2019.02.15 Feb
更新日時:2019.09.15 Sun
ステップバイステップで解説!太陽光投資のシミュレーションのやり方とは?
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投資用に太陽光発電システムを導入するにあたり、必ずやっておきたいのが太陽光投資シミュレーションです。
太陽光にかぎらず、投資の際は「実際に投資をした場合、どのくらいの利益が出るのか」をシミュレートしておくのが基本中の基本。 ぶっつけ本番で投資をしてしまうと、思ったように利益が上がらず、最悪の場合大きな損を出してしまうおそれがあるからです。 特に太陽光発電の場合、初期投資額は決して少なくありませんので、投資前の入念なシミュレーションは、最低限必要な作業といえるでしょう。
ここでは、太陽光投資シミュレーションのやり方について解説します。
目次
1.太陽光投資シミュレーションの主な方法は4種類!それぞれ信頼性は異なる
太陽光投資のシミュレーション結果を得る方法は、大きくわけて4つです。まずはそれぞれの内容を説明しつつ、おすすめのシミュレーション方法を紹介します。
(1)実際より低い数値の可能性があるパネルメーカーのシミュレーション
太陽光発電パネルのメーカーは、自社製品の性能をチェックするために、太陽光発電システムを設置した際にどのくらい発電できるのかを計算できるシミュレーターを用意しています。
使用するシミュレーターは各社が独自に導入していますが、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のツールに準拠したものが大半。 そのため、改ざんの可能性は低いものの、シミュレーターの結果よりも発電量が低かった場合に利用者からクレームがくるおそれがあるため、実測値より低めの数値を記載しているケースが多数見受けられます。
製品仕様に記載されている数値より多い発電量が期待できるともいえますが、正確な値を知りたい場合の判断材料としてはやや心もとないところがあります。
(2)太陽光発電システム設置業者のシミュレーションには注意が必要!
太陽光発電システムは業者に設置を依頼しますが、導入について相談すると、たいていの業者は独自のシミュレーション結果をもとに説明してくれます。
専門業者が調べたものだから正確だろうと思ってしまいがちですが、実は最も注意が必要なのがこちらの情報源。 基本的にはNEDOのシステムをもとに算出したシステム効率を、より現実的な数値に修正したものを提示したり、業務用太陽光発電システムの販促ツールについているシミュレーションを利用したりするケースがほとんどです。
しかし、中には顧客を得るために、意図的に高い数値を採用しているところも。 特に多いのは、晴天が多かった年の実績を採用するケース。太陽光発電の発電量は日射量にほぼ比例するため、天候が良かった年は平均より最大で2割くらい多くなることがあります。
ただ、毎年天候の良い状態が続くわけもなく、通常はそれより低い発電量で終わってしまうことがほとんどです。そのため、最大値のデータをもとに投資してしまうと、たいていの年で期待値を下回ってしまい、思ったような利益を上げられない可能性が高くなります。
もし設置業者がオリジナルのシミュレーションを提示してきたら、どのような条件下で採ったデータなのか、その根拠を必ず教えてもらうようにしましょう。
関連記事:【初心者必見】太陽光発電投資の失敗しないために注意すべきポイント
(3)専用ソフトによるシミュレーションはソフトを使いこなすのが大変
世界的に太陽光発電システムが普及している現代、太陽光発電専用のシミュレーションソフトも開発されるようになりました。さすが専用ソフトだけあって精度は非常に高く、一部の太陽光パネルメーカーや太陽光システム設置業者が自社製品の性能をアピールするために導入しているケースもあります。
こちらの専用ソフトは個人でも購入・利用することができますが、専用性が高いソフトなので、使いこなすにはかなりの時間と労力が必要です。
ソフトによっては専門のトレーニングを受けなければならないため、「本格的に太陽光発電のシミュレーションを学習したい」というわけではないなら、あまり現実的な方法とは言えません。
(4)自分でシミュレーションを行うのが最も信頼性の高い方法
ここまでいろいろなシミュレーション方法を紹介してきましたが、自分でシミュレーションを行うことが最も信頼性が高く、かつ実測値に近いデータを得られる方法といえます。
まず自分でシミュレーションする場合、当然ながらデータ改ざんのおそれはないので信頼性に問題はありません。データの精度については専用ソフトには劣るものの、気象データを利用したシミュレーションを行えば、現実的なデータを入手することが可能です。
もちろん、パネルメーカーや設置業者が提示しているシミュレーションデータを参考にすることもよいでしょう。ですが、それを鵜呑みにするのではなく、自分でもシミュレーションすることで、投資失敗のリスクを軽減させられます。
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2.自分で太陽光投資シミュレーションを行う2つの方法
お伝えしたとおり、自分でもシミュレーションを行うことが、太陽光投資失敗のリスク軽減につながります。ですが、自分で太陽光投資シミュレーションを行うにはどうすればよいのでしょうか?
