太陽光発電で変換効率は重要?出力や発電量との関係まで徹底解説

今野 彰久

著者 今野 彰久

スマートエネルギー事業部の部長です。
自身でも太陽光投資をしているため、投資する方の目線でのご紹介を得意としています。

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太陽光発電のカタログなどで、よく「変換効率」という言葉を目にすると思います。すでに販売会社や施工会社から太陽光発電の見積を取得している方は、実際にどの太陽光パネルメーカーにすべきかを「変換効率」で比較検討しているという方もいるでしょう。


本記事では、変換効率の基本について解説した上で、出力や発電量との関係性について解説していきます。

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1.太陽光発電における変換効率とは?

まずは、変換効率とはいったい何かという基礎から解説していきます。変換効率がどのようなもので、どういった点で違いが発生するのか、順を追って見ていきましょう。

(1)変換効率で太陽光パネルの発電力がわかる

太陽光発電における変換効率とは、太陽光パネルがどれだけ効率的に発電できるかという性能を表す指標です。具体的にいうと、太陽光パネルに照射される太陽の光エネルギーを。どれだけの割合で電気エネルギーに変換できるのかを示す数値です。

計算式で表すと、次のようになります。

たとえば、変換効率が100%であれば、照射された光エネルギーはすべて電気エネルギーになります。しかし、変換効率が80%であれば照射された光エネルギーの80%が電気エネルギーに変換されるのです。

つまり、同じエネルギー量の光エネルギーであっても、変換効率が高い太陽光パネルほど変換されて作り出せる電気エネルギーが多くなります。

そのため、変換効率で太陽光パネルの性能を把握することができるのです。

変換

(2)太陽光パネルにおける「セル変換効率」と「モジュール変換効率」の違い

太陽光パネルのカタログを見ていると、商品仕様の表に「セル変換効率」と「モジュール変換効率」という、変換効率にも2つの指標が掲載されています。なぜ変換効率が2つあり、かつ使い分けられているのだろうと思った方は少なくないはずです。

これは、セルとモジュールの違いがわかればその意味の違いが見えてきます。セル、そしてモジュールというのは、太陽電池の単位のことです。セルとは、太陽電池を構成する最小単位です。太陽光パネルに、1つ1つ正方形や六角形の仕切りが見えますが、その1つ1つがセルです。

セル

このセルが集まって、1枚のパネルになったものがモジュールです。太陽電池モジュールや太陽光パネル、ソーラーパネルとも呼びますね。

モジュール

ちなみに、モジュールを集めて架台に設置されるひとかたまりの単位をアレイと呼びます。

アレイ

つまり、セル変換効率はセル1枚単位の、モジュール変換効率はセルの集合したモジュール1枚単位の変換効率を示しています。数値としては、セル変換効率のほうがモジュール変換効率よりも高くなります。

これは、モジュールのセル間を電気が流れていく際に、少しずつロスを発生しているためです。カタログをよく見てみると2つの変換効率の数値が微妙に違っていることがわかります。

しかし、太陽光パネルはモジュール1枚になってはじめてその性能を発揮します。そのため、製品やメーカーの比較検討をする際には、モジュール変換効率を用いるようにしましょう。

(3)太陽光パネルの変換効率はセル材料によって変わる

変換効率は、セルに用いられる材料によって大きく変わります。代表的なものを挙げると、セル材料には以下のようなものがあります。

  • 単結晶シリコン
  • 多結晶シリコン
  • アモルファスシリコン
  • 多接合系(ヘテロ、HITなど)
  • 化合物系(CIGS、GdTeなど)

この中では、単結晶シリコンと多接合系のHITが最も変換効率が高いです。ただ、生産効率が他の材料に比べて劣るため、1枚あたりのコストが高くなります。そのため単結晶シリコンやHITは、狭小地でも効率よく発電したいニーズのある住宅用に主に用いられます。

一方で産業用太陽光では、コストが最重視されるため多結晶シリコンが用いられることがほとんどです。多結晶シリコンの変換効率は、2019年現在で17%〜18%程度が一般的です。多結晶シリコンの他には、一部で化合物系が用いられることもあります。

