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ホットスポットが太陽光施設に与える問題とは?どうすれば事故を阻止できるの?

太陽光発電について調べていくと、「ホットスポット」という言葉が何度か出てきます。


ですが多くのサイトは簡単な解説だけで、「ホットスポット」について詳しい解説しているサイトは意外と少ないです。


そこで本記事では「ホットスポット」とはなにか、そしてその影響と有効な対策について詳しく解説していきます。

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1.太陽光パネルが局所的に発熱する「ホットスポット」とは?

「ホットスポット」とは、太陽光パネルのある部分が”局所的に発熱して高温になる不具合”、またはその”発熱した部分”のことを指します。英語の「熱い」=「hot」、「局所的なある部分」=「spot」を組み合わせて「ホットスポット」と呼んでいます。では「ホットスポット」になると、どのくらい高温になるのでしょうか。


太陽光パネルが発電しているときの温度は、通常時で約50℃〜70℃程度、真夏の30℃を超えるようなときでは70℃〜80℃になっています。80℃でも十分に高温に思いますが、これは太陽光パネルの動作可能な範囲に収まっています。

例えば東芝のパネルであれば、動作温度は-40℃〜85℃となっています。

パネル
出所:東芝HP

一方で「ホットスポット」の温度は、100℃以上と非常に高温です。当然ながらメーカーの動作温度から外れているため、何かしらの問題が発生する可能性が高まるということがわかります。

(1)ホットスポットが招く問題は主に2つ

では、太陽光パネルが局所的に発熱すると、どのような問題を招くのでしょうか。それには大きく分けて、次の2つがあります。

  • 発電量が低下する
  • 火災の原因になる

①発電量が低下する

意外かもしれませんが、太陽光パネルは高温になればなるほど発電効率が下がります。これは、温度が高くなると電気抵抗が大きくなり、電流が流れにくくなるという電気の特性のためです。

太陽光パネルが最も効率よく発電する適温は、25℃と言われています。そして、25℃から1℃高くなるごとに発電量が約0.5%ずつ下がることがわかっています。

温度
出所:太陽光発電協会「住宅用太陽光発電の設計と施工

ホットスポットになった太陽光パネルの温度が100℃だとすると、適温の25°と比べて75℃も高くなっているので、約37.5%も発電量が下がることになります。パネル1枚分とは言え、発電量は売電収益にダイレクトに響きますので、なるべく防ぎたいものです。

さらに、ホットスポットが深刻化すると太陽光パネルは故障して、発電機能を失ってしまいます。そうなるとそのパネル1枚だけの問題ではなくなり、ホットスポットが発生したパネルのある回路ごと発電不良に陥ってしまいます。

下のイラストを見てください。

通常の電流回路
このように太陽光パネルは、発電した電気を流すために1枚1枚ケーブルを繋いでパワーコンディショナーや接続箱に電気を集めています。

この1経路のことを、回路と言います。このシステムでは、①〜③の3回路があるということになります。回路を分けないほうがシンプルでわかりやすいですが、1つのシステムで複数回路あることが一般的です。

これは、1回路に入れられるパネル枚数に上限があることと、パネル枚数をバランスよくしたほうが電気的効率が良くなるためです。

では、ホットスポットが発生したときの電気の流れを見てみましょう。

故障 

ホットスポットが深刻化して発電機能を失ったパネルは、電流を流すこと(通電)ができません。そのため、そこまで発電した電気をせき止めることになります。そうなると、ホットスポットが発生した③回路は3枚分の発電量を損失してしまうのです。

このように、ホットスポットは温度上昇と故障による発電量低下を引き起こす原因になります。

②火災の原因になる

ホットスポットが招く問題は、発電量の低下だけではありません。最悪の場合、火災を引き起こすこともあります。

太陽光パネルがホットスポットで発熱して100℃を超える高温になれば、パネル自体が発火したり焼損してしまいます。実際にホットスポットが原因で、太陽光パネルが焦げたり燃えて穴が空いてしまった事例が報告されています。

発火

出所:消費者庁「消費者安全法第23条第1項の規定に基づく事故等原因調査報告書

ホットスポット
出所:NPO法人太陽光発電所ネットワーク「太陽光発電はメンテナンスフリーでない

太陽光パネルは、燃えにくい難燃素材を使用したり構造上の工夫されているため、パネルの一部が燃えたとしてもパネル全体に燃え広がらないような対策がなされています。しかしながら、太陽光発電設備が設置されている周囲環境によっては、発電設備自体が火災してしまうこともあります。

例えば、パネル上に落ちた落ち葉や溜まったゴミ、伸びた雑草などの燃えやすいものが火災の原因となります。燃えやすいものと高温なホットスポット部分が接触した状態で長時間放置されると、そこから発火し火災が発生、太陽光発電設備に火が移り燃え広がります。

また、木造住宅に太陽光発電設備が設置されている場合は、パネルの発火が原因で屋根材を燃焼して火災になる見解が消費者庁の資料で示されています。


火災になると太陽光発電設備を失うだけでなく、近隣の建物や土地に延焼することで損害賠償請求される可能性すらあり得ます。

このように、ホットスポットは発電量低下だけでなく、火災という事故にも繋がる危険性のある不具合なのです。

2.なぜホットスポットが起きてしまうの?