以下では代表的な2種類の方法をご紹介します。
(1)日射量データベースを使った計算方法
太陽光を含む省エネルギーや新エネルギーの開発および実証研究に取り組んでいるNEDOの公式サイトでは、全国各地の日射量がわかるデータベースが公開されています。 すでに触れたとおり、太陽光発電の発電量は日射量にほぼ比例するので、設置予定の土地の日射量を調べることで、おおよその売電収入の見込みをつけることが可能です。
一例として、東京で60kWの太陽光パネルを真南に傾斜角20度で設置した場合の日射量を調べる手順をまとめてみました。
①NEDO公式サイトにアクセスする
NEDOの公式サイトにアクセスし、左側にあるメニューから「NEDOライブラリ」を選択します。さらに、「資料」のカテゴリから「データベース/ツール」を選択した後、「太陽光」のカテゴリにある「日射量データベース」にアクセスします。
②日射量データベースにアクセスする
日射量データベースには、ファイルをダウンロードせずにWEB上で直接操作するWEB版とダウンロード版の2種類がありますが、こちらはお好みで選んでOKです。(ここではWEB版で説明します)
閲覧システムには、各時間の方位角別、傾斜角別の日射量を算出できるMETPV-11と、方位角別、傾斜角別の月間総日射量をチェックできるMONSOLA-11、日射量データを日本地図上にマップ化した全国日射量マップの3種類がラインナップされています。
このうちMETPV-11はどちらかというと太陽光発電パネルの方位角別、傾斜角別の発電量の推定に適しているため、年間・月間の推定発電量を知りたい場合はMONSOLA-11の利用がおすすめです。
③対象エリアを選び日射量を調べる
システムにアクセスすると、中央に全国地図が。右側にエリア一覧が表示されます。まずエリアから「東京都」を選択すると、「地点」の欄にさらに細分化された地域が表示されます。
今回は「東京」を選択し、下部にある「この地点のグラフを表示」ボタンを押します。 すると月別の日射量グラフが方位角ごとに表示されます。方位角は真南を0度、真北を180度とし、0~180度まで15度刻みとなります。
デフォルトでは「月指定」のデータが表示されていますが、今回調べるのはパネルを真南に傾斜角20度で設置した場合の日射量ですので、左上の「表示データ選択」で「角度指定」を選び、「角度指定データの表示種類」のうち、「傾斜角指定」を「20」に合わせます。
さらにグラフの下にある「方位角」のうち、「0度」以外の項目のチェックをすべてはずします。すると月別および平均、そして季節別の斜面日射量グラフが表示されます。平均値を調べると3.67kWh/㎡の表示。これで東京都・東京地域の1日の日射量がわかりました。
④年間日射量から年間発電量および年間売電収入見込みを計算する
発電量は日射量に比例すると説明しましたが、単純に日射量=発電量となるわけではありません。 太陽光発電システムで作り出した電気はそのままの状態では電力として活用できないため、パワーコンディショナーを介して直流から交流に変換する必要があります。 その際、いくらかの電力ロスが発生します。
これを「損失係数」といい、パワーコンディショナーによる変換以外にも、太陽光パネルの温度上昇やパネルの汚れによるロスもあります。 そのため、個々の損失係数を細かく算出することはできないのですが、NEDOでは損失係数を0.65~0.8程度としています。 間を取って約0.73とすることが多いのですが、年間発電量を計算するにはこの損失係数も考慮に入れなければなりません。
直流端の年間発電量の求め方は、以下のようになります。
「年間発電量(kWh)=システム定格出力(kW)×日射量(kWh/㎡)×365日×損失係数(k)」
これに今回の条件を当てはめると、年間発電量の数値が算出されます。
「60kWh×3.67kWh/㎡×365日×0.73=58,672kWh(小数点以下切り捨て)」
これに売電価格を掛けたものが年間売電収入の見込み額となりますが、売電価格は年度や太陽光発電システムの規模によって異なります。
10kW以上2,000kW未満の非住宅用太陽光については2018年度の買取価格が18円+税となっていますので、先ほど計算した年間発電量と合わせて計算すると、年間売電収入がわかります。 「58,672kWh×18円=105万6,096円(税抜)」
これから太陽光投資を始める場合は、この数値をもとにしてどれだけの収益が見込めるかどうか計算するとよいでしょう。
(2)資源エネルギー庁の発電量シミュレーターを活用する
