2019.08.27 Aug
更新日時:2019.11.08 Fri
野立て太陽光にかかる税金は?投資をするなら税金の仕組みを理解すべし
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近年、資産運用の一環として、野立て太陽光発電により売電収入を得る投資方法が注目されています。
収益率を少しでも高くするためには、節税対策が不可欠です。そのため、野立て太陽光発電で投資を行うのであれば、どのような税金がかかるのか正確に把握しておくことが大切です。課税対象が何なのか、状況に応じて税率はどのように変るのかが分かれば、今後の節税対策を検討することができます。
今回は、野立て太陽光発電にかかる税金や節税対策を解説していきます。
目次
1.野立て太陽光発電にかかる税金
野立て太陽光発電に限らず、投資を行うのであれば利回りは少しでも高い方がよいと思うものです。しかし、何の対策もしないままであれば、利益アップに比例して課せられる税額も増えてしまいます。
そのため、経費や税金を差し引いたあとの利益率である「実質利回り」は、思うように伸びないケースが多々あるのです。こういった問題を解消して少しでも実質利回りを高めるためには、節税対策を施して課税金額を最小限に抑えるほかありません。
まずは太陽光発電にかかる税金には、どのような種類があるのかを確認しておきましょう。
(1)野立て太陽光発電にかかる税金の種類
太陽光発電にかかる主な税金には、以下の3つがあります。
主な税金の種類 |
固定資産税 |
所得税(法人の場合は法人税) |
住民税 |
※土地を太陽光設備と同時に購入した方は、上記に加えて不動産取得税がかかります。その他、法人化にする際には法人登録免許税が課税されます。
それぞれ詳しく解説していきます。
2.野立て太陽光発電の固定資産税とは?
太陽光発電にかかる税金で、継続的に大きな負担となるのが固定資産税です。ただし、すべてのケースにおいて太陽光発電所が固定資産税の対象になるわけではありません。
結論からいえば、事業と見なされる10kW以上の産業用太陽光発電は、原則として固定資産税の対象となります。自宅で電気を使うために設置した、10kW以下の住宅用太陽光発電は固定資産税の対象外です。
つまり、10kW以上の産業用太陽光発電が主流である野立て太陽光発電は、必然的に固定資産税の対象となります。
(1)野立て太陽光発電における固定資産税の仕組みを解説
では、そもそも固定資産税とはどのような仕組みになっているのか、どのような場合に発生するものかを解説していきます。
①固定資産税とは?
固定資産税とは、原則として毎年1月1日の時点で所有する土地や建物などの固定資産に対して課せられる税金です。市区町村が定める規定に沿って課税額が決定されています。土地や建物だけでなく、車や機械、設備や器具など幅広いものが対象とされています。
固定資産は、有形固定資産と無形固定資産の大きく2つに分類されています。
②有形固定資産とは?
有形固定資産は土地、建物、設備など目に見えるもの、形のある資産を指します。
③無形固定資産とは?
無形固定資産は使用権、特許権、借地権など、目に見えない実体のない権利や許可を指します。
このうち、太陽光発電設備は固定資産の有形固定資産に該当します。従って、野立て太陽光発電設備を所有する限り、原則として固定資産を支払う義務が発生するのです。
(2)野立て太陽光発電における固定資産税の計算方法
では、固定資産税とはどのように計算されているのでしょうか。
太陽光発電では、法定耐用年数として17年が適用されるため、以下のような基準で各年の固定資産税額を求めていきます。
評価額(固定資産税対象額)の求め方 | 固定資産税額 | |
1年目 | 評価額=発電施設の導入費用×(1-0.064) | 評価額×1.4% |
2~17年目 | 評価額=前年度の評価額×(1-0.127) | 評価額×1.4% |
当メディアのスマエネに掲載されている物件は、評価額(固定資産税対象額)が表示されており、固定資産税額も記載されていますが、ここではどのように計算していくのか実演していきます。
上記の物件は、個人投資家から好まれやすい低圧の太陽光発電所です。
実際に支払う固定資産税額は、資料の赤枠内にある「固定資産税対象額」を基準にして計算していきます。これを先ほどの「1年目」と「2~17年目」の計算式に当てはめていきましょう。
年数 | 固定資産税額 |
1年目 | 1,879万4,880円×1.4%=26万3,128円 |