ホットスポットがどのようにして発生するのか、そのメカニズムと要因を解説していきます。ホットスポットは、次のようなメカニズムで発生します。

①ある要因でセルの電気抵抗が大きくなる

②そのセルに、これまで発電した電流がせき止められる

③せき止められた電気が行き場を失い、熱に変わる

④セルに熱が蓄積され発熱する

次のイラストをご覧ください。

セル

太陽光パネルは、小さな太陽電池セルの集合体で1枚を形成しています。

太陽電池セルは、太陽光を受けると1つ1つが発電します。太陽光パネルは、このセルで発電した電気を一筆書きのように順々に流していくことで、電気を生み出しています。そのため太陽光パネルは、太陽光発電システムの回路と同じようにセル同士を配線で繋いで電流を流しているのです。

セルで発電した電流の流れをイラストにすると、以下のようにパネル内を流れています。

回路

そして、パネルから次のパネルへの電流を流すのは、ケーブルを配線することで伝達しています。

前のパネルから流れてきた電流はケーブルから入口のセルに入り、パネル内すべてのセルを経由して出口のセルから次のパネルへと電流を受け渡していきます。

出入口

ここで電気抵抗の上がったセルがあると、そこまでに流れていた電流がせき止められます。そして、その行き場を失った電気が熱に変わって蓄積されることで、ホットスポットが生み出されます。

抵抗

水道管や人間の血管をイメージしてみてください。

水道管や血管は、異物や血栓などで詰まりが生じます。その部分に流れてきた水や血がせき止められ、徐々に溜まって膨張していきます。そして、水道管や血管が限界を迎えると破裂します。

太陽光パネルでは、「ホットスポット」が異物で、電気が「水」、「焼損」が破裂です。電気が熱に変わって蓄積され、パネルが限界を迎えると焼損する、という流れです。

このようにホットスポットを引き起こすきっかけは、セルの電気抵抗の上昇です。セルの電気抵抗が上昇する要因には、外的要因と内的要因の2つがあります。太陽光パネル以外に起因するものが外的要因、太陽光パネル自体が起因となるものが内的要因です。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

(1)フンや落ち葉などの外的要因により発生する

外的要因によるホットスポットは、主に影や付着した汚れがセルを覆うことで発生します。

これは屋外に設置される太陽光発電が、周囲環境の影響を受けやすいことに他なりません。たとえば、木や雑草などの植物、電柱やテレビアンテナなどの物体が遮蔽物となり、太陽光パネルに影を落とします。

また、カラスなどの鳥のフンや、木の落ち葉などが付着することもあります。雨で流れ落ちることがほとんどですが、場合によっては付着したまま残ってパネルの汚れとなります。

このような外的要因で覆われたセルは、太陽光が照射されないため発電できなくなります。そうすると、そのセルの電気抵抗が非常に大きくなり、結果的にホットスポットが生み出されます。

外的要因は、このように太陽光発電設備を設置した周囲環境に大きく左右されます。

(2)配線不良やクラックなど内部要因により発生する

内的要因は、主に製造時の初期不良や経年劣化によるパネル内部の不良が原因です。

製造時の初期不良は、主にはんだ付け接続に問題があるために断線状態となり、電気の流れを止めてしまいます。メーカーも品質管理に最善を尽くしているとは言え、年間何百万、何千万枚と製造される中ではごく稀にそのような不良も発生してしまいます。

また、経年劣化でセル自体にヒビや割れが発生することでも、電気の流れをせき止めることもあります。経年劣化とは、長期間使用しているうちに徐々に進む劣化のことです。

太陽光パネルは、風や地震での揺れによるきしみやねじれ、湿気や温度変化による負荷などの影響を長期間受け続けるため、パネルの内部にクラックという小さなヒビや割れが発生するのです。目には見えないマイクロクラックというヒビなので、気づかないことが多いですが、こういった小さなダメージの蓄積からもホットスポットは発生します。

3.ホットスポットによる事故を防ぐ方法は?

ホットスポットは肉眼で発見することが非常に難しいため、発生に気づきにくい不具合の1つです。そのため、なんの処置も施さないまま長期間放置されることが多いです。そうして徐々に症状が進行、結果としてパネルの焼損や火災などの事故を引き起こします。

では、発見の難しいホットスポットを防ぐためには、どのような方法があるでしょうか。

まず大前提として、太陽光パネル自体にも構造的な工夫でホットスポットの対策が講じられていることを知っておきましょう。その技術が、「バイパスダイオード」です。

「バイパスダイオード」は、1つのセルが電流の流れを止めてしまっても、迂回ルートを作っておくことで電流のせき止めを解消してくれる技術です。

次のイラストのように、セル同士の配線を飛び越えて接続されています。

このときの電流の流れを見てみましょう。

ホットスポットが発生すると、電流はセルを通れずせきとめられてしまいます。しかし、「バイパスダイオード」を経由することでホットスポットのセルを回避して、1巡飛ばしたセルへ電流を流すことができます。

