2019.06.30 Jun
更新日時:2020.02.25 Tue
【2020年版】太陽光発電の設備認定は「事業計画認定」に。申請手続きを解説
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太陽光発電を設置するために行う設う設備認定。2020年現在は「事業計画認定」と名称が変わり、ルールも旧来の設備認定とは変わっています。
本記事では、事業計画認定の概要や手続きを手戻りのない手続きでスムーズに売電を始めるためにも、最新情報を確認しておきましょう。
追記:2020年4月に施行される「自家消費比率」「地域活用要件」について補足しました。
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目次
1.太陽光発電の「設備認定」は「事業計画認定」に。変更点は?
太陽光発電は設置しても、適切な申請をしていなければ売電ができません。そこで必要な申請の1つが、設備認定申請です。
2020年現在は事業計画認定と呼ばれる名称に変わり、ルールも旧来とは変更されました。
(1)事業計画認定の概要
事業計画認定は、2017年4月1日に施行された改正FIT法で定められた認定制度です。
単に名称が変更されただけでなく、その制度自体の考え方も大きく変わりました。
もともとの設備認定の考え方が、単純に太陽光発電の「設備」にフォーカスしていたのに対し、事業計画認定は「事業全体」を見るものに判断基準が変わったのです。
設備認定は本来、太陽光発電の設備が必要としている要件を満たしているかを判断するものでした。
しかし、急速に太陽光発電の申請が増えたことで、採算が取れないような土地への申請が急増。
そのような状況から、太陽光発電の設備の安全性だけでなく、事業計画も含めた総合的な判断を行う方向にシフトしたのです。
(2)制度の主なポイント
事業計画認定で新たに必要となったポイントは、下記の通りです。
事業計画認定のポイント |
1.長期間の発電事業計画 |
2.発電設備の廃止計画 |
3.認定取得後3年間の運転開始計画 |
4.発電設備の保守点検および維持管理 |
5.事業者情報の標識掲示 |
①長期間の発電事業計画
発電設備を設置する段階の計画だけでなく、実際に売電がスタートしてからの実施計画が求められます。固定価格買取制度で20年売電するという、長期間における事業計画の明確化が必要です。
②発電設備の廃止計画
固定価格買取制度の終了後、役目を終えた発電設備をどのように廃棄をしていくかという計画です。事業計画認定が、事業の実施計画からその終わり方まで、まさに太陽光発電事業の生涯設計となっていることがよくわかります。
発電設備の不法投棄や放置をしないと明らかにしなければなりません。
③認定取得後3年間の運転開始計画
認定を受けてから、いつ運転を開始するかの計画となります。
売電単価が高い時期に認定だけを受けておき、実際には稼働しないままになっている……そのような状況から、この計画提出も求められる形となりました。
④発電設備の保守点検および維持管理
太陽光発電が安定して運用されるために、発電設備を定期的保守点検し、健全な状態で維持管理ができるような整備体制を整えているかを判断されます。
長期間の運用でも安定した売電収入を確保するためには、適切なメンテナンスが重要となります。
⑤事業者情報の標識掲示
太陽光発電設備を外部から見たときに、事業者情報をわかりやすく掲示することです。
対象となるのは、設備規模が20kW以上の産業用太陽光発電です。管理責任先を明示させて、発電設備の周辺住民へ考慮する目的があります。
2.2018年8月から太陽光発電所の運用ルールが変更
設備認定から事業計画認定へと制度変更された後にも、制度内容の変更がありました。それが、改正FIT法の施行された2017年4月から1年半後の2018年8月31日に公示された「FIT 制度に係る標準処理期間及び運用ルールの一部見直しについて」です。
この運用ルール変更では、太陽光発電を含む固定価格買取制度を利用する、すべての再生可能エネルギーの設備が対象となっています。そして、それまでの申請方法から大幅に内容が改定されており、かなり影響が大きいです。
最悪の場合、狙った年度の買取価格を逃すこともあり得ますので、申請方法を正確に把握しておきましょう。
この運用ルール変更点は、大きく次の2つです。
- 系統連系と並行申請ができなくなった
- 認定までの目安期間が1ヶ月延長された
それぞれの詳しい内容と、影響度合いを解説していきます。
(1)系統連系申請と並行申請ができなくなった
これまで事業計画認定は、系統連系と同時並行で申請を行えました。同時並行を進めるのは、審査にかかる時間を節約するためです。片方の申請が終わってからもう一方の申請を出すと、2重で審査の時間がかかるためです。
しかし、運用ルール変更でこのテクニックが使えなくなってしまいました。なぜなら、事業計画認定の申請を行う際に、電力会社の接続同意書の提出が必須になったためです。接続同意書とは、系統連系申請が受諾されたときに電力会社から発行される書類です。
①従来の制度内容と改定の背景
これまでのルールでも、接続同意書の提出自体は必須でした。ただ、申請時の提出は必須ではなく、系統連系の許可が降りたタイミングで提出してもOKとされていました。
しかし、事業計画認定の承認後も一向に接続同意書が提出されない事例が増えてきたのです。この背景として、系統連系の接続許可が下りにくくなってきたことが挙げられます。接続許可は、電力会社が電力需給バランスと太陽光発電の接続量をみて判断をしています。
いたずらに太陽光発電の接続量を増やしすぎると、電力需給バランスが崩れて停電を引き起こしてしまうためです。現に太陽光発電の導入量急増による影響で、電力の需給バランスを考慮したときに新規の太陽光発電を接続できない場合が増えています。
経済産業省としては、事業計画認定の審査に時間がかかっている状況を解消したい狙いがあるため、少しでも審査対象を減らしたいのです。そこで、接続同意がされない案件を系統連系申請で事前スクリーニングして、審査対象を絞ろうとしているのだと考えられます。
(2)太陽光発電所における認定までの目安期間が1ヶ月延長された
行政機関への申請には、審査が終わるまでの目安期間というものが設定されています。事業計画認定も、例に漏れず認定までの目安期間が設定されています。
当初の事業計画認定に設定された目安期間は、1〜2ヶ月でした。これは、設備認定での審査実績をもとに設定された期間でしょう。
しかし、事業計画認定へ制度が新しくなったことに伴い、審査項目が増えて内容も複雑になりました。加えて、上記で述べたFITによる申請増加によって、実際の審査期間は3ヶ月から長ければ6ヶ月にもなっていました。
そこで今回の運用ルール変更で、もともと設定されていた目安期間から1ヶ月延長した3ヶ月に変更されました。この目安期間の延長は、あくまでも目安期間が実態と乖離している状況を解消するために表記を変更しただけです。
そのため、実態としてかかる審査期間が延長されたわけではないので注意しましょう。
(3)2020年から新たに「自家消費比率」「地域活用要件」が追加に
2020年4月からは、事業計画認定において、さらに新たな要件である「自家消費比率」と「地域活用要件」が追加されることになりました。
対象となるのは、10kW以上50kW未満の発電設備。
自家消費要件とは、発電した電気の30%以上を自家消費(自分で使うこと)しなければならない、とするものです。
一方で、地域活用要件とは、災害時などに発電設備を地域で活用できるよう体制を整える要件で、設備としては蓄電池の併設や、自立運転機能(パワーコンディショナーから直接電源を取る機能)が求められることになります。
いずれの要件も、売電収入への影響はかなり大きいため、2020年以降に新設する10kW以上50kW未満の太陽光発電設備は、投資目的での活用は難しくなると予想されます。
一方で、2019年までに認定を受けている設備については、これらの要件を満たす必要はありません。スマエネでもこのように認定済みの投資物件を多数掲載しています。
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3.太陽光発電までの手続き全体の流れと申請手順
(1)申請の流れ
事業計画認定の手続き全体の流れをまとめると、次のとおりです。
事業計画認定を申請する前に、電力会社の接続同意書を取得するために、まずは電力受給契約(系統連系)の申請から行います。
電力会社と接続契約を締結して接続同意書が取得できた段階で、事業計画認定の申請へ進みます。事業計画認定に不備がなければ申請が承認され、認定通知書の発行とともに売電価格が決定します。
そして、この認定通知書をもとに電力会社と特定契約を結びます。電力会社と接続契約を最初に結んでいますが、あくまで接続の許可だけであって売電については仮契約状態なのです。
特定契約を締結して売電が確約できれば、あとは実際に太陽光発電設備を設置工事するフェーズに進みます。そして、太陽光発電の設置が完了した後に、電力会社による系統との接続工事を経て、売電をスタートとなります。
おおむね平均すると、売電開始までは5〜6ヶ月程度の期間がかかります。ただ、設備規模や申請時期によっては1年かかることもあるため、早めの準備・申請をオススメします。
(2)申請手順9ステップ
申請手順は下記の通りです。
①電子申請ページよりログイン
登録者IDとパスワードでログインします。登録者IDを持っていない場合は、新たに登録者IDの取得から始める必要があります。
②事業計画認定の申請画面へ
メニューから事業計画認定をクリックしましょう。
③発電設備の区分を選択
発電設備区分、出力区分、設置利用者区分を選択します。区分によって申請項目が異なるため、間違えないようにしましょう。
④申請項目の記入
各項目に、記入欄と注意事項があります。記入項目が多いので、内容をよく確認して記入を進めましょう。記入漏れや記載間違いは、エラーとなります。
エラーになった場合は、全角や半角等の記入内容に誤りがないか確認しましょう。
⑤申請内容の保存
記入した内容を確認して、問題なければ保存へ進みましょう。保存をクリックしても、申請が完了したわけではないため注意が必要です。
⑥必要書類の添付
提出の必要書類が出てきます。「ファイルを選択」をクリックし、提出するファイルを選択、アップロードしましょう。必須のマークが付いている書類は、必ず添付してください。
また、添付資料には形式やファイルサイズの指定がありますので、注意が必要です。
⑦申請IDの保存
申請後に申請IDが表示されますので、控えておきましょう。
⑧承諾コードを確認
申請時に連絡先で登録したメールアドレス宛に、承諾コードが記載されたメールが届きます。差出人は「再生可能エネルギー電子申請(fit-mail@fit-portal.go.jp)」です。
メール設定で、迷惑メールフォルダに入ることもあるので、見当たらない場合はそちらも確認しましょう。
⑨承諾コードの入力
上記のメールに記載されたリンク先へアクセスして、承諾コードを入力します。もし、ここで記入内容に誤りがあることに気づいたら、「拒否」をクリックしましょう。
記入内容を修正できるようになります。
以上で、事業計画認定の申請は完了です。
4.太陽光発電における事業計画認定(旧設備認定)に必要な書類
申請手順がわかったところで、申請に必要な書類を把握しておきましょう。設備規模によって、必要な書類が変わります。
また書類の種類が多いため、電子申請を行う前にあらかじめ準備したうえで申請に進みましょう。
(1)出力10kW以上の太陽光発電における必要書類
設備の出力が10kW以上の産業用太陽光の申請時には、次の10種類の書類の提出が必要です。
書類の名称 | 書類の内容 |
戸籍謄本もしくは住民票 | 設置者のものが必要 |
申請者の印鑑証明 | 申請者のものが必要 |
土地の取得を証する書類 | 自己の所有地であれば、登記謄本 他社の所有地であれば、登記謄本に加えて権利者の証明書・賃貸借契約書・地上権設定契約書のいずれか1つが必要 |
発電設備の内容を証する書類 | 太陽光発電モジュールやパワーコンディショナの仕様書が該当 メーカーや販売業者より入手可能 |
構造図 | 太陽光発電の電気設備と分電盤が、どのように接続されているかを示す書類 標準構造図と異なる場合に、提出が必要 |
配線図 | 太陽光発電の電気設備と分電盤、売買電のメーターがどのように配線されているかを示す書類 標準配線図と異なる場合に、提出が必要 |
接続の同意を証する書類の写し | 電力会社の接続同意書のコピー |
事業実施体制図 | 事業計画を実施するに当たり、保守点検会社など関連業者の事業体制の相関図 |
関係法令手続状況報告書 | 太陽光発電の設置に関係する法令の、手続き状況を示す書類 |
委任状 | 申請者が設置者本人ではなく、設置業者や販売店に代行して貰う場合に必要 |
上記は野立ての太陽光発電を設置する場合に必要な書類ですが、工場の折板屋根など建物上に設置する場合には、「土地の取得を証する書類」は必要ありません。ただし、そのかわりに「建物所有者の同意書類」の提出が必要です。
「土地の取得を証する書類」と同様に、所有者によって提出の必要な書類が変わります。建物が自己所有であれば、建物の登記謄本・建築確認済証・売買契約書・請負契約書・土地の登記謄本の、いずれか1つとなります。
他社所有の場合は、「建物の登記簿謄本+建物所有者の同意書+所有者の印鑑証明」の1セットか、「建築確認済証+建物所有者の同意書+所有者の印鑑証明」の1セットいずれかが必要となります。
(2)出力10kW未満の太陽光発電における必要書類
設備の出力が10kW未満の住宅用太陽光発電では、次の7種類の書類を提出する必要があります。
書類の名称 | 書類の内容 |
土地の取得を証する書類 | 自己の所有地であれば、登記謄本 他社の所有地であれば、登記謄本に加えて権利者の証明書・賃貸借契約書・地上権設定契約書のいずれか1つが必要 |
構造図 | 太陽光発電の電気設備と分電盤が、どのように接続されているかを示す書類 標準構造図と異なる場合に、提出が必要 |
配線図 | 太陽光発電の電気設備と分電盤、売買電のメーターがどのように配線されているかを示す書類 標準配線図と異なる場合に、提出が必要 |
接続の同意を証する書類の写し | 電力会社の接続同意書のコピー |
委任状 | 申請者が設置者本人ではなく、設置業者や販売店に代行して貰う場合に必要 |
印鑑証明 | 申請者が設置者本人ではなく、設置業者や販売店に代行して貰う場合に必要 |
5.事業計画認定(旧設備認定)に費用はかからない
事業計画認定は、本人が申請するうえで費用は発生しません。ただし、必要書類を取得する際、たとえば土地の登記簿謄本など役所で入手する必要のある書類は、数百円程度の発行手数料が実費で発生します。
(1)代行申請では費用が発生
事業計画認定申請で費用発生するのは、申請を設置業者や販売店に代行してもらうときです。基本的には、見積もり費用に含まれる場合が多いです。心配な方は、業者との見積書や契約書に事業計画認定の申請代行が含まれているかを確認しましょう。
自分で申請すれば代行費用は浮きますが、事業計画認定申請は必要な書類が多く、内容や申請時期なども複雑です。申請の進捗によって売電価格が左右されますので、業者に代行してもらうことをオススメします。
関連記事:経産省が注意喚起!太陽光発電の定期報告の提出ルールを再確認しよう
6.売電価格の確保は設備認定の最新ルールを把握することから
太陽光発電の設備認定は、改正FIT法で事業計画認定へ制度を変えました。事業計画認定への制度変更に伴って、申請方法や申請手順、必要な書類等も変わっています。
さらに、事業計画認定は2018年8月から運用ルールが大幅に変更され、申請時に接続同意書の提出必須化されました。そのため、事業計画認定の申請開始が先送りとなり、以前より売電開始までの期間が1ヶ月以上伸びています。
また事業計画認定は、売電価格の認定日を決める非常に重要な手続きです。狙った売電価格を確保するためにも、最新ルールを把握し