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出力抑制の対象地域はどこ?太陽光投資家が実践できる対策はあるの?

太陽光発電では、設備に問題がなくても、突然発電がストップしてしまうことがあります。これは多くの場合、「出力抑制」にかかったことが原因です。


この出力抑制がなんのことか分からないまま太陽光発電投資を始めてしまうと、思わぬ損失を受けてしまいます。そのため、出力抑制について知識をつけたうえで対策をしましょう。


今回は出力抑制やその対策について、徹底解説していきます。

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1.太陽光投資の利益率低下を招く出力抑制とは?

パネル

太陽光発電における出力抑制とは、電力会社が発電所の電力系統への接続を一時的に制限することです。出力抑制がかかっている間は、発電した電気を電力会社に送電できません。

なぜこんな仕組みがあるのか、疑問に思った方も多いでしょう。では次から、太陽光発電に出力抑制がある理由について説明していきます。

(1)太陽光発電に出力抑制がある理由

出力抑制が行われる理由は、電気の需要と供給のバランスをとるためです。需要は電気の使用を指し、供給は電気の生産を意味します。

太陽光発電所で作られた電気は、東京電力などの各地の電力会社に送られます。各電力会社では、送られてきた電気を一定の品質に整えてから、家庭や事業所などの電気を必要とする消費者に送る仕組みです。

このとき、発電所から送られてくる電気量(供給)と、消費者に送る電気量(需要)は同じ量でなければなりません。なぜなら、電気の需要と供給のバランスが崩れると、電気の電圧や周波数を変える「変電所」がダメージを受けたり、電気が逆流したりして大規模な停電を引き起こすからです。

太陽光発電は、太陽光が当たれば自動的に発電してしまいます。そのため燃料を燃やして発電している火力発電と違って、発電量の調整ができません。

電気の需要が少ないときに太陽光発電による電気の供給が増えてしまうと、需要と供給のバランスが崩れてしまいます。そこで各電力会社では、電気の供給過多を防ぐため、太陽光発電設備に出力抑制をかけることで供給量を抑えているのです。

(2)出力抑制はどのように行われているのか?

太陽光発電では、設備があるエリアや設備容量によって、出力抑制の対象になる場合とならない場合があります。

出力抑制の対象となる太陽光発電所は、「出力制御対応のパワーコンディショナ」や、「出力制御ユニット」などの機器の導入が義務付けられています。出力制御ユニットは、各電力会社から出力抑制のスケジュールを受信し、パワーコンディショナの出力を制御するための機器です。

出力制御ユニットは、インターネット回線を通して、各電力会社のサーバーから出力抑制の命令を受けています。これらの機器があれば、各電力会社は遠隔で、太陽光発電所の出力を制御できるというわけです。

出力を制御するための機器は、太陽光発電事業者が自費で購入しなければなりません。これらの機器の導入を拒否した場合、売電契約を解除されるおそれがあります。

東京電力・中部電力・関西電力の管内で、設備容量が50kW未満の太陽光発電施設は、出力抑制の対象外となっています。この場合は、出力抑制のための機器を導入する必要はありません。

(3)太陽光発電の出力抑制の優先順位は低め

出力抑制がかかるのは、太陽光発電所だけではありません。火力や水力など、全ての発電所に出力抑制があります。さらに出力抑制がかかる発電所には優先順位があり、その順番に出力抑制がかけられていきます。

電力が供給過多になった際、最初に出力抑制がかかるのは、各電力会社が確保している発電所です。それでもまだ供給過多が解消されない場合に、一般の発電事業者の発電所に出力抑制がかけられます。

出力抑制がかけられる発電所の順番は、概ね以下のとおりです。

  1. 火力発電所・揚水発電所
  2. バイオマス発電所
  3. 太陽光発電所・風力発電所
  4. 原子力発電所・水力発電所・地熱発電所

最初に出力抑制がかかるのは、火力発電所や揚水発電所です。太陽光発電所に出力抑制がかかる順番は、後の方になっています。

(4)出力抑制のルール

ルール

もともと出力抑制の対象になる太陽光発電所は、設備容量が500kW以上の施設だけでした。しかし2015年にFIT法が改正されてから、500kW未満の設備にも対象範囲が広がりました。

