2019.04.30 Apr
更新日時:2020.04.17 Fri
工事費負担金の目安は?支払わなければ太陽光発電はできないの?
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太陽光発電投資を始める際、工事費の見積りにある「工事費負担金」という言葉。これはいったい、どのような費用を指すのでしょうか。
結論からいうと、これは太陽光施設から送電を行う工事に対し、電力会社に支払う必要がある負担金のことです。負担金の額は発電量・地域によって異なりますので、その目安をあらかじめおさえておきましょう。
本記事では、工事費負担金の仕組みや費用について解説していきます。
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目次
1.「工事費負担金」は太陽光発電所と電線を接続する費用
太陽光発電投資は、発電した電気を電力会社に買い取ってもらうことで利益を得るビジネスモデルです。
そのためには、太陽光発電設備を電線網につなげて、発電した電気を送れるようにする必要があります。
太陽光発電設備を電線網につなげることを「連系」といいます。この連系の工事にかかるお金が、工事費負担金です。
連系工事は、電線網を管理している、以下の電力会社が担当しています。
- 北海道電力
- 東北電力
- 北陸電力
- 東京電力
- 中部電力
- 関西電力
- 中国電力
- 四国電力
- 九州電力
- 沖縄電力
工事をするのは、太陽光発電設備を設置する土地を管轄している電力会社です。北海道なら北海道電力、関東なら東京電力が管轄になります。
2.太陽光発電所の工事費負担金の目安はどれくらい?
太陽光発電投資を始めるにあたって、工事費負担金はどのくらい必要になるのでしょうか。
先ほど紹介した電力会社のなかには、発電出力1kWあたりの工事費負担金の単価を公開しているところもあります。
発電出力とは、太陽光発電設備から電力会社へ送る電気の出力を指します。
電気を変換して、電力会社に送るパワーコンディショナーの出力と考えるとわかりやすいかもしれません。
例えば、200kWの太陽光パネルを積んでおり、パワーコンディショナーの容量が100kWの場合、この施設の発電出力は100kWとなります。
工事を担当するのが単価を公開している電力会社なら、事前にだいたいの工事費負担金の額を把握できます。
ただし、工事費負担金の単価は更新されることがあるので、連系工事を申込む前に最新の価格をチェックしておきましょう。
では次から、各電力会社の工事費負担金の目安について紹介していきます。
(1)北海道・東北・北陸・中国・四国・沖縄電力の工事費負担金
電力会社10社のうち、以下6社では工事費負担金の単価が公開されていません。
- 北海道電力
- 東北電力
- 北陸電力
- 中国電力
- 四国電力
- 沖縄電力
これらの電力会社が連系工事を担当する場合、太陽光発電所ごとに電力会社が工事費負担金を算出する「個別計算」となります。そのため、これらの電力会社では、申込者が事前に工事費負担金を計算することはできません。
ただし、設置する太陽光発電所の規模や条件に近い過去のケースを問い合わせることで、だいたいの値段を推定することは可能です。
もし上記エリアでの投資をご検討されている場合は、工事費負担金の目安に関して当サイトへご相談ください。
(2)東京・中部・関西・九州電力の工事費負担金
以下4つの電力会社では、工事費負担金の単価が公開されています。
- 東京電力
- 中部電力
- 関西電力
- 九州電力
どの電力会社でも、発電出力は小数点第一位を四捨五入した値になります。例えば発電出力が10.4kWなら10kW、10.5kWなら11kWで計算されます。
各電力会社の発電出力1kWあたりの工事費負担金の単価は、以下のとおりです。
電力会社 |
工事費負担金の相場 |
東京電力 |
1,700~10,500円 |
中部電力 |
3,700~12,200円/電柱1本につき150,000円 |
関西電力 |
900~4,200円 工事規模により、別途22,800~171,300円 |
九州電力 |
3,240~19,548円 |
※全て消費税を含む
では次から、各電力会社の具体的な単価について紹介していきましょう。
①東京電力:太陽光発電所の工事費負担金
東京電力の場合、以下の式で工事費負担金が求められます。
「工事単価×発電出力=工事費負担金」
東京電力では以下のように、工事規模の種別によって、それぞれ発電出力1kWあたりの単価が決められています。
出所:東京電力
