2021.06.22 Jun
更新日時:2021.06.22 Tue
【投資家が解説】2021年から太陽光発電投資を始めるリスクとは
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太陽光発電投資は、国策として「再生可能エネルギーを普及」させる目的で始まった固定価格買取制度により「20年間」という長期にわたり安定的に利益を生み出せる投資方法です。
しかしながら、太陽光発電がある程度普及したことにより、毎年固定価格買取単価が引き下げられてしまいました。
同時に、三大都市圏(東京・大阪・愛知の近県)以外では、再生可能エネルギー(太陽光発電)での電力の供給が需要を超える状況となってきています。特に太陽光発電は日光がある限り自動的に発電するため、発電量をコントロールできないからです。
時代の変革期である2021年現在、太陽光発電投資を始めるにあたって考慮しなければならないリスクを「太陽光投資家の目線」で徹底解説します。
目次
1.【投資家目線】2021年:太陽光発電投資で想定される11のリスク
太陽光発電は、冒頭でも触れた通り、国策で始まったビジネス・投資になります。
国が買取価格を20年間保証しているので、20年間の利益が保証されているビジネスとして注目を浴び、広がっていきました。
しかしながら、時代が進み、いろんな問題点が表面化してきたことで、国において様々な対策が取られてきています。
では、国においてどのような対策が取られ、2021年以降の太陽光発電投資のリスクとなってきているか?また、その他の考えうるリスクも踏まえ11のリスクを整理していきたいと思います。
〇想定される11のリスク
- 地方都市における出力抑制が年々増大
- 太陽光発電廃棄料金の積立義務化
- 事故の報告義務化
- 電圧上昇抑制
- 年間キャッシュフローがマイナス
- 良物件減少による日照悪化
- 自然災害と保険料増加
- シミュレーション過大物件
- 銅やアルミ価格の上昇
- メーカー倒産・撤退 田淵
- 住宅とのトラブル
以上の11のリスクについて解説していきます。
一般的な太陽光発電投資のリスクはこちらをご覧ください。
関連記事:太陽光発電投資は危険?失敗リスクを高める6つのデメリットの対処法
2.太陽光発電投資の11のリスクの解説
(1)地方都市における出力抑制が年々増大するリスク
冒頭でお伝えしたとおり、地方都市において電力供給が需要を上回ることによって、出力抑制(発電した電力の買取制限)のリスクが年々高まってきています。
関連記事:太陽光発電の出力抑制のルールはいくつあるの?実施実績と軽減方法も一緒に解説
では、このリスクはいきなり顕在化したかといえば、そうではありません。
FIT認定(太陽光発電設備の設備認定)時から出力抑制のあり・なしは、国が公開していますし、なぜ出力抑制される地域とされない地域があるのか、地域特性を考えるとよく理解できます。
それは、東京、名古屋、大阪といった人口が増加し、経済活動も活発である三大都市圏(参考:三大都市圏)の地域については、これからも電力需要は増えていきますが、三大都市圏以外の地域では、人口も減少していくし、経済活動も衰退していくため、明確に電力需要が減っていくことになります。
もし、ドローンやリニアモーターカーなどイノベーションによる電力需要が増えることがあれば別ですが、そう簡単には実現しないことが予想できるため、電力需要が増えず、出力抑制の増大の予測は容易にできます。
しかしながら、これまでは出力抑制に関してカバーする保険で対応したり、出力抑制を受けても微々たるものだったため、発電投資家の方々も甘く考えていました。ところが、2021年4月に入ってからは、地方において、投資家の皆様の想像を超える出力抑制が生じ、焦りを感じるSNS発信を多く見かけています。
再エネ導入国では再エネ出力制御は通常の措置。
— 石川和男(政策アナリスト) (@kazuo_ishikawa) June 15, 2021
需要が少ない時期は、火力出力抑制などで需給バランスを調整し、それでも電気が余る場合に太陽光・風力の出力制御が行われるという話。
21.6.15 日経産業新聞
次の需要の谷は夏休み。需要が落ち込めば再エネ電力供給がだぶつき強制的な出力制御… pic.twitter.com/3w1Jfdqhh8
九州の太陽光発電の出力抑制がかなりキツイみたいだな。
— こっきー (@kokky0128) June 2, 2021
4、5月ともに、売電量が前年比で-30%くらいになっているところもあるとか…。
先にも書いたとおり、これから出力抑制が減っていく事は想像し難く、太陽光発電や風力発電の設置が増え続けているため、来年以降、より出力抑制が強くなっていくことになります。
