2019.05.29 May
更新日時:2019.09.10 Tue
追尾式架台を利用した太陽光発電は得か?損か?徹底解説!
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FIT制度は少しずつ売電単価が下がっているため、ちまたでは「今から太陽光発電の投資をはじめても、赤字にならないだろうか?」との疑問が上がっています。
そんな中、2017年頃から脚光を浴びているシステムがあります。それは、追尾式の太陽光発電設備です。この追尾式システムなら買取価格が14円でも十分に投資効果がある、と耳にした人もいるかも知れません。果たしてその真相はどうなのでしょうか?
このページでは追尾式の太陽光発電設備について、その原理やメリット・デメリットなどを掘り下げて解説します。
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目次
1.FIT単価低下で注目が集まる太陽光発電の追尾式架台
2012年からスタートした、太陽光発電の固定買取制度。多くの投資家は買取価格30円を下回った2015年度の頃から、いかにして高い発電量を稼ぐかを検討課題として捉えるようになりました。
同じ頃、再エネ資材の大規模な展示会では、海外や国内メーカーによる追尾式架台の出展が目立つようになったのです。当時は、どのメーカーも開発して間もない提案商材であったために実績が乏しく、加えて高価だったこともあり、急激に普及することはありませんでした。
しかし、固定架台と比べて発電量が数十パーセントも上回る実証データや、システムの実用性が評価され、ここ数年のうちに普及率が伸びています。
(1)追尾式架台の原理と特徴
太陽光発電の追尾式架台は、読んで字のごとく太陽の光を追尾するシステムです。よって、日の出の時間帯にはパネルは東に向いて日光を受け、日没までのあいだは太陽をずっと追いかけるヒマワリの花のような動きをします。
一般的な固定架台の場合、ほぼ真南の方角にパネルを向けた状態のままです。そのため発電ピークの時間帯は午前11時頃から午後2時頃までとなり、それ以外の時間帯では高い発電量は期待できません。
しかし、追尾式の架台は日の出とともに太陽光の追尾がはじまり、日没までまんべんなく日光を受けて発電します。従って、同じ条件の場所での年間の総発電量が、固定架台のものと比べると約1.2~1.5倍も高くなることが最大の特徴です。
(2)追尾式架台の種類
追尾式の架台は大きく分類すると、東西を追尾する「一軸式」と、東西南北の全方位を追尾する「二軸式」です。設置する用地の環境や、予算に応じて選べます。また、すべて自動化されているものや半自動式、完全手動式の3タイプがあります。
自動式の追尾システムでは、一軸式、二軸式ともに光センサーを利用した可動方式をほとんどのメーカーで採用されています。
一軸式なら1個、二軸式には2個のセンサーを架台レールの端に取り付け、センサーが常に太陽の光を最適な角度で捕えます。そして、センサーから制御システムに送られた信号に応じて、架台レールが傾倒する仕組みです。
架台レールを動かす方法は、四方にワイヤーを張り、それぞれのワイヤーを伸縮させながら架台の角度を変化させるもの。また、支柱や架台自体を回転させるものなど、メーカーによって様々です。
①一軸式〈東西追尾〉タイプ
一軸式タイプは支柱が架台の軸となり、東から西へ半円状に回転する動きをします。そのため、季節によって異なる太陽の高度には対応できません。1年でもっとも太陽の高度が低い冬至の時期でも、南北の角度は一定のままです。
しかし、悲観するほどの発電量の落差はなく、初期コストやメンテナンスのリスクなどを考慮すると、設置場所の条件によりますがメリットは高いと言えるでしょう。
②二軸式〈全方位追尾〉タイプ
二軸式タイプの追尾式架台は、東西南北の全方位で太陽光を追尾するシステムです。
通常、追尾式架台と呼ばれるものは、この二軸式タイプを指すことが多いようです。太陽の高度は季節ごとに毎日変化します。二軸式タイプであれば、朝夕の発電はもちろんですが、太陽の高度がもっとも高くなる夏至や、逆に高度が最低となる冬至でも、光センサーと架台の連動によって最適な角度で発電を促してくれます。
2.太陽光発電に対応する追尾式架台の相場価格は?