2年目 | 1,640万7,930円×1.4%=22万9,711円 |
3年目 | 1,432万4,123円×1.4%=20万538円 |
・
・ ・ |
n年度の固定資産税対象額×1.4%=n年度の固定資産税 |
いかがでしょうか?実際の計算は、このように容易です。
スマエネの「物件を探す」に掲載している物件情報では、運用にかかる具体的なコスト・収入をシミュレーションシートにまとめて、どれほど利益を得られるのか解説しています。
希望する価格・利回り・立地を入力するだけで、理想に近い物件をピックアップできるので、本記事とあわせてご参照ください。
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3.野立て太陽光発電における所得税と法人税
それでは、次に野立て太陽光発電における、所得税と法人税の仕組みについて解説していきます。所得税や法人税は、太陽光発電の売電収入にかかる税金です。個人で太陽光投資を行う方は所得税、法人で行う方は法人税の課税対象となります。
それぞれの税金の仕組みと計算方法を見ていきましょう。
(1)野立て太陽光発電における所得税の仕組み・計算方法
野立て太陽光発電は、基本的に売電収入を得るための事業として見なされます。そのため、個人であっても事業所得となり所得税の申告が必要です。
所得税は諸経費を差し引いて得られる所得が、課税所得と呼ばれ課税対象となります。なお、38万円の基礎控除がありますので、売電収入が38万円以下であれば申告は不要です。
①所得税の税率
所得税の税率は、所得額に応じて最大で45%まで設定されています。国税庁の公式ページから税率表を確認できます。
出所:国税庁
これを見れば分かるように、多くの収入を得るほど税率は高くなります。900万円の収入を得ても、300万円ほど税金として納めなければならないのです。
(2)法人税の仕組みと計算方法
法人として太陽光発電投資を行う場合、売電収入の所得区分は事業所得になり、法人税の課税対象となります。法人税は個人でいうところの所得税にあたる税金です。
法人税の税率は800万円の事業所得を基準に、税率が区分されています。
課税される所得金額 | 法人税率 |
800万円以下 | 19%(15%) |
800万円超 | 23.2% |
※ 括弧書の税率は、令和元年3月31日までに開始した事業年度にのみ適用されます。
上限が45%である所得税率とは異なり、税率は23.2%が上限となっているため、所得が増えるほど法人税の方が負担は小さくなります。こういった仕組みがあることから、収入が最終的に年間1,000万円ほどになる見込みであれば、法人化する投資家も多いです。
①消費税を納付しなければならない場合もある
前年度の課税売上高が1,000万円を超える個人事業主や法人は、消費税の納税義務が発生してしまいます。また、前年度の課税売上高が1,000万円未満であっても、特定期間における課税売上高が1,000万円を超えた場合は消費税を納付しなければなりません。
所得税や法人税以外に、このような負担があることも覚えておいてください。
関連記事:どこから太陽光発電に確定申告が必要なの?経費計上〜確定申告まで解説
4.野立て太陽光発電における住民税
野立て太陽光発電における、主な税金の3つ目は住民税です。個人でも法人でも、市県民税が所得額に応じて課税されます。
(1)住民税の仕組み
住民税は個人に課税される個人住民税と、法人に課税される法人住民税があり、一般的に県民税(都道府県)と市民税(市区町村)の2つを合わせた税金となります。
(2)住民税の計算方法
住民税の計算方法は、前年度の所得額(事業所得)が基盤となって計算されています。
個人住民税 | 「道府県民税+市町村民税」で求められる税額 |
法人住民税 | 「法人税割+均等割」で求められる税額 |
上記のうち「法人税割」は、法人税額に住民税率をかけた税額です。これに法人の資本金を基準に規定される「均等割」を足し合わせることで、法人住民税が計算できます。
ただし、これらは計算に複雑な公式をもちいるため、シミュレーションの利用をおすすめします。
個人住民税 | 「住民税の自動計算サイト」 |
法人住民税 | 長谷税務会計事務所「法人税計算シミュレーション」 |
法人税割の算出に必要な住民税率、および均等割は自治体・年度により変更されるため、最新の規定に対応しているか確認してから利用してください。
5.野立て太陽光発電における節税対策