経済産業省管轄の資源エネルギー庁は、太陽光発電新技術等フィールドテスト事業に関するポータルサイト「おひさまパワー!太陽光発電」を開設しています。 その中で太陽光発電導入を検討する際に役立つツールとして「発電量シミュレーター」を提供しており、一般人でも簡単に太陽光発電システムの発電量をシミュレーションできるようになっています。
ここからは、その発電量シミュレーターの使い方について説明します。
①発電量シミュレーターをダウンロードする
資源エネルギー庁の公式サイトにアクセスし、トップページ下部にある「制作について」のカテゴリ内にある「省エネルギー・新エネルギー」にアクセスします。 ページ中ほどにある「新エネルギー政策について」の下部にある「おひさまパワー!太陽光発電」にアクセス。トップページに「発電量シミュレーター」があります。
発電量シミュレーターはエクセルファイル形式なので、ダウンロードして使用します。
②設置条件を入力する
エクセルを開いたら、まず「設置条件入力」のページに必要事項を入力します。 設置地域や設置形態、設置方位等、太陽電池の種類などを入力しますが、発電量の試算だけなら設置地域・設置形態・設置方位等の3項目だけでOK。
設置形態については「屋根置き」「建材一体型」「陸屋根架台設置」「地上架台設置」などから選べます。ここでは先ほど年間売電収入見込みを計算したときの条件に加え、「地上架台設置」を選択してみました。 条件を入力したら「発電量試算実行」を押します。
③発電量試算結果をチェック
自動的に発電量試算結果に切り替わり、年間推定発電量が表示されます。今回の条件下では「58,460kWh」と出ました。NEDOの日射量データから算出した年間発電量とほぼ変わらない数値になったことがわかります。
ただ、こちらの方は設置条件を入力するだけですし、設置形態も加えるぶん、より精度の高い計算結果が期待できます。提供元も資源エネルギー庁なので、特定の事業者との利害関係はなく、安心して使える便利ツールといえるでしょう。
とはいえ、この方法だと設置地域の日射量はわからないので、一度はNEDOの日射量データベースを活用して太陽光発電システムを設置する場所の条件を確かめておくことをおすすめします。
3.太陽光投資にかかるコストを調べることも重要
太陽光投資を始めるにあたり、まず目標とするのが太陽光発電システムの導入・設置にかかる初期費用を売電でペイすること。
その結果、手元に残るおおよその利益もシミュレーションしておきましょう。
太陽光パネルの価格はメーカーや製品によって異なるので一概には言えませんが、資源エネルギー庁がまとめた資料によると、太陽光発電の規模別のシステム費用は以下のとおりとなっています。
太陽光投資における規模別のシステム費用 | |
10~50kW未満 | 32.7万/kW |
50~500kW未満 | 30.0万円/kW |
500~1,000kW未満 | 29.5万円/kW |
1,000kW以上 | 28.7万円/kW |
先ほどの例に当てはめてみると、システム規模は60kWですので、システム費用は30.0万円/kW×60kWで1,800万円となります。
一方、年間の売電収入の見込み額は105万6,096円(税抜)。太陽光発電のシステム規模が10kW以上の場合、固定価格買取制度の適用期間は20年間に設定されているので、調達期間中の売電収入は「105万6,096円×20年間=2,112万1,920円」となります。よって、この20年の粗利はおよそ300万円となる計算です。
これに加え、国が太陽光発電システム普及促進のために導入している補助金などの公的支援制度を利用すれば、初期費用はさらに短期間で回収できるでしょう。
4.太陽光投資をするなら事前の入念なシミュレーションが不可欠
太陽光投資によって得られる利益や初期費用は、設置する地域やパネルの種類、数などによって大きく異なります。
太陽光に関する知識が少ないと太陽光発電システムの設置業者が持参したデータをもとにシミュレーションしてしまいがちですが、業者によっては最良の条件下で実測したデータしか提示しないケースもあります。 もちろん誠実な業者もありますが、自分で投資を始める以上は他人任せにせず、自身で日射量データなどを調べてシミュレーションすることも大事です。
シミュレーションツールを利用すれば簡単に計算することも可能なので、太陽光投資を始めるのなら、シミュレーションは必ず行うようにしましょう。
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