新聞報道などでは、出力抑制になる可能性のある地域からの三大都市圏への送電線網の整備を国策で進める事が示されていますが、設計、鉄塔の用地確保、送電線網の整備には相当な時間を要する事になります。
そうすると、九州や東北といった電力が余る地域と、電力が不足する三大都市圏を結ぶ数百キロメートルにも及ぶ送電線の整備は、国策で進めたとしても、あまりにも広範囲で延長も長いため、技術者不足や建設会社不足により、10年以上は要する事が容易に想像できます。
更に言えば、10年経過してもネットワーク化されるかも分かりませんし、その間にも、太陽光や風力などの再生可能エネルギーの整備が進むため、今後10年間は、更なる出力抑制の強度が強まっていく事が想像できます。
三大都市圏以外で、出力抑制を許容しつつ太陽光発電を設置しようと考えている方は、じっくりと考えて、抑制があったとしても十分と思える方のみ投資して頂きたいと思います。
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(2)太陽光発電廃棄料金の積立義務化によるリスク
太陽光発電の廃棄における積立義務化の流れは、太陽光発電には、鉛、セレン、カドミウムといった有害物質が含まれていることがあるため、不要になった際、産業廃棄物になります。
関連記事:2040年、太陽光パネルのゴミが大量に出てくる?再エネの廃棄物問題
(3)事故の報告義務化によるリスク
太陽光発電投資により、太陽光発電設備の設置数が増えたことにより、低圧の発電所などにおいても、事故が社会的影響を及ぼす事案が発生しており、事故の報告が義務化されました。
電気事業法第106条の規定に基づく、電気関係報告規則が令和3年(2021年)4月1日に改正されたことに伴い、電気事業法第38条第2項で定める小出力発電設備のうち、10kW以上50kW未満の太陽電池発電設備、20kW未満の風力発電設備について、事故報告の対象に追加されています。
関連記事:事故報告制度について ―経済産業省-
事故が発生していたにもかかわらず、報告を怠ったり、虚偽の報告をしたりした事業者は、30万円以下の罰金に処される可能性が生じることになりました。
太陽光発電投資家は、設置するまでは一生懸命勉強するのですが、維持管理になると興味が無くなるかと思います。
事故報告義務化について、注意が必要です。
(4)電圧上昇抑制リスク
電圧抑制については、これまでも何度か触れてきていますが、抑制があるかないかは、売電が開始してみないとわからないところがあります。
そして、遠隔監視などを付けていないと、発見が遅れ、相当な損失を被る可能性があります。
関連記事:【2021年】太陽光発電投資の10のメリット・デメリットとは?投資家が徹底解説
関連記事:【発電量の改善】思うように発電しない太陽光発電所の電圧抑制を改善する方法
この現象は、電線内の電圧が高くなり、発電所側電圧が低いことで、電気を電線に流すことが出来なくなる現象です。
私の場合は、太陽光発電所を6基取得する中で1基だけなので、確率としてはそこまでな感じがしますが、SNSや他の方の太陽光ブログを拝見すると、結構な確率で発生しているように感じます。
太陽光発電所を初めて所有する際は、電圧上昇抑制が起こるものと思って取り組み,起きた場合は、早急に対応する必要があります。
(5)年間キャッシュフローがマイナスとなるリスク
太陽光発電投資が普及し始めた当初は利回りも高く、余程のことが無い限り、フルローンで取り組んでも、キャッシュフロー(収益)がマイナスになるリスクは限りなく低いものでした。
しかしながら、平均利回りが9%台現在の投資環境下では、頭金を数百万円入れたとしても、年間のキャッシュフローは20~40万円が良いところです。
仮にキャッシュフローが年間20万円程度しかない場合、保険代やメンテナンス代が値上がりしていったり、国の後出しジャンケン政策が発表され、追加で費用が必要になる場合も想定できます。
せっかく投資しても、毎月のキャッシュフローが赤字では資産性は無く「負債」でしかないので、年間50万円以上のキャッシュフローを想定することが求められます。
投資はなんのためにするのかよく考え、それができないのであれば、しっかりとした種銭ができるまで、投資しないことをおすすめいたします。
(6)良物件減少による日照悪化のリスク
最近は良物件が減ることで、今までは検討における視野にすら入らなかった、周辺が樹木で覆われた物件などを見かけます。
日照良好な案件であればシミュレーション比で上振れの可能性がありますが、周辺が樹木で覆われている場合、ほぼシミュレーションを下回ります。
