2019.03.29 Mar
更新日時:2019.09.08 Sun
曇り・雨天などの悪天候時、太陽光発電所の発電量はどうなるの?
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太陽光発電は、太陽の光をエネルギーに変換することで発電しているため、夜間に発電することはありません。では曇りや雨天時はどうなのかと、気になる人もいるはずです。
結論から言えば、曇りや雨天時は、晴天時に比べて発電量が激減します。そのため太陽光投資を始めるにあたっては、天候に極力影響を受けないような対策が必要です。
今回は、曇りや雨天時の発電量が気になるという方のために、悪天候時の発電量の実例や、それを受けての対策などについて説明していきます。
目次
1.曇り・雨天日は太陽光発電所の発電量が半減する
太陽光発電の発電量は、太陽から放射されるエネルギーの量である「日射量」によって決まります。この日射量は、太陽が雲に覆われていない晴天時に多くなります。逆に曇りや雨天時には、十分な日射量がありません。十分な日射量がないと、当然発電量も少なくなります。
以下の図は、中部電力が運用している太陽光発電所「メガソーラーたけとよ(現:メガソーラーかわごえ)」の天候別発電量を表したものです。
出所:(中部電力「発電所レポート(第3回)メガソーラーたけとよ」)
このグラフは、晴れと曇り、雨の日それぞれの電力量を表しています。正午の発電量は、晴れの日が7MWを超えているのに対し、曇りの日は2MWほどしかなく、雨の日にいたっては1MWを下回っています。
このデータからも、曇りの日と雨の日の発電量が少なくなることは明らかです。とはいえ日の出ていない雨の日でも、発電量がゼロになるわけではありません。
なぜなら、雨が降っていても日射量が夜間ほど落ち込むことはなく、微量ながら発電ができるからです。
(1)天候ごとの日射量を詳しくチェックしてみよう
下の図は、国立研究開発法人である「NEDO(新エネルギー産業技術総合開発機構)」の日射量データベースで、栃木県那須の5月25日から10日間の日射量を調べたグラフです。
出所:(NEDO「NEDO日射量データベース閲覧システム」)
図の上部にあるオレンジ色の棒グラフは日射時間の長さを、その下の水色の棒グラフは降水量を表しています。
オレンジ色の棒グラフが並んでいる日は晴れ、ない日は曇り、水色の棒グラフがある日は雨だということが分かります。下の折れ線グラフは、各日・各時間の日射量です。
日射量には、以下の種類があります。
日射量の種類 |
直射日射量 |
散乱日射量 |
水平面日射量(全天日射量) |
「直射日射量」は太陽から直射されることで得られる日射量、「散乱日射量」は太陽の光が雲などに反射することにより間接的に得られる日射量です。
この「直接日射量」と「散乱日射量」を足したものが、発電量に直接関係する「水平面日射量(全天日射量)」になります。
日射量は基本的に、日の出の直後や日没直前の時間は少なく、正午頃に最も多くなるため、折れ線グラフは山型をしています。日照時間の長い晴れの日は、日射量が多くなっていることが分かるはずです。
2.曇り・雨天の日数は地域差に影響を受ける
ここまで説明してきたとおり、曇りや雨天時は日射量が少ないため、発電量も少なくなります。天候には地域差があるため、曇りや雨天の日数が多いところもあるのです。
特に日本海側は天候が崩れることが多く、発電量が低下してしまう可能性があります。投資前の段階であれば、こうした日射量の違いを踏まえて、太陽光発電設備の設置エリアを検討するべきです。
ここでは、太陽光発電設備を設置する場所の選定方法について説明していきましょう。
(1)地域ごとの平均日射量は事前にチェックすべき
出所:(NEDO「NEDO日射量データベース閲覧システム」)
上の図は、先ほど紹介したNEDOのデータベースの一部である「全国日射量マップ」です。この全国日射量マップでは、年平均や月ごとの各地域の日射量が分かります。
水色の地域の年平均の日射量は、12~13MJ/m2です。黄緑色の地域の日射量は14~15 MJ/m2、黄色の地域は15~16 MJ/m2となっています。
この図を見れば分かるとおり、地域によって年平均の日射量は異なるのです。こういった情報を事前に得ていれば、太陽光発電設備の運用を開始してから、晴れの日が少ないと悩むことは減るはずです。
太陽光発電設備の設置場所を決めるにあたっては、地域ごとの日射量を事前にチェックしておきましょう。
(2)曇り・雨天ばかりの地域は投資額を回収できるの?
