太陽光投資における「農地転用」の必要書類と流れを解説

今野 彰久

著者 今野 彰久

スマートエネルギー事業部の部長です。
自身でも太陽光投資をしているため、投資する方の目線でのご紹介を得意としています。

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地目が農地である土地には、そのまま太陽光の設置することは法律で禁じられています。仮に農地に設置したいのであれば、農地転用の手続きをして土地の地目を変える必要があります。


しかしながら、農地転用の手続きに必要な書類は種類が多く、また手続きもいくつかのパターンがあって複雑です。


そこで本記事では、農地転用の手続きに必要な書類とその流れを解説していきたいと思います。

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1.太陽光投資の農地転用には「完全転用型」と「営農型」がある

パネル

農地転用して太陽光発電を設置する方法は、大きく分けて以下の2つがあります。

  • 完全転用型
  • 営農型

それぞれの特徴を1つずつ見ていきましょう。

(1)完全転用型は太陽光投資に特化させる手段

「完全転用型」は、農地全体を完全に別の地目に転用することで、太陽光発電を全面に設置することのできる設置形態です。

通常の産業用太陽光発電と同様に、土地へ野立て架台を設置して太陽光発電を行います。土地全体を利用して多くの太陽光パネルを敷き詰めることができるため、より多くの発電量を確保できるのが利点です。

もちろん発電量が多ければ多いほど、多くの売電収入を得ることが期待できますので非常に投資効率が良くなります。

一方で、農地を完全に転用した上で太陽光発電設備を設置するため、農業用途には利用できなくなります。

(2)営農型は農業をしながら太陽光発電にも投資

「営農型」とは、土地自体は農業用途で利用を続けながら、土地上空の空間を活用して太陽光発電も行うという、まさに一石二鳥な設置形態のことです。

1つの土地が農業と太陽光発電の両方の用途を担うので、農業を継続しながら太陽光発電を行いたい方に最適です。「営農型」は、その特性から「ソーラーシェアリング」とも呼ばれます。

「営農型」太陽光発電の設置方法は、高い支柱で組み立てた架台に太陽光パネルを間引きした形で行います。太陽光パネルを間引きして設置するのは、農作物のために日射をある程度確保するためです。

「営農型」の利点は、農業をしながら太陽光発電もできる点ですが、デメリットもあります。

①育てる農作物に向き不向きがある

太陽光パネルを間引き設置して日射がある程度確保されているとはいえ、通常の農作物と比べると、直射日光の一部を遮られた分だけ日射は少なくなります。そのため、「営農型」に適した農作物を選択する必要があります。

例えば、陽性植物などの長時間の直射日光が必要な食物は不向きですが、陰性植物は日射量が少なくても十分に育ってくれるので「営農型」に適しているでしょう。

②発電量が「完全転用型」より少ない

太陽光パネルを間引き設置するため、太陽光パネルの枚数が「完全転用型」よりも少なくなります。パネル枚数に比例して、「完全転用型」と比べると発電量・売電収入が少なくなります。

③農地転用の必要書類が増える

「営農型」太陽光発電を設置するためには、通常の農地転用の手続きとは異なり、「一時転用」という手続きが必要になります。「一時転用」をするためには、必要な書類が追加されます。

このように、「完全転用型」と「営農型」それぞれでメリット・デメリットがあります。投資方針や土地の利用計画によって、どちらのタイプで進めるかを検討する必要があるのですす。

2.太陽光投資における農地転用のルール

農地転用のルールは、「農地法」によって決められています。「農地法」は農地転用だけではなく、そもそも農地とはなにかという定義から、さまざまな農地に関するルールが定められています。