東京電力を始め、各電力会社では「低圧引込線」や「低圧本線」など、電線の種類や必要な工事に応じて工事単価が分けられています。実施する工事に発電出力を掛けた値が、工事費負担金の額になります。
例えば変圧器以下工事をする場合、発電出力が10kWなら、工事費負担金の額は105,000円です。
東京電力で単価が公開されているのは、「変圧器以下工事」までとなっています。「高圧本線」以上の大規模な工事の場合は、個別計算になります。
②中部電力:太陽光発電所の工事費負担金
中部電力の場合、工事費負担金の額は、以下の式で求められます。
「工事単価×発電出力+建てる電柱の本数×15,000円」
中部電力の工事規模の種別と、それぞれの発電出力1kWあたりの単価は以下のとおりです。
出所:中部電力 ←現在リンクがなくなっており、近しいリンクを記載しています。
このように中部電力では、東京電力と違い、高圧本線以下の工事単価も公開されています。
そのため中部電力では、工事費負担金の個別計算はされません。
また中部電力では、新しく電柱を建てる場合の工事費用も公開されています。電柱の建設費用は、1本につき150,000円(税込)です。
③関西電力:太陽光発電所の工事費負担金
関西電力の工事規模の種別と、それぞれの工事費負担金は、以下の式で求められます。
出所:関西電力
関西電力では、東京電力同様、単価が公開されているのは変圧器以下工事までとなっています。高圧本線以上の工事をする場合や、電柱を建てる場合は、個別計算となります。
④九州電力:太陽光発電所の工事費負担金
九州電力の工事費負担金は、以下の式で求められます。
「工事単価×発電出力=工事費負担金」
九州電力の工事規模の種別と、それぞれの発電出力1kWあたりの工事単価は、以下のとおりです。
出所:九州電力 ※現在リンクがなくなっています。
九州電力では、中部電力同様、高圧線以下の工事費用や電柱の建設費用も公開されています。電柱の建設費用は、1本につき169,200円(税別)です。
(3)発電出力が10kW未満の場合の工事費負担金は?
太陽光発電設備の発電出力が10kW未満の場合、もともと設置されている電線をそのまま使用する形になります。
この場合、電線の引き込みなどの必要がないため、どこの電力会社でも原則工事費はかかりません。
ただし発電出力が10kW未満の太陽光発電所でも、電力会社に売った電気の量を測定する「売電メーター」の費用がかかります。
売電メーターの費用は発電所の規模にもよりますが、15,000~30,000円程度が相場です。
関連記事:太陽光発電の売電が止まる「出力抑制(出力制御)」とは?
3.太陽光発電の工事費負担金を支払わなければどうなるの?
工事費負担金の正式な額は、電力会社が算定して決まります。
この工事費負担金の額に連系の希望者が承諾すれば、工事費負担金契約が行われます。この時点で電力会社は、連系希望者の申し込んだ分の「系統容量」を確保します。
系統容量とは、送電線の空き容量のことです。この系統容量がないと、発電した電気を電力会社に送れません。
契約をした後は、定められた期日までに工事費負担金の支払いをすることになります。
しかし中には、期日までに工事費負担金を支払わなかったり、遅延する連系希望者もいます。
・工事費負担金を支払わない場合は容量を取り消される
この場合、電力会社は使用されない電線の系統容量を確保し続けなければなりません。こうなると、他に希望者がいても、系統容量が不足しているために連系ができないという事態も起こり得ます。
これを受けて「電力広域的運営推進機関(OCTTO)」は、期日までに工事費負担金の支払いをしない連系希望者に対し連系等を拒み、確保した容量を取り消す手続例を発表しました。
契約で定められた期日までに工事費負担金が支払われなかった場合、連系希望者のもとに催告通知が届くと同時に、支払い期日が1ヶ月延期されます。
延期された期日までの間にも工事費負担金を支払わなかった場合は、契約申込みを取り下げたものと見なされ、系統容量が取り消されます。
そもそも工事費負担金を支払わないと連系工事が始まらず、太陽光発電投資も始められないため、必ず期日までに支払うようにしましょう。
4.その他、太陽光発電の工事費負担金に関する注意点
ここまで説明してきた事項以外にも、工事費負担金にはいくつかの注意点があります。ここでは、注意点について詳しく説明していきましょう。
(1)ケースによって太陽光発電の工事費負担金は割高になる
先ほど、東京・中部・関西・九州の各電力会社の工事費負担金の単価や計算式について紹介しましたが、これらはあくまで目安と捉えておきましょう。