年間の発電量を大きく左右する追尾式架台。当然、気になるのはシステムの価格です。
追尾式架台の場合、通常では1アレイを1基として設置します。1アレイの規模は大小ありますが、一般的に流通しているアレイの規模は、だいたいパネル12枚から48枚程度のものです。
1枚300Wのパネルであれば、1基で3.6~14.4kWということになります。固定架台でこの程度の規模であれば、資材と施工費でだいたい30万円~100万円程度で済むと思われます。
いっぽう追尾式架台であれば、メーカーやシステムの内容で異なりますが、一軸式で約1.5倍から2倍、二軸式なら2倍から3倍を乗じた価格帯が相場のようです。1kW換算で10万円以上する架台となると、初期投資をなるべく抑えてすすめたい太陽光投資で、少し割高感があるのは否めません。
しかし、今もなお普及が拡大している商材であることは間違いなく、メーカーの企業努力が進むことは期待できるでしょう。
3.なぜメーカーや販売店によって発電量が異なるのか?
買取価格が低い時代に突入し、追尾式架台の製造メーカーや販売代理店による販促活動も活況を呈しており、インターネットで検索すると、多くの販売サイトが目に飛び込んできます。
ほとんどのメーカーや販売店では、固定架台との発電量の違いにスポットを当てて、そのメリットを訴求しています。無論、各社で実証した結果を公表してその違いを示しているのですが、その数値は各社で異なります。
もちろん、固定架台との比較値が高ければ高いほど魅力的です。しかし、構造こそ各社によって異なるものの、追尾の原理やシステムはほぼ同じです。それなのに、なぜ比較値が異なるのか?考えられる理由として2つ挙げられます。
①営業スタンスと検測環境の違い
1つは、各社の営業スタンスによるもの。2点目は、検測のために架台を設置した用地の環境によるものです。そもそも発電量の高低は、太陽光パネルの性能や天候などの環境に依存する部分が大きく、架台の方位や角度、高さはそれを補助するものです。
そのため、一概に比較値の大きさだけで追尾式の商材を選定することはおすすめしません。あくまでも設置するパネルやパワーコンディショナなどとの相性、そして何よりも用地の環境に適しているかが、導入効果を左右することを覚えておきましょう。
4.追尾式架台に適している太陽光用地とは?
追尾式架台を導入し、その効果をいかんなく発揮させるためには、用地の環境がとても大事だとお伝えしました。
では、追尾式架台に適した太陽光用地とはどのような土地なのか?それを知る上で追尾式架台の基本的な性質を理解しておくとよいでしょう。
(1)太陽光を妨げる障害物が周囲にない土地
追尾式架台の最大の特長は、日の出の早い時刻から日の入りまでの長い時間、発電を促すことです。しかし東の方位に大きな障害物、例えばビルなどの構造物や小高い山などによって、日の出時刻を過ぎても十分な太陽の光が用地に差し込まなければ、せっかくの追尾システムの効果を発揮する機会を奪ってしまいます。
よって、北側以外の周囲に障害物がない土地は、追尾式架台に適した土地といえるでしょう。
(2)傾斜地よりも平坦地が望ましい
追尾式架台は傾斜地でも設置することは可能です。
ただし、急な傾斜がある土地の場合、メンテナンスや点検が困難になります。一般的な固定架台と比べ、追尾式架台には電子制御システムやベアリングなどの駆動部分もあり、容易に点検や交換作業ができる土地が適しているといえます。
5.太陽光発電はFIT価格14円でも採算が取れるの?
好条件の土地であれば、固定架台に比べると追尾式のほうが発電量が高くなることは理解していただけたと思います。しかし、価格が少々割高なこともネックです。いくら発電量が高くなるといっても、はたして買取価格14円の今、採算は合うのでしょうか?