また、同じ材料が用いられているにもかかわらず、変換効率がパネルメーカーによって異なることがあります。これは、その材料の純度や組成、電極や部品などモジュール構成の工夫によるものです。

2.「実際の変換効率」は太陽光パネルのカタログ数値と違う

ここまで変換効率について解説してきましたが、実際に使用したときの変換効率はカタログに記載されている変換効率とは異なります。

これは、自動車の燃費をイメージしてもらうとわかりやすいかもしれません。CMやカタログで示されている燃費が、実際に運転したときの燃費になることは、ほとんどありませんよね。

燃費は、路面摩擦・路面温度・天候・道の混み具合といった道路や環境の条件や、人や荷物の積載量・タイヤ種など自動車の条件によっても変化します。カタログに掲載されている値は、あくまでも決められた条件下で算出している値にすぎないのです。

では、太陽光パネルの変換効率はどのような要素によって変化していくのでしょうか。

(1)太陽光パネルの変換効率は設置環境や条件に左右される

変換効率は、パネル温度に応じて変わるため、設置環境やその時々の条件によって大きく左右されます。たとえば、設置されるエリアが沖縄や九州のような1年を通して比較的温暖な気候であれば、パネル温度は上がりやすくなるのです。

また、気温が低くても周囲環境によってパネル温度が上昇することがあります。たとえば、アレイの設置されている土地の基礎状況です。

基礎がコンクリートベタ基礎であれば、熱をためやすいコンクリートで覆われていることで熱を溜まりやすい環境となり、パネル温度も上がりやすくなります。このように変換効率は、気温だけでなく設置環境や条件によって変化をすることもあるのです。

①変換効率が下がり発電量が減少し始める温度は?

変換効率が下がり始めるのは、具体的にいうと温度が25℃以上になった場合です。実はカタログに掲載されている変換効率は、国際基準でパネル温度が25℃の条件で計測した値になっているのです。

つまり、パネル温度が25℃以上になると、変換効率は低下していきます。設置されるエリアにもよりますが、おおむね7月や8月など夏におけるパネル温度は60℃〜80℃に達します。設置場所や条件によって、容易に変換効率が変わることがわかるでしょう。

また、パネル温度以外にも、本来は照射されるはずの太陽光が積雪や影によって遮られることによっても変換効率は変化します。影によって照射量が減れば、その分だけ変換効率は下がりますし、積雪でパネルが覆われてしまえば、日射はあるものの発電はゼロになってしまいます。

(2)太陽光パネルの経年劣化によって変換効率は低下する

産業用太陽光発電は屋外に設置されるため、風雨や直射日光、砂塵といった厳しい自然環境に常にさらされています。もちろん、台風や地震などの自然災害の影響を受けることもあります。

こうして年月を経ていくにつれて設備は劣化をしていくことを「経年劣化」といいますが、この経年劣化によっても変換効率は低下していくのです。

特に太陽光パネルにおいては、以下のような経年劣化が発生します。

  • パネルの局所的な高温によって発生するホットスポット
  • ガラス表面の汚れ
  • 風や地震などによってパネルがねじれることで発生するマイクロクラック
  • 高湿な環境や雨天時に水分が侵入することで発生するスネイルトレイル
  • その他の部品の劣化(EVAシートの剥離やはんだ部の不良など)

上記のような経年劣化は、太陽光パネル内部にさまざまな欠陥を生み出し、おおむねこのような内部欠陥の発生によって、変換効率が年0.3%〜0.5%程度低下することがわかっています。

経年劣化による変換効率の低下をなるべく防ぐためには、定期的なメンテンナンスが重要になってきます。

関連記事:太陽光発電のメンテナンスが義務に!費用の相場とメンテナンス時の注意点

3.太陽光発電設備における「変換効率」と「出力」の違い

変換効率がどのようなものかがわかってきたところで、変換効率とともにカタログに併記されることの多い変換効率と出力の違い、そして発電量との関係性を解説していきます。

(1)比較するうえで重要なポイントは面積

変換効率と出力では、意味するところが違います。

変換効率が一定面積あたりの発電効率を示しているのに対して、出力はパネル1枚あたりにおける発電量を示しています。つまり、太陽の光エネルギーを17%の変換効率で電気エネルギーに変換して、結果的に電気として発電できた量を340Wという出力で表しているのです。