それにもかかわらず、太陽光発電投資は国の20年間の買取単価保証があることで、圧倒的な安定性から売れてしまうので、業者さんもリスクお構いなしに販売してくることも多いのです。
周辺に樹木があると、4~10月ぐらいまでは良いですが、11月から3月ぐらいは影の影響により、思うように発電しません。
東・南・西の方向に樹木や丘・山が無いか、しっかりと現地調査する必要があります。
(7)自然災害と保険料増加のリスク
自然災害の激甚化・増大化に伴い、損害保険会社は11年連続で赤字で、近年は、保険料が毎年のように10%程度増加する事態となっています。
自然災害の激甚化により想定外に水災リスクが高まったり、契約期間が短く費用が高くなり、ひいては、災害地区に関しては保険にすら入れなくなってきています。
この状況下では、今後も右肩上がりで保険料の上昇が見込まれます。
また、保険会社の払い渋りも顕著になってきているため、保険に入ったからといって安泰ではありません。
今後は、保険に対する知識も高めていかないといけません。
(8)収益シミュレーションの過大物件リスク
最近の太陽光発電物件は、物件サイトに載せれば売れてしまうため、販売業者さんも相当な強気だなと感じています。それは、あり得ないようなシミュレーションで価格設定されている事もちらほら。
投資初心者が過大なシミュレーションを見抜くことは出来ず、手が上がることが販売業者もわかっているのです。
そういった勝ち負けがはっきりする状況はあまり好きではないのですが、それが実態です。一方に偏った状況が改善され、事業者と投資家がWIN-WINとなる時代が来ることを望みます。
うまい話には裏があります。物には適正価格というものがあり、それを逸脱した価格帯というのは、何かを無理していたり、落とし穴があったり、それ相応の理由がありるのです。
皆さんも、高値掴みしませんように。
(9)銅やアルミ価格の上昇
コロナ禍において、各国の金融緩和によりインフレが想定されています。また、それだけに留まらず、脱炭素化へ向けて、電気自動車や蓄電池・太陽光パネルを製造するために、世界各国で多くの銅が必要となります。
そのため、銅の価格上昇が著しい状況となっています。
〇銅の価格推移
1年間で2倍になっているのが一目瞭然ですね。
銅価格の上昇は、特に蓄電池への影響が大きいのですがパネルにも影響があり、生産工程におけるコスト削減がなされても、素材自体の値段が2倍となってしまうと、架台やパネルの購入のコストの上昇は必然です。
世の中がインフレになっていく事が容易に想像できるので、メンテナンスコストなどが上昇するリスクがあるので、念頭にいれて取り組む必要があります。
(10)メーカー倒産・撤退のリスク
太陽光発電設備さえ稼働してしまえば、メーカーが倒産しても問題ないとはなりません。部品の交換ありますし、メーカー保証はどうなってしまうのか・・・
日本でいえば、パワコンを取り扱いメーカーである田淵電機が事業再生ADRを宣言し、最終的にはダイヤモンド電機の完全子会社になりました。
救われる企業もあれば、そのまま倒産といった流れもあり得ます。
20年間の安定性を考えるなら、メーカーの体力も注意したいところです。
(11)近隣住宅とのトラブル
最近の太陽光発電所の物件を見ると、住宅地の中であるものも多く見かけるようになりました。
これは、物件が少なくなってきたことが原因ですが、影の影響だけでなく、反射光や景観・雑草・土砂流出等のトラブルに巻き込まれる可能性が高まります。
20年間以上に渡る長期の投資ですので、出来る限りトラブルは避けたいものです。
トラブルに巻き込まれると、お金以上に時間と精神を浪費することになります。
出来る限り、リスクは減らしたいものです。
3.『2021年から太陽光発電投資を始めるリスクとは』まとめ
以上のように、太陽光発電投資には様々なリスクがつきものです。しかし、事前に確認することで回避できることも多いので、念入りなリサーチをおすすめします。
そして、リスクを知ったうえで、責任をもって投資に取り組み、出来る限り投資のトラブルを回避する。
私もこれまでに何度かトラブルがあり、現在は解決はしていますが、家族に迷惑をかけるくらい精神が疲弊したものです。
トラブルを少しでも減らすために、物件サイトの『スマエネ』であれば、太陽光発電の資料請求やアドバイスだけでなく、売買成立まで寄り添ってもらうことが可能です。
皆様も、リスクを避けた良物件を手に入れて、太陽光発電投資ライフを送りましょう!!
ではまた。
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