こうすることで、大きな発電ロスや発熱を軽減することができます。

回路

通常時

回避

ホットスポットが発生したとき

自動車の道路をイメージしてみてください。

一本道の道路であれば、その道が自己で通行止めになると前に進めなくなってしまいます。しかし、そこに迂回路があれば事故を回避して前に進むことができます。このような迂回道路を、「バイパス」と言いますよね。「バイパスダイオード」はまさに、電流の迂回道路というわけです。

このように、太陽光パネルメーカーもホットスポットによる発電効率低下や不具合への対策に取り組んでいます。

しかしながら、この「バイパスダイオード」によるホットスポットの軽減にも限界があります。長い時間、または多重的に電気詰まりが発生した場合には、バイパスダイオードが限界を迎え、ホットスポットが発生することになります。

そこで、ホットスポットを防ぐために実践できる方法を紹介していきたいと思います。

(1)毎日の発電量をチェックする

最も簡単なのは、毎日の発電量を発電量モニターや遠隔監視システムでチェックすることです。

ホットスポットが発生すると、パネルの温度上昇によって発電量が低下することは説明しました。発電状況を把握することで、ホットスポットによる発電量の低下を察知します。

ただ、ホットスポットによる発電量低下はそこまで顕著に現れないことと、天候の影響でも発電量が大きく変わることもあります。そのため発電量チェックは、ホットスポットの発生に気づくと言うよりは、太陽光発電になにか異常がないかをチェックする意味合いが強くなります。

関連記事:太陽光の遠隔監視システムを「安いから」で選んではダメ!

(2)雑草処理や清掃をこまめに行う

ホットスポットの発生要因には、雑草による影や落ち葉、ゴミなどパネルに付着した汚れなどの外的要因がありました。長期間の運用では、いつこのような問題が起こってもおかしくありません。そのため、定期的な設備のチェックやメンテナンスが不可欠です。

伸びた雑草は雑草刈りや除草剤の散布で、パネルに蓄積した汚れはパネル洗浄など、適宜対処を行いましょう。特に、冬場は乾燥して燃えやすい枯れ草が多くなりますので、要注意です。

(3)赤外線サーモグラフィーで発熱部分を探す

ホットスポットを肉眼で発見することは難しいですが、専用の機器を使えば発熱部分を探すことができます。その専用の機器が「赤外線サーモグラフィー」です。

「赤外線サーモグラフィ」を使うと、次の写真のように温度によって色が変わります。

サーモグラフィー

出所:新栄電子計測器 株式会社「赤外線サーモグラフィの特長

温度が低い部分は青く、高くなると徐々に緑から黄色に、そして高温部は赤く色が付きます。発熱部分がひと目でわかりますので、異常があるかを瞬時に判断、不良部分を早期発見することができます。

次の資源エネルギー庁のWEBサイトにある「太陽光発電チャンネル」では、赤外線サーモグラフィを使ったホットスポットの点検方法の動画をアップしていますので、興味のある方はチェックしてみてください。

(4)大規模設備はソコデスやソラメンテなど点検装置でチェック

赤外線サーモグラフィは便利ですが、大規模設備になると1枚1枚チェックしていくのでは効率が悪いです。そういった場合に便利なのが、「ソコデス」や「ソラメンテ」などの点検装置です。

ソコデス」や「ソラメンテ」は、発電設備と接続することで発電不良や故障を発見することができます。接続するだけで不良や故障箇所を特定できるため、手間がかからず非常に便利な装置です。

ただし、費用がそれなりにかかりますので、利用される際は収益への影響を十分に考慮しましょう。

(5)ドローンによるホットスポット検査も実用化している

近年、話題になっているドローンも太陽光発電のメンテナンスに活用されています。赤外線カメラを搭載したドローンで、太陽光発電パネルを撮影していきホットスポットになった箇所を特定します。

通常、点検を行う際は太陽光発電設備の稼働を止めて行うことが一般的です。そのため、点検中は発電・売電ができない状態になります。

しかし「ドローンで太陽電池を守る、空からホットスポットを検知し即日共有」の記事に書かれているように、ドローンで自動撮影することで、①太陽光発電設備を稼働したまま②赤外線サーモグラフィよりもずっと短時間で、検査を完了することができます。

4.太陽光パネルのホットスポット対策は定期メンテナンスから

メンテナンス

ホットスポットは、太陽光パネルが局所的に発熱する現象で、発電量の低下に繋がる不具合です。さらにホットスポットが深刻化すると、最悪の場合は火災などの大きな事故に繋がる危険性があります。

安定した発電と安全な運用を続けるためには、やはり日々の発電量チェックや設備点検、定期的なメンテナンスなど、設備の維持管理は欠かせません。手間がかかるため敬遠しがちですが、長期的な運用だからこそ上手に付き合っていきましょう。

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著者 今野 彰久

スマートエネルギー事業部の部長です。
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