採算が合うか合わないかは、資材の導入費をみるだけでは一概に計算できませんが、おおかたの目安は立てることができます。当然ですが、導入を決定するまでには、確かな収支シミュレーションを積算することは必須です。パネルやパワーコンディショナを含む資材費もそうですが、初期投資で鍵を握るのが施工費です。
その点でいうと、追尾式架台の設置工程は短期で済むというメリットがあり、それがそのまま施工費に反映されてきます。基礎部分から架台レールの資材から施工までパッケージ化されているものも多く、コスト減にもつながっています。検討するのであれば、必ず複数社に相談した上で見積りを入手し、シミュレーション作成に活かしましょう。
ただ、買取価格14円はこれまで以上に低い水準であることは間違いありません。そのため初期投資だけでなく、運転開始後に必要となるランニングコストにも注視しなければなりません。
検討する中で不安材料は尽きないかも知れませんが、これまで実際に追尾システムを導入した投資家からは、土地や設計などに問題がなければ14円でも十分に採算は合うという意見を多く聞くことができます。
6.太陽光発電における追尾式架台の主なメリット・デメリット
買取価格が低い時代を支える万能架台のようにも謳われる追尾式架台。その原理や特徴からみえるメリットもありますが、その反面にはデメリットもあります。
双方をよく理解しておけば、営業マンとの商談や導入判断の指針になるでしょう。
7.追尾式架台の設置時に注意すべきポイント2つ
追尾式架台の導入を決定し、いよいよ設置したあとで分かるミスがあります。重厚なコンクリート基礎にアンカーボルトで強固に固定する追尾式架台。設置後ではどうにもならない場合もあります。
そこで、設計や施工業者に対して施工前に確認しておくべきポイントを2つ紹介します。どちらもあってはならない凡ミスですが、実は意外と発生しているミスです。是非、参考にしてください。
(1)架台同士が近すぎて太陽光パネルに影が落ちてしまう
追尾式架台は、常に太陽の光がパネルに対して90度の角度で当たるようになっています。言い換えると、パネルの背中から伸びる影は常に移動しているということです。
そのため、複数の追尾式架台や、近くに固定架台の発電設備がある場合に、時刻によっては影を落としてしまう可能性があるのです。特に午後の西日や冬場は影が伸びるので要注意です。敷地内に複数の発電設備を設置する際は、そのあたりに十分な注意を払いレイアウトしなければなりません。
(2)架台同士が近すぎて回転した時に太陽光パネルが接触してしまう
ポイント1に似た凡ミスですが、これも無さそうでよく耳にするミスです。
隣接して設置した二軸式の追尾式架台が、真西に首を振った時にパネル同士が接触。これは動かしようがない重大なトラブルです。あきらかに設計の段階で気付いてなければならないミスですが、オーナーも施工に入る前に確認しておくことで、トラブルを回避することができます。
容易にメンテナンスできるように配慮し、決して無理に隣接させて設置するようなことを避けるようにしましょう。
8.追尾式架台の解体・処分費はどれくらい?
固定架台と比べ構造がひと味違う追尾式架台。売電期間を終えたあとの解体費用や処分にかかる費用はどれくらい必要になるのでしょうか。追尾式架台をいくつかのパーツでわけて考察してみます。
まずはパネルを固定するレールの部分。追尾式架台のレール部分には、ほとんどの場合アルミ素材が用いられています。軽量化や施工速度をあげる意図があると思われます。
また、支柱の部分はスチール(鉄)、固定用のアンカーや接続部のボルト・ナット類はステンレス素材が使用されており、これらはすべてリサイクルが可能なため、撤去後はリサイクル業者が買い取ってくれると予測できます。唯一、支柱を固定する基礎部分のコンクリートは産業廃棄物扱いになるので、産廃業者に有料で処分してもらわなければなりません。
ざっくりと目算するなら、リサイクル品の買取額でコンクリートの処分費を賄うといったところでしょう。解体工事の費用については、架台の規模や解体業者によって変わりますが、住宅の解体工事を基準にするなら、1基につき約15万円から20万円は必要になると予測できます。
関連記事:太陽光投資における「架台」の役割を解説!傾斜角度や高度による違いとは?
9.メリットだけに囚われず追尾式架台の導入計画は慎重に
固定買取価格の下落はこれから先も続くことがほぼ確定しています。世間では欧米先進国に倣い、7円程度まで下がるとまでいわれています。
そのような中で、追尾式架台の開発はまだまだ進められており、これから太陽光投資を検討する方にとっては心強いことでしょう。確かに買取価格が低い時代において追尾式架台は、もはやなくてはならない資材のひとつになりつつあります。
ただし、決してメリットだけに囚われずに慎重な収支シミュレーションを作成して検討するようにしましょう。
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