野立て太陽光発電にかかる主な税金は、固定資産税、所得税・法人税、そして住民税の3つがかかることがわかりました。
課税所得が大きくなり、課税額が高くなればなるほど、最終的な実質利回りは低下してしまいます。安定した高い利回りを持続させるためには、これら3つの税金に対する節税対策が欠かせません。
野立て太陽光発電では、どのような節税対策が考えられるのかをご紹介していきます。
(1)個人か法人か
まず、投資を行ううえで個人、法人とどちらが税制上で有利なのかを検討しておく必要があります。個人、法人で大きな差が出るのが売電所得にかかる所得税や法人税です。
個人では38万円以下の所得は申告の不要で、所得額に応じて控除できることが魅力となります。ただし、個人の場合は所得額が大きくなれば、最大で45%が課税されるというデメリットがあります。
1,000万円の所得を超える際には、法人化にすることで税率を最小限に抑えることが可能です。
①青色申告で節税
さらに青色申告か白色申告かによっても、適用される税額の軽減措置が大きく異なってきます。青色申告であれば、「青色申告特別控除」と呼ばれる大きな控除を受けられるため、基本的には利用すべきです。
現在は、白色申告も青色申告と同程度の記帳を求められるので、青色申告を選ぶことをおすすめします。
(2)必要経費はきちんと申告する
太陽光発電の事業売上に必要だった出費は、ほとんどが必要経費として認められます。メンテナンス業者への依頼料や除草剤、周辺機器の交換費用などがこれに当たる出費です。
太陽光発電にかかる出費は高額なものが多く、これらを申告するか否かで課税所得は大きく変わってしまいます。「課税所得=売上-諸経費」となるため、税理士に相談してできる限り多くの出費を、必要経費として適切に申告できるかが節税効果に影響します。
(3)納税の遅れやペナルティにも注意
また、税金は期限までに申告をしなかったり、納付が遅れたりすることで課税額が追加される場合があるので注意しましょう。
ペナルティとして追加される税金のことを付帯税といい、付帯税には3種類あります。
①無申告や過少申告により課せられる「加算税」
確定申告が必要にもかかわらず申告しなかった場合、本来申告すべき金額に納付額が足りなかった場合は、ペナルティとして加算税を支払わなければなりません。本来納付すべきだった金額、過去の納付状況に応じて5〜20%の税金が課せられます。
無申告加算税(申告しなかった場合) | |
納税額が50万円未満である場合 | ペナルティとして15%の増税 |
納税額が50万円以上である場合 | ペナルティとして20%の増税 |
出所:国税庁「確定申告を忘れたとき」
過少申告加算税(納付額が足りなかった場合) | |
更生の予知前 | ペナルティとして5%の増税 |
更生の予知後 | ペナルティとして10%の増税 |
出所:国税庁「確定申告を間違えたとき」
また悪意ある無申告、過少申告に対しては、これに加えてさらに「重加算税」と呼ばれるペナルティが課せられるため注意しましょう。
②確定申告が遅れた日数により課せられる「延滞税」
支払いが遅れた場合は、延滞税が課せられます。これは無申告加算税や過少申告加算税のように分かりやすい基準はなく、以下のような規定に従い完納までの日数により変動します。
③納期限の翌日から2ヶ月が経過するまで
出所:国税庁「延滞税について」
④納期限の翌日から2ヶ月が経過したあと
出所:国税庁「延滞税について」
⑤納付期限を手続きで伸ばした際に課せられる「利子税」
納付が遅れることをあらかじめ告知している場合は延滞税はかからず、日割り計算による利息が課税されます。
6.節税意識が野立て太陽光発電を成功させるポイント
太陽光発電は売電収入を得て利益を出していく投資方法であるため、ともすると売電量だけに注視してしまいがちです。確かに、収益率は売電量に大きく左右されるのは事実で、いかに土地や設備を選ぶかが重要になります。
そこで、一旦設備を設置した後は天候や日照時間次第となり、自身でとれる対策はないかのように思えてしまうものです。しかし、必要経費をきちんと計上して節税を行うことで、最終的な収益を大きく変えることが可能です。節税できる金額が多ければ収益率も高くなり、安定した高利回りが実現できます。
可能な限り節税をしていくのだという意識が、野立て太陽光発電を成功させる重要なポイントとなるでしょう。
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