2019.04.30 Apr
更新日時:2019.09.11 Wed
太陽光発電用の土地買取を決めるまえに!すぐ確認すべき6つのポイント
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これから太陽光発電投資を始めるという方のなかには、土地の購入を考えている方もいるでしょう。太陽光発電投資が成功するかどうかは、土地選びにかかっていると言っても過言ではありません。
そのため、太陽光発電をするのに適した土地を選ぶようにしましょう。とはいえ、どのような土地が太陽光発電に適しているか分からないという方もいるはずです。
そこで今回は、太陽光発電設備の土地を選ぶ際に、重視すべき6つのポイントについて説明していきます。
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目次
1.太陽光発電投資を始めても良い土地であるか
太陽光発電設備は、どんな土地に設置してもいいというわけではありません。地目によって、設置できる土地とできない土地があります。
太陽光発電設備を設置する地目は、宅地や山林、原野や雑種地などが一般的です。
建物を建てるための土地である宅地は、造成工事の手間がかからないぶん、費用が安く済むのがメリットです。ただし宅地は固定資産税が高くつくケースも多いため、事業の収支に影響が出るおそれもあります。
山林の場合、木がたくさん生えている土地に太陽光発電設備を設置するのは、物理的に不可能です。ただし、木がわずかしかなく平坦な地面が多い場合は、木を伐採すれば設置が可能です。
このように、地目ごとに特徴があるので、それぞれの特徴を理解したうえで太陽光発電設備を設置する土地を選びましょう。
(1)農地転用にはどのような手続きが必要なの?
宅地や山林などと違い、田んぼや畑に太陽光発電設備を設置する場合は、「農地転用」をしなければなりません。農地転用とは、田んぼや畑などの農地を本来の用途以外の地目に転用することです。
本来農地は、政府の農業保護政策によって、農地以外の目的で利用することが禁止されています。無断で農地に建物を建てた場合、3年以下の懲役または300万円以下の罰金が科せられます。
ただし農地転用の届出をして認められれば、農地に建物を建てることも可能です。農地転用するためには、役所に必要書類を提出したうえで、都道府県知事や農業委員会など特定の人物・組織から許可を得なければなりません。
農地転用の許可を得るためには、自分で手続きする方法と、行政書士に依頼する方法の2つがあります。自分で手続きをする場合、費用は1万円程度で済みますが、申請に必要な書類が多く、手続きも非常に煩雑です。
そのため農地転用する場合は、行政書士に依頼したほうがいいでしょう。行政書士に依頼する場合、事務所によっても違いますが、費用は10~20万円程度です。
ただし農地のなかには、最初から農地転用不可となっている土地もあります。また農地転用不可の土地でなくても、転用の許可がおりないケースも多くなっています。そのため、どうしても利用したいというわけでなければ、太陽光発電設備を設置する土地は農地以外を選んだほうがいいかもしれません。
関連記事:「農地転用」で農地を太陽光用地に変える!どんなことに注意すべき?
2.安定した日照条件が期待できる土地なのか
太陽光発電は太陽光をエネルギーにして発電しているという性質上、設備を設置する土地を選ぶうえでは、日照条件の良さは欠かせません。
雨天時や曇天時は、日射量の多い晴天時に比べて発電量が激減します。雨が多い地域に太陽光発電設備を設置してしまうと、十分な発電量は望めません。
太陽光発電設備を設置する場所を選ぶ際には、各地域の日射量をチェックしておくといいでしょう。
国立研究開発法人「NEDO(新エネルギー産業技術総合開発機構)」の日射量データベース閲覧システムでは、全国の日射量マップが公開されています。これは各地域の日射量が年平均でどれくらいあるのかを、一覧で表示したマップです。
これを見れば、年間を通してどの地域の日射量が多いのか一目瞭然です。
また日射量が多い地域でも、建物や山など、太陽光パネルへの日射を遮ってしまうような障害物が近くにあるような土地では、発電量が減ってしまいます。太陽光発電設備を設置する土地を選ぶうえでは、実際に視察して、近くにこうした障害物がないかもあわせて確認しておきましょう。
3.買取を検討する土地の近くに電柱があるのか