現在では、太陽光発電所の設備容量によって、以下の3区分に分けられています。

  • ~10kW
  • 10kW~50kW
  • 50kW~

各電力会社では、各区分に、それぞれ出力抑制の条件を定めています。出力抑制の条件を決めるルールは、以下3種類あります。

  • 旧ルール
  • 新ルール
  • 指定ルール

①旧ルール

旧ルールは、2015年のFIT法の改正の前に適用されていたもので、「30日ルール」とも呼ばれています。旧ルールでは、出力抑制の上限が年間30日間に設定されており、1日単位で出力抑制がかけられる仕組みです。出力抑制がかかった日は、一切送電ができません。

出力抑制をかけられた日数が年間30日間を超えた場合、それ以降の売電額を補償してもらえます。

旧ルールが適用されるのは、以下の条件を満たしている太陽光発電所です。

  • 2015年1月25日までに売電の申込みをした
  • 設備容量が500kW以上

これから売電の申込みをする場合は、「新ルール」か「指定ルール」が適用されます。

②新ルール

新ルールは、FIT法の改正に伴ってできたもので、「360時間ルール」とも呼ばれています。新ルールでは、年間の出力抑制の時間の上限が360時間になっており、1時間単位で出力抑制がかけられる仕組みです。年間360時間を超えて出力抑制がかかった場合は、それ以降の売電額を補償してもらえます。

③指定ルール

指定ルールでは、旧ルールや新ルールと異なり、年間の出力抑制の上限が定められていません。そのため、出力抑制が年間360時間を超えた場合も、補償は一切受けられません。

各電力会社ではそれぞれ、太陽光発電設備の「接続可能量」を設定しています。接続可能量とは、電力会社が360時間の出力抑制の上限を超えても、出力抑制をしなければ太陽光発電所の受け入れができなくなる限界接続量です。

接続可能量が上限に達すると、それ以降に申込みをした事業者の太陽光発電所には指定ルールが適用されます。

2.太陽光発電における出力抑制の対象地域・電力会社まとめ

2019年5月時点で、これから売電の申込みをする場合、各電力会社の設備容量ごとの出力抑制の条件は以下のように規定されています。

  ~10kW 10~50kW 50kW~
北海道電力 10kW以上から抑制対象になる
(10kW未満は優先的な扱い)
抑制対象
(年間360時間を超えても無補償)
東北電力 10kW以上から抑制対象になる
(10kW未満は優先的な扱い)
抑制対象
(年間360時間を超えても無補償)
東京電力 対象外 抑制対象
(年間360時間までは無補償)
中部電力 対象外 抑制対象
(年間360時間までは無補償)
北陸電力 抑制対象
(年間360時間を超えても無補償)
関西電力 対象外 抑制対象
(年間360時間までは無補償)
中国電力 10kW以上から抑制対象になる
(10kW未満は優先的な扱い)
抑制対象
(年間360時間を超えても無補償)
四国電力 抑制対象
(年間360時間を超えても無補償)
九州電力 抑制対象
(年間360時間を超えても無補償)
沖縄電力 抑制対象
(年間360時間までは無補償)

①北陸電力・四国電力・九州電力

北陸電力・四国電力・九州電力では、すべての区分で指定ルールが適用されています。出力抑制は無制限となっており、年間360時間を超えて抑制がかかった場合も補償はされません。

②北海道電力・東北電力・中国電力

北海道電力・東北電力・中国電力でも、全区分で指定ルールが適用されます。ただし10kW未満の太陽光発電設備は、10kW以上の設備の後に出力抑制がかかるなど、実質的な優先措置がとられています。

③沖縄電力

沖縄電力では現時点で、全区分で新ルールが適用されます。出力抑制の上限は年間360時間に制限されており、これを超えた場合は補償がされます。

④東京電力・中部電力・関西電力

東京電力・中部電力・関西電力では、50kW未満の太陽光発電設備は全て、出力抑制の対象外になっています。これらの電力会社の管内は人口が多く、電気の需要量が多いことから、今のところ供給過多になる心配がないためです。

50kWを超える太陽光発電設備は出力抑制の対象となりますが、適用されるのは新ルールになります。年間の出力抑制の上限は360時間で、超過した時間分は補償されます。

3.出力抑制の対象地域で太陽光投資をするなら対策を考えよう

対策

出力抑制は、太陽光発電事業者に以下のデメリットをもたらします。

  • 売電額の低下
  • 融資が通りにくくなる

出力抑制がかかっている間は、電力会社に電気を送れないため、売電額が減ってしまいます。

先ほども説明したとおり、出力抑制がかかっても、指定ルールなら一切の補償がありません。新ルールの場合でも、日数に換算すれば、年間最高15日間は売電ができない計算になります。