太陽光発電の投資案件では、設備を設置するエリアの過去の日射量を参考に額が決められています。そのため曇りや雨天が多い地域でも、シミュレーションで回収可能と示された場合は、基本的に回収できるはずです。
太陽光発電8月の実際の発電量とシミュレーションを比較してみた。
— ズヤ@太陽光投資ブロガー (@zuya64) September 5, 2019
なんと雨が多い8月でもシミュレーション通りの結果で驚いている?
しかもちょびっと上振れ☀️
しかし不安であれば、業者にシミュレーション内容を徹底して聞き、投資額の回収が現実的なものなのかリサーチしたほうが失敗する確率は低くなるでしょう。
こうした姿勢も、太陽光発電投資を成功させるうえでは大切です。
3.曇り・雨天は太陽光発電所の運用を工夫することで対処
天候は操作できませんが、事前準備や設備選び、日頃のメンテナンスなどによって、晴天時の発電の際に生じるロスを防ぎ、発電量を向上させることは可能です。
曇りや雨天時の発電量の少なさを補うためにも、晴天時こそ効率良く発電できる工夫をしましょう。
ここでは、発電量を向上させるための事前準備や設備選び、メンテナンスについて説明していきます。
(1)太陽電池パネルは発電効率で選ぶ
太陽電池パネルには様々な種類があり、それぞれ性能も異なります。各種の性能や特徴を知ったうえで、発電効率の良い太陽電池パネルを選ぶといいでしょう。
現在出回っている太陽電池パネルは、材料によって大きく以下2種類に分けられます。
太陽電池パネルの主な材料 |
シリコン系 |
化合物半導体系 |
「シリコン系」は、さらに以下2種類に分かれます。
シリコン系の種類 |
結晶シリコン系 |
薄膜シリコン系 |
これらのうち結晶シリコン系は、現在の太陽電池パネルの主流となっており、世界の太陽電池の生産量を75%も占めています。結晶シリコン系には、「単結晶系」と「多結晶系」の2種類があります。
単結晶系は太陽光を電力に変換する変換効率が高いのですが、高コストです。一方で多結晶系は低コストで済みますが、単結晶系よりも変換効率が低くなっています。
太陽光発電の変換効率を高めたいのなら、多少コストがかかっても、単結晶系のほうがおすすめです。「薄膜シリコン系」はコストこそ安いものの、結晶シリコン系に比べて変換効率がやや低い点と、物質が光エネルギーを吸収して特性を低下させてしまう「光劣化」が起きる点がデメリットです。
「化合物半導体系」は、以下の3種類に分けられます。
化合物半導体系の種類 |
Ⅲ-Ⅴ族 |
CdTe系 |
CIGS系 |
「Ⅲ-Ⅴ族」は高い変換効率を発揮しますが、高価であり、主に宇宙用に使われています。「CdTe系」は低コストで製造できますが、変換効率は中程度です。一方で「CIGS系」は低コストなうえ、変換効率も比較的高くなっています。
ここまで説明してきたように、太陽電池パネルを選ぶうえでは、シリコン系なら結晶シリコン系の単結晶系、化合物半導体系ならCIGS系が良いということになります。
①太陽電池パネルは入念に検討すべき
ただし太陽光発電設備を設置する場所に、日陰ができるような障害物がある場合、シェアが高いからと安易に結晶シリコン系の太陽電池パネルを選ばず、入念に検討しましょう。なぜなら結晶シリコン系の太陽光パネルは、日陰での発電効率が大幅に下落してしまうからです。
結晶シリコン系の太陽光パネルは、発電媒体であると同時に、電力の伝達媒体でもあります。この場合、発電した電気の移動も太陽電池パネル全体が担っています。太陽電池パネルの一部が日陰になってしまうと、その部分は発電できないだけでなく、電気の伝達までできなくなってしまうのです。
その点CIGS系の太陽電池パネルなら、発電を行う太陽電池のセルが独立しているため、日が当たっている部分だけでも効率的に発電ができます。CIGS系の太陽電池パネルは、雲によって太陽電池パネルの一部に日陰ができた場合にも、もちろん有効です。