では、その「農地法」で定められている農地転用のルールがどのようなものかを確認していきましょう。

(1)所有農地・購入農地のいずれも農地転用の手続きが必要

太陽光を設置する農地は、すでに所有している場合もこれから購入する場合もあるでしょう。

農地法では、所有している場合は第4条に、これから購入(売買)する場合は第5条に基づく転用許可申請が必要であると定められています。

①農地法第4条

自分で所有している農地を転用しているときには、第4条の許可が必要です。農地転用の申請は、所有者本人からの申請が必要になります。

②農地法第5条

農地を転用するために、土地の売買や賃借によって農地の権利を移行させるときには、第5条の許可が必要になります。

この場合、農地転用の申請は土地の買主(借主)だけでなく、土地の元の所有者である売主(貸主)の2名が連名で申請をしなければなりません。

(2)転用申請は農地区分によって許可されるかが変わる

農地は、営農条件や市街地化の状況から5つの農地区分が設定されています。この農地区分によって、農地転用の申請許可をされるか否かの方針が変わります。

以下の表は、それぞれの農地区分における農地転用の許可方針をまとめたものです。

農地区分 要件 許可の方針
農用地区域内農地 市町村が定める農業振興地域整備計画において農用地区域とされた区域内の農地 原則不許可
甲種農地 市街化調整区域内の
・農業公共投資後8年以内の農地
・集団的農地で高性能農業機械で営農可能農地
原則不許可
※ただし、土地収用法認定事業等公益性の高い事業(第1種農地の場合を更に限定)のように供する場合等は許可
第1種農地 ・集団的農地(10ha以上)
・農業公共投資対象の内
・生産力の高い農地
原則不許可
※ただし、土地収用法認定事業等公益性の高い事業のように供する場合等は許可
第2種農地 ・農業公共投資の対象となっていない小集団の生産力の低い農地
・市街地として発展する可能性のある農地
第3種農地等に立地困難な場合に許可
第3種農地 ・都市的整備がされた区域内の農地
・市街地にある農地
原則許可

表からわかるように、農地区分が第2種農地もしくは第3種農地であれば、農地転用の申請が許可されます。

一方で、それ以外の第1種農地などの農地区分では原則として申請許可が下りないため、注意が必要です。基本的に農地転用は、市街地に隣接していたり、生産能力が低い農地から優先的に転用されるように誘導されています。

逆に農地として優良な条件の揃った土地は、農地転用されてしまうと農業発展を阻害してしまうため申請が許可されない方針になっているのです。

3.農地転用に必要な書類はどういったもの?

農地転用を申請する際には、さまざまな書類を揃えて提出しなければなりません。必要書類の種類は申請を行う自治体によって異なりますが、ここでは農地転用の手続きで一般的な必要書類を紹介していきます。

農地転用に必要な書類は、全部で以下の11種類あります。

太陽光投資における農地転用の必要書類
①許可申請書 ②申請書に係る別紙
③登記簿謄本(登記事項証明書) ④位置図
⑤公図の写し ⑥案内図
⑦現況図 ⑧配置図
⑨委任状:印鑑証明確認書 ⑩事業計画書
⑪土地利用計画図

大まかに分けると、①と②が申請に関する書類、③〜⑧が土地に関する書類、⑨が申請者に関する書類、⑩〜⑪が太陽光発電(事業内容)に関する書類です。

1つずつどのような書類か、詳しく見ていきましょう。

(1)許可申請書

農地法第4条もしくは第5条に基づいて、農地転用の許可を申請する書類です。書式は各自治体で異なります。ホームページからダウンロードもできますし、市役所等で受け取ることもできます。

(2)申請書に係る別紙

(1)の申請書では記載しきれない項目を補う別紙です。様式は指定されていないことが多いですが、申請書と同じサイズで揃えた方が良いでしょう。

(3)登記簿謄本

土地の所有者や面積・所在などの基本情報を明記した書類です。「土地の全部事項証明書」という名称で記載されていることもあります。

法務局で取得することができ、窓口もしくはオンラインで郵送依頼をして受け取ることができます。取得には、数百円程度の手数料がかかります。

(4)位置図

土地の位置を図示する書類です。縮尺1000分の1〜2500分の1で、最寄り駅、役場、インターチェンジなど公共施設からの距離などがわかるようにする必要があります。

(5)公図の写し

法務局にある公図のことです。縮尺600分の1程度の写しで、土地の形や地番、申請地に隣接する道路や水路などを示します。発行してからの期限が設定されている場合もあるため、なるべく申請直前に準備したほうが良いでしょう。

