の影響をおよぼすのか、また収支シミュレーションに差異が生じないかなどについて、設計士に確認するとよいでしょう。
②外柵フェンスの高さと離隔距離に注意
太陽光発電施設には必ずといってよいほど、防犯上の理由から外柵フェンスが設けられています。
しかし、敷地の端いっぱいまでパネルを設置してしまうと、外柵フェンスの日陰がパネルを覆ってしまう恐れがあります。外柵フェンスの高さを踏まえた離隔距離をとり、パネルを設置しましょう。特に東西は要注意です。
(4)雑草や樹木による日陰
6月の中旬にさしかかると、敷地内には様々な種類の雑草が生い茂るようになります。中には、人間の背の高さほどにも成長する雑草もあり、注意が必要です。
パネルの最下段は地表から1m未満に設置されていることが多く、伸びた雑草が日陰を落としてしまうことが容易に予想できます。至近距離から覆われてできる日陰は、発電量に大きく影響するため、時期や状況を見計らって除草することが大切です。
また、近接する場所の樹木に葉が生い茂ると、思いのほか大きな日陰がパネルに落ちる場合があります。冬場は分かりづらいため、対策が後手になりがちですが、購入検討時の段階で確認しておけば、先行して対策を打つことができます。
4.日陰とホットスポットの違いについて
太陽光発電について色々と調べると「ホットスポット」という言葉を目にするかも知れません。
ホットスポットは直訳のとおり、太陽光パネルの一部分が熱を帯びることで発電障害を起こす現象のことです。パネル内部の異常から発生することもありますが、主に枯葉や鳥の糞などの外的要因によって発生します。
パネルの一部分に太陽光を遮る障害物が常にあることで、直列で繋がったセル同士に電流が流れにくくなってしまい、抵抗が生じて高熱が発生するのです。
常識的に考えると、日陰は太陽の動きに合わせて移動するため、常に太陽光を遮る障害物とは捉えず、日陰によるホットスポットは発生しないとされています。しかし、パネルの一部分に電柱の日陰が常に落ちていた発電設備で、ホットスポットに似た現象が起きたという事例もあります。
関連記事:ホットスポットが太陽光施設に与える問題とは?どうすれば事故を阻止できるの?
5.どうしても日陰が避けられない場合のストリング対策
日陰による発電量への影響は理解できても、土地の条件次第では、決まった時刻に必ず日陰が落ちてしまう場合があります。しかし、そのような場合でも発電量への影響を最小限にとどめる手法があるのをご存知でしょうか?
ここでは、どうしても日陰が避けられない場合に有効な手法について解説します。
前にも述べましたが、複数枚のパネルはそれぞれ直列のストリングと呼ばれるグループで構成されています。そのため、パネルの1部に日陰がかかってしまうと、そのパネルが含まれるストリングの発電量に影響を与えてしまいます。
このシステムの原理を利用して、日陰による損失を最小限にとどめようという事なのです。つまり、日陰が落ちる部分のパネルを考慮してストリングを構成し、余計な損失を防ごうとする裏技なのです。
例えば、上図のように夕刻になると必ず右のパネル列に日陰が落ちるとします。その場合に①のストリング構成では、ABCすべてのストリングの発電量に影響を与えてしまいます。
しかし、②のようにストリングを構成していれば、Cのストリングのみに影響を与えるだけで済むというわけです。土地の条件によっては日陰が避けられない場合などに有効な手法といえます。
6.隣接地との日照権トラブルを回避する方法
「太陽光発電設備を設置した時点では、周囲に日陰の原因となる障害物が何もなかったが、数年後、南側の隣地に建物が建設されてパネルに日陰ができてしまった」
起きては困りますが、これは実際にあった話です。所有権がない隣地に発電の障害物ができても、大きな声でクレームがつけられません。
このような事態を招かないためにも、事前調査の段階で、将来、発電の障害となる建物などが建設されないか、植林がされないかなどの見込みをつけておくとよいでしょう。可能であれば、隣地の地権者と直接コンタクトをとり、事情を理解してもらったうえで、合意書を交わしておくと安心です。
発電施設に隣接する土地の地権者と良好な関係を保つことも、日陰トラブルの回避術と覚えておきましょう。
7.「土地探し」は「日陰探し」と心得てしっかりリサーチしましょう
太陽光パネルに落ちる日陰は、大なり小なり発電量に影響を与えてしまいます。
昼間に一見すると、何ら問題がなさそうな土地であっても、朝夕や季節によって違う表情をみせるものです。案外、土地のリサーチの段階で日陰のことは忘れがちになります。
土地の調査に足を運んだ際は、必ず日陰のことを念頭において周辺をしっかりリサーチするようにしましょう。
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