太陽光発電設備を設置する土地の購入代金は、僻地のような場所のほうが安く済みます。しかし僻地の場合、周囲に電柱がないケースもよくあります。
太陽光発電で発電した電気を送電するためには、電柱が必要です。電柱が近くにない場合、電柱を新しく建てる工事をしなければなりません。
電柱工事をする場合、余分にお金がかかるうえ、発電事業を始めるまでの時間も長くなってしまいます。そのため土地を購入するうえでは、近くに電柱があるかどうかもチェックしておきましょう。
4.整地にかかる造成費用をイメージできるのか
太陽光発電設備を設置するにあたっては、土地の造成工事が必要です。
造成工事とは、土地に建物を建てられるようにするための地面の工事です。地盤の緩い土地に太陽光発電設備を建てると、豪雨が起きた際に土砂崩れが起こり、設備が壊れてしまうリスクがあります。凸凹だらけの土地の場合、地面を平坦にならさないと、太陽光発電設備を設置できません。
このように、土地の地面を建物を建てるのに適した形質や形状に変えるのが、造成工事の役割です。
造成工事にかかる費用は、その土地の状態によって大きく変わります。もともと平坦な土地であれば、造成工事の手間が少ないぶん費用も安く済みます。
一方で傾斜があったり、地盤が緩かったり、凸凹している土地などは手間がかかるぶん、造成工事にかかる費用も高くなるのです。そのため造成工事の費用を安く抑えるためには、もともと平坦で、かつ地盤が緩すぎたり、硬すぎたりしない土地を選ぶのがおすすめです。
5.太陽光発電設備の設置に十分なスペースがあるか
太陽光発電設備を設置するうえでは、その土地に十分なスペースがあるかどうかも重要です。
太陽光発電では、設備の容量(kW)が多いほど発電量も多くなります。容量を増やすためには、それだけ太陽光パネルの枚数が必要です。
太陽光パネルは、「太陽電池セル」の集合体によって構成されています。太陽電池セルは光を電気に変える半導体で、一つひとつの大きさは約15㎠程度です。太陽光パネルは48セルや72セルのもの、60セルのものなどタイプは多岐にわたります。
例えば60セルであれば、60枚の太陽電池セルで構成された一枚の太陽光パネルを意味します。メーカーによって違いはありますが、60セルの大きさは「100×165cm」程度で、出力は300W前後です。
太陽光パネルを複数枚でひとまとめにして、一つの架台に設置したものを「アレイ」と言います。一つひとつのアレイは、それぞれ離した状態で設置されます。
300Wの太陽光パネルを使用する場合、10kW(10,000W)の太陽光発電設備に必要な枚数は34枚、30kWなら100枚です。単純に計算すれば100枚の設置に必要な面積は165㎡ですが、一つひとつのアレイを離して設置することを考えれば、より広い面積が必要になります。
容量ごとの太陽光発電設備の設置に必要な面積は、おおよそ以下のとおりです。
容量 | パネルの枚数 | 設置に必要な面積 | |
傾斜10度 | 傾斜30度 | ||
10kW | 34枚~ | 130㎡ | 180㎡ |
30kW | 100枚~ | 295㎡ | 400㎡ |
50kW | 167枚~ | 490㎡ | 700㎡ |
80kW | 267枚~ | 700㎡ | 930㎡ |
100kW | 334枚~ | 940㎡ | 1,340㎡ |
引用:「太陽光発電50kWの必要面積も暗算で!設置可能規模の目安と計算方法」
※300Wの太陽光パネルを横置4段構成で設置した場合
太陽光パネルは、傾斜がついた状態で設置されます。30kWの太陽光発電設備の設置に必要な面積は、太陽光パネルの傾斜が10度なら295㎡、30度なら400㎡ほどです。
表を見れば分かるとおり、同じ容量でも傾斜が10度より30度のほうが必要な面積は広くなります。ただし傾斜が30度のほうが、発電量も多くなります。
太陽光発電設備の容量や傾斜にもよりますが、1kWあたりの必要面積は、10~15㎡くらいと考えておけばいいでしょう。すでに設置する太陽光発電設備の容量を決めているのなら、それに合わせた面積のある土地を選ぶようにしましょう。
(1)クリアランスを確保しなければならない理由
先ほども説明したとおり、太陽光発電設備を設置する土地には、複数のアレイをそれぞれ隙間が開いた状態で並べることになります。この隙間を「クリアランス」と言います。