連系工事の設計は、連系希望者が揃えた資料をもとに各電力会社が行います。
この設計では、電線を通すルートや電柱増設の要不要、電線の太さや長さなどが決められます。
つまり、太陽光発電所の条件によっては、連系希望者の想定よりも工事に必要な部材の量が多くなることも十分あり得るのです。この場合、想定以上の工事費負担金がかかることになります。
また、設計が終わって工事費負担金が確定した後でも、設計したとおりに電線をつなげられないなどの理由で、料金が高くなるケースもあります。
そのため工事費負担金は最初から、想定より高めに見積もっておくといいでしょう。
(2)入金後すぐに太陽光発電の施工工事が始まるわけではない
連系工事は、工事費負担金の支払いが終わった後、すぐに始まるわけではありません。
特に電柱や変圧器を設置したり、交換が必要な場合などは、工事が始まるのは支払いから2~3ヶ月後になります。
その他、工事費負担金に関して不明な点があれば、当サイトへ気軽にお問い合わせください。
5.太陽光投資における工事費負担金は償却資産として扱われる
最後に、工事費負担金の経理上の扱いについても説明していきましょう。20万円を超える工事費負担金は経費ではなく、「繰延資産」になります。
繰延資産とは、そのお金を支払った効果が、1年以上の将来にわたる資産のことです。繰延資産は支出した年に一括経費になるものではなく、その効果がおよぶ「償却期間」(月数)に分けて経費にできます。
例えば償却期間が5年で60万円の繰延資産の場合、60ヶ月にわたって、毎月1万円ずつ経費に計上できるのです。繰延資産は毎月経費にできるぶん、長期間にわたって節税ができます。
(1)太陽光発電の工事費負担金の償却期間
工事費負担金の償却期間については、2つの決め方があります。
①無形固定資産の耐用年数を適用した場合
1つは、「無形固定資産」の耐用年数に応じた年数にする決め方です。無形固定資産とはその名のとおり、形のない資産のことです。
無形固定資産には様々な種類があり、それぞれ耐用年数が決まっています。この耐用年数がそのまま、繰延資産の償却期間になるのです。
太陽光発電所の工事費負担金は、無形固定資産のなかの「電気ガス供給施設利用権」にあたります。電気ガス供給施設利用権の耐用年数は、15年間です。
つまり、太陽光発電の工事費負担金は、償却期間15年の繰延資産になります。例えば工事費負担金が180万円の場合、180ヶ月間にわたって、毎月1万円ずつ経費にできます。
②固定価格買取制度に応じて償却資産を求める場合
償却期間のもう1つの決め方は、太陽光発電の「固定買取価格制度(FIT制度)」に応じた年数にする決め方です。
固定買取価格制度とは、太陽光発電を始めとした再生可能エネルギーを、国が一定期間、一定の価格で買い取る制度です。
太陽光発電によって産出された電気の買取期間は、家庭用が10年、事業用が20年となっています。
事業用の太陽光発電所の場合、この買取期間に応じて、工事費負担金の償却期間を20年に設定することも可能です。
例えば工事費負担金の額が240万円の場合、240ヶ月間にわたって、毎月1万円ずつ経費に計上できます。
工事費負担金の償却期間は、15年と20年のどちらで設定しても問題ありません。経理上の都合が良いほうで、設定するといいでしょう。
(2)太陽光発電の工事費負担金が20万円以下の場合
ここまで工事費負担金は繰延資産になると説明してきましたが、これはあくまで工事費負担金が20万円を超える場合の話です。
工事費負担金の額が20万円未満の場合は繰延資産ではなく、「少額繰延資産」になります。
少額繰延資産は、償却年数にわたって経費に計上するのではなく、支出があった年に一括して経費に計上することになります。
そのため工事費負担金が20万円未満の場合、全額をその年の経費にできるのです。
6.資金・時間に余裕を持って太陽光発電投資を始めよう
太陽光発電投資をするうえでは、発電設備を電線網につなげるための連系工事が欠かせません。
工事を行う電力会社によっては、工事費負担金の単価を公開しているところもありますが、実際には想定よりも多くのお金がかかるケースもあります。
また連系工事は、工事費負担金を支払ってから、すぐに行われるわけではありません。
そのため、資金が足りなくて必要な設備を導入できなかったり、時間が足りずに焦ったりすることのないように、資金と時間には余裕を持ったうえで太陽光発電投資を始めるようにしましょう。
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