②スマエネではシミュレーション済みの投資案件を多数掲載
なお、スマエネの「物件を探す」に掲載している物件情報では、運用にかかる具体的なコスト・収入をシミュレーションシートにまとめて、どれほど利益を得られるのか解説しています。
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(2)雨天や強風後は太陽電池パネルを要チェック
雨が降った日や強風の翌日は、太陽電池パネルをチェックするようにしましょう。なぜなら、太陽電池パネルに枯れ葉やごみが付着している可能性が高いからです。
枯れ葉やごみがある部分には、当然日が当たりません。先ほど説明した結晶シリコン系の太陽電池パネルを使っている場合、枯れ葉やごみがあるだけでも、その部分は発電と電力の伝達ができなくなり、全体の発電効率が落ちてしまいます。
さらに長時間枯れ葉やごみを放置していると、発電できない部分が発熱する「ホットスポット現象」が起こる危険もあります。ホットスポット現象が起こると、太陽電池パネルが故障したり、最悪の場合、発火するおそれもあるため危険です。
そのため雨や強風の後は、太陽電池パネルをチェックして、必要に応じて枯れ葉やごみを取り除くようにしましょう。
(3)晴天時に発電ロスがないよう清掃・雑草処理はこまめに
太陽光発電システムを効率的に運用するにあたって、日頃のメンテナンスは重要です。なぜなら日頃のメンテナンスを怠ると、せっかくの好天でも十分な発電量が得られない「発電ロス」が起きる場合があるからです。
発電ロスの原因はいくつかありますが、そのうちの2つは、日頃のメンテナンスによって避けられます。
①太陽光発電所の汚れによる発電ロス
1つは、汚れによる発電ロスです。太陽電池パネルは表面がツルツルしているため、汚れにくくなっています。また傾斜が付いた状態で設置されているため、多少の汚れは雨が流してくれます。そのため設置してからしばらくは、発電にも影響しません。しかし時間が経てば汚れもたまるため、発電効率も下がってしまいます。
②雑草の成長による影は事故につながる
発電ロスのもう1つの原因が、雑草によるものです。雑草の背が太陽電池パネルより高くなって、パネルの一部を覆うとその部分には影ができます。当然影ができた部分は発電できないため、発電効率が落ちてしまうのです。さらに、パネルの一部を覆った雑草をそのまま放置していると、先ほど説明したホットスポット現象が起こり、太陽電池パネルの故障や発火にもつながります。
このように、汚れや雑草は、晴天時でも発電量を低くしてしまう要因になります。そのため、晴天時こそ発電ロスを起こさないよう、こまめな清掃や雑草の処理などのメンテナンス管理が重要なのです。
関連記事:5分で詳しく解説!太陽光投資に不可欠な「O&M」とは?
4.天候は操作できなくても無駄なロスは防げる!
太陽光発電では、晴天時に比べて、曇りと雨天時の発電量が著しく低くなります。太陽光発電設備の設置場所を慎重に選べば、晴れの日が少ないと悩むことは減るはずです。
年間を通しての地域ごとの平均日射量はNEDOのデータベースで調べられるので、事前にチェックしておくといいでしょう。また曇りや雨が多い地域でも、業者にシミュレーション内容を細かく聞き、投資額の回収が現実的なのかリサーチすることで、損をする確率を低くできます。
天候は操作できませんが、設備選びや設置後のメンテナンスなどによって晴天時のロスを防ぎ、曇りや雨天時の発電量の少なさをある程度カバーすることは可能です。
これから太陽光投資を始めるという方は、ぜひこの記事で紹介した方法を参考にして、設置エリアの選定や設備選びをするとともに、設置後のメンテナンスを心がけるといいでしょう。
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