太陽光発電設備を設置するうえで、このクリアランスの確保は欠かせません。なぜなら、クリアランスを確保せず隙間なくアレイを詰めてしまうと、太陽光パネルに別のパネルの影がかかったり、メンテナンス作業のスペースがなくなったり不都合が発生してしまうからです。
先ほども説明したとおり、太陽光パネルは傾斜がついた状態で設置されています。そのため施設内にアレイを隙間なく埋めてしまうと、高所にあるパネルの影が、すぐ後ろにあるパネルにかかってしまうのです。
太陽光パネルに影ができると、その部分は発電や送電ができなくなり、ロスになります。さらに影ができた部分は電気抵抗となって発熱するため、故障や発火の原因にもなってしまうのです。
なお、クリアランスの面積は、太陽光パネルの傾斜の度数が高いほど広くなります。なぜなら高いパネルほど、影ができる範囲が広くなるからです。10度よりも30度の傾斜のほうが、必要な施設面積が広くなるのはこのためです。
6.接道条件による資材搬入・出口戦略の問題はないか
太陽光発電設備を設置する土地を選ぶうえでは、建物を建てる土地が道路に面しているかどうかの「接道条件」も重要です。
太陽光発電設備を設置するにあたって、接道条件が重要な理由は以下2点あります。
- 資材搬入
- 出口戦略
ここでは、これら2つについて詳しく説明していきます。
(1)接道条件が悪ければ、資材搬入が困難になる
太陽光発電設備の設置工事をする際、土地には建設に必要な資材をトラックなどで搬入することになります。このとき土地が道路と面していなければ、道路から土地まで資材をトラックで運べません。
建設業者がこれに難色を示せば、自分たちで資材を運ぶことになりますが、これは現実的な方法とは言えません。また、そもそも道路が土地に面していなければ、資材だけでなく重機も土地まで入れられないため、価格が安くても安易に選ぶべき土地ではありません。
(2)土地の売却を計画しているなら出口戦略も重要
電気の「固定価格買取制度」で、電気を一定の価格で買い取ってもらえるのは20年間と決められています。太陽光発電設備を設置するために土地を買い取った人のなかには、この20年が経った後、土地の売却を計画している人もいることでしょう。
この場合、太陽光発電の事業が終了した後の「出口戦略」を先に考えておくことも重要です。太陽光発電の事業における出口戦略のうち1つは、「事業を終えた土地を売却すること」です。
しかし接道条件が悪いと、この出口戦略が使えません。なぜなら建築基準法には、「接道義務」というものがあるからです。
接道義務とは、建物の敷地が道路に2m(ないし3m)以上接していなければならないという決まりです。接道義務を果たしていない土地に太陽光発電設備を設置してしまうと、20年後に土地を売ろうと思っても、家が建てられない「需要の少ない土地」であるため、買い手がつかない可能性が高いと言えます。
土地が売れないと、その土地の固定資産税も支払い続けなければなりません。そのため土地を買い取る場合は、接道義務をクリアしている土地を選んだほうが賢明です。
①接道義務には例外がある
接道義務があるのは、各都道府県が指定している「都市計画区域」と「準都市計画区域」のみとなっています。どちらにも当てはまらない場合は、道路に面していない土地にも家を建てられます。
どうしても道路に面していない土地を購入したいという場合は、その場所が都市計画区域に該当しているかどうかを確認するといいでしょう。とはいえ現時点で指定されていなくても、20年の間にその土地が都市計画区域に新たに指定される可能性もゼロではありません。
そのため、やはり最初から接道義務の規定を満たした土地を選んだほうが無難です。
7.20年間の太陽光発電投資をイメージして土地買取を!
太陽光発電投資は、20年間という長丁場で行うことになります。この期間中にどれだけの収益が得られるかは、太陽光発電設備を設置する土地にかかっていると言っても過言ではありません。
せっかく土地を購入して太陽光発電設備を設置しても、土地の条件が悪ければ、1年目から後悔することになりかねません。そうなれば20年もの間、悔しい思いをしながら太陽光発電投資を続けるか、途中で事業から撤退することになってしまうでしょう。
それを避けるためにも、土地選びはこの記事で紹介した6つのポイントを踏まえ、20年間運用できるかどうかをよくイメージしたうえで、慎重に行うようにしましょう。
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