また、公図ではなく、税務課の地籍図を求められることもあります。

(6)案内図

土地へのアクセス方法を案内する書類です。「Google Maps」などで、経路検索した結果を印刷するのが便利でしょう。

(7)現況図

周辺の土地利用状況がわかる書類です。地籍図または公図の写しに、近隣土地の地目・地籍・名義人が記載されている必要があります。⑤を準備する際に一緒に用意しましょう。

自治体によっては、周辺写真を求められることもあります。

(8)配置図

建物の配置を示す書類です。申請地の配置状態や協会からの距離、排水経路などを示します。法務局で取得することができます。

(9)委任状

行政書士や司法書士へ申請を委任する旨を記載した書類です。委任状と合わせて、印鑑証明書などの書類を別途用意する必要もあります。

(10)事業計画書

事業の全体計画、実施の理由などを説明する書類です。太陽光発電設備の詳細や土地を選定した理由、周辺農地への被害防除対策などさまざまな内容を盛り込む必要があります。

(11)土地利用計画図

土地の利用計画や位置・隣接した境界や施設との距離、品目や数量を明記した書類です。縮尺300分の1〜600分の1の図に上記情報を記載していきます。

太陽光パネルの枚数やサイズ、システム容量、設置角度など詳細な情報も記載しておくと良いでしょう。以上が農地転用で必要な書類です。

①営農型で太陽光投資を行う場合には追加書類が必要

さらに、「営農型」太陽光発電で一時転用の手続きをする際には、上記に加えて追加書類が必要になります。営農計画や遮光率に関する書類、設置するパネル支柱に関する情報、太陽光発電設備の撤去費用など、「営農型」で確認すべき事項を提出しなければなりません。

このように農地転用に必要な書類は、種類が多く内容も多岐にわたります。さらに、申請を行う状況・各自治体によって必要書類、書類様式も異なります。

必要に応じて、行政書士や司法書士に申請の代行を依頼しましょう。依頼費用は、おおむね20万円前後です。

ご自身で申請するのであれば費用が1万円前後で済みますが、調べる手間や書類不備による申請の遅れなどを考えると、代行申請がおすすめです。

関連記事:太陽光発電の手続き全公開!「売電スタート」と「売電継続」で2回必要

4.農地転用の手続きは農地規模によって変わる

農地転用を申請を行う際、農地規模と市街化区域内外によって手続きの流れが異なります。市街区域外で農地転用するには、基本的に都道府県知事や農林水産大臣の許可を得なければ農地転用の手続きができません。

それぞれの手続きの流れを見ていきましょう。

(1)農地面積が4ha(ヘクタール)以下

市街化区域外かつ農地面積が4ha以下の場合は、農業委員会を経由して都道府県知事へ許可申請します。農業委員会に申請書を提出すると、委員会の意見書が知事へ送付されます。

すると、知事は農業会議へ意見を聞き、その上で許可の判断がされます。

また、農地面積が2haを超え4ha以下の場合、農林水産大臣と協議を行います。

手続き

(2)農地面積が4ha(ヘクタール)を超える

市街化区域外で農地面積が4haを超える場合は、都道府県知事を経由して農林水産大臣へ許可申請します。自治体によっては、都道府県知事の業務を農業委員会が代行して行うこともあります。

手続き

(3)市街化区域内農地を転用

市街化区域内で転用の許可は不要です。手続きは、農業委員会へ届出書を提出するだけです。

手続き

上記をまとめると、以下の表のようになります。

市街化区域 農地面積 許可申請先
区域外 4ha以下 都道府県知事
4haを超える 農林水産大臣
区域内 許可は不要
(市町村農業委員会へ届出を提出)

手続きの流れは自治体によって変わることもあります。そのため、申請を始める前に管轄の自治体や農業委員会に事前相談することをおすすめします。

農地種類の確認や書類のアドバイスなども合わせてしてもらえる可能性もありますので、ぜひ活用しましょう。

5.農地転用は必要書類が多く手続きも複雑なので早めの準備を

農地に太陽光発電設備を設置するためには、必ず農地転用の手続きをしなければなりません。農地転用の許可を得ずに太陽光発電の施工や設置工事を行うと、罰則の対象となります。行政命令によって、設置工事の差し止めや設備の撤去命令をくだされるのです。

一方で、農地転用は必要書類が11種類程度と非常に多く、また管轄の自治体によってその書類の種類や手続きの流れが変わります。

そのため、思っている以上に農地転用の手続きに時間がかかることもあります。狙っている年度内の買取単価を確保するためにも、早めに準備を進めていきましょう。

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