これを固定買取価格制度の売電期間の20年間に掛ければ、発電できない期間はトータルで300日間にもおよびます。1日の発電量や1kWあたりの買取額にもよりますが、これはかなり大きな損失です。

また、出力抑制の存在により、融資に通りにくくなるというデメリットもあります。太陽光発電設備の購入には多額の費用がかかるため、多くの場合、融資を受けることになるはずです。

融資を受けるためには、審査に通らなければなりません。審査では融資額を回収できるかどうかを判断されますが、出力抑制による利益率の低下が、融資担当にネガティブなイメージを与えてしまいます。

そのため、太陽光発電投資をするうえでは、出力抑制の対策について考えることが重要です。特に九州電力では、2019年2月時点で10回以上の出力抑制を行っているため、真剣に考えるべき問題だといえます。

ここでは、出力抑制の対策について説明していきましょう。

(1)現時点での有効策は「出力抑制保険」に加入すること

出力抑制の対策で有効なのが、「出力抑制保険」に加入することです。出力抑制保険とは、出力抑制によって生じた損失分を補償してもらえる保険です。

出力抑制保険には、保険会社やプランごとに「免責時間」が設けられています。出力抑制がかかった時間がこの免責時間を超えた場合、超過分の売電額を補償してもらえる仕組みです。

例えば出力抑制の時間が年間100時間で、免責時間が80時間なら、20時間分の売電額を補償してもらえます。出力抑制保険では多くの場合、免責時間のほかに補償額の上限も決まっています。

全ての損失分が補償されるわけではありませんが、加入すれば新ルールや指定ルールより損失額が少なく済むのは確かです。また、出力抑制保険に加入しておけば収入が安定するため、融資に通りやすくなるというメリットもあります。

(2)今後は「蓄電池」の導入が現実的なものになる

太陽光発電の出力抑制の対策には、「蓄電池」も有効とされています。現行制度上はまだ認められていない蓄電池を使った売電を、資源エネルギー庁では使用を認める方向で検討を始めています。

太陽光発電設備に蓄電池を併設すれば、出力抑制によって電力会社に送れない分の電気を保存しておけます。蓄電池に保存しておいた電気を発電量の少ない夜に売電すれば、出力抑制によって電気が無駄になることもありません。

蓄電池を利用することによって、再生可能エネルギーを最大限利用できることは、国にとっても望ましいことです。そのため、近い将来、蓄電池の使用が認可される期待も十分できるといえるでしょう。

(3)収支シミュレーションはシビアな条件で計算する

太陽光発電設備を導入するにあたって、事業者は十分な収益が望めるかどうか、収支シミュレーションを行います。このとき、出力抑制を考慮せずにシミュレーションをしてしまうと、定期的に出力抑制がかかった場合に予測していた額を大きく下回り、赤字になってしまうかもしれません。

そのため、収支シミュレーションは、出力抑制も考慮したシビアな条件で行うようにしましょう。そのうえでシミュレーションが黒字になれば、出力抑制が頻繁に起きたとしても、赤字になる可能性は低くなります。

関連記事:50kW太陽光発電の収入は?収入シミュレーションから費用対効果まで算出

4.太陽光発電に投資をするなら「出力抑制」を意識すべき

各電力会社では、電気の需要に対して供給が多くなった際、出力抑制をかけて太陽光発電設備の送電を制限します。この間は売電ができないうえ、指定ルールでは出力抑制の上限もないため、場合によっては大きな損失になり得ます。

現時点では、九州電力の管内を除けば、出力抑制が頻繁にかかることはありません。しかし、この先太陽光発電設備の数が増えれば、そのぶん電気の供給量も増えるため、出力抑制がかかりやすくなることは確かです。

太陽光発電で売電できる期間は、20年間と長期です。これだけの期間があれば、その間に出力抑制がかかる頻度が高くなる可能性も十分あります。

そのため、太陽光発電投資は収支シミュレーションを慎重に行ったり、出力抑制保険に加入するなど、万全を期したうえで始めるようにしましょう。

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著者 今野 彰久

スマートエネルギー事業部の部長です。
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