変換

ここで注目してほしいのが、面積です。変換効率は、一定面積つまり単位面積(1㎡)あたりの指標であるのに対して、出力は面積に依存して変わります。

そのため、面積を大きくすれば出力も大きくなりますし、面積が小さくなれば出力も小さくなります。

出力

ここで、パネル1枚ごとに性能を比較することを考えてみましょう。

この場合は、出力で比較すべきです。パネル1枚1枚の面積は、メーカーや品番によってそれぞれ異なります。面積の違うものを、変換効率で比較しても比較になりません。

変換効率が高くても、1枚あたりの面積が小さければ、変換効率の低いものより出力が小さくなることもあります。

出力

このように、パネル1枚あたりの性能を判断するためには、出力を基準に比較したほうが良いとわかります。

(2)太陽光パネルの発電量を決めるのは変換効率?出力?

たとえば、次のような2つの太陽光発電設備があったとします。

  • 変換効率20%で出力48kW
  • 変換効率15%で出力48kW

変換効率以外の条件がすべて同じだったすると、どちらのほうがより発電量が多くなると思いますか?

答えは、「同じ」です。

実は、変換効率が違っても出力が同じであれば発電量は変わらないのです。つまり、発電量を決めているのは出力ということになります。

では、変換効率が違うと設備にはどのような影響があるのでしょうか。それは、上述したように「面積」が異なります。変換効率が高ければ、少ない面積でも多くの発電量を確保でき、全体のパネル面積・パネル枚数が少なく済むことになります。

つまり、パネル枚数が少なくなることでパネルや架台などの設備購入にかかる初期費用、そしてパネル面積が少なくなることによる土地代の初期費用の軽減などのメリットが生じるのです。

(3)パワーコンディショナにも変換効率がある

ここまで、太陽光パネルの変換効率について詳しく解説をしてきましたが、実はパワーコンディショナにも変換効率があります。

パワーコンディショナの変換効率は、太陽光パネルの変換効率とは少し意味合いが異なります。パワーコンディショナの変換効率は、太陽光で発電した直流電流を交流電流へ変換する際の効率のことを指します。

変換

直流電流から交流電流へ変換する際に変換ロスが発生するため、指標として変換効率という言葉が使われています。

一般的にパワーコンディショナの変換効率は、95%〜98%程度です。もちろん、変換効率が高ければ高いほど、太陽光パネルで発電した直流電流を無駄なく交流電流へと変換できるということになります。

4.最新の研究では変換効率24%の太陽電池も

太陽電池の研究開発は現在進行系で世界中で行われており、変換効率は年々向上しています。2019年では、中国のLONGiというパネルメーカーが単結晶PERCセルで変換効率24%を達成しています

これは、現在太陽電池に一般的に使われているシリコンをベースに作られた太陽電池セルです。このようなシリコン太陽電池の変換効率は、理論上33%まで向上するといわれており、さらなる性能向上が求められています。

またシリコン太陽電池とは別に、変換効率33%の壁を超えるべく次世代の材料を用いた太陽電池も研究開発が進められているのです。

その次世代の材料には、以下のようなものがあります。

  • 色素増感型
  • ペロブスカイト型
  • 量子ドット型

上記の材料を用いた実用化はされていないものの、理論上は変換効率が33%を超える可能性を秘めており、非常に高い変換効率となります。

量子ドット型の太陽電池にいたっては、理論上の変換効率が75%と驚異的な性能を有するという研究もあり、将来的な実用化が期待されています。

5.太陽光発電は「変換効率+設置環境」を意識して始めよう

変換効率は太陽光パネルの性能を表す1つの指標で、太陽の光エネルギーをどれだけ電気に変換できるかを示す値です。カタログ上の変換効率は決まった値ですが、実際に稼働したときの変換効率は設置環境や条件によって変動するものです。

また、経年劣化によって変換効率が低下することも無視できません。太陽光発電の導入を検討する際に変換効率は重要な指標ですが、単に太陽光パネルの変換効率だけで太陽光発電の性能を判断してしまうのは非常に危険です。

設置環境やメンテナンスまで意識した、太陽光発電のトータルコーディネートを行うことで安定した発電を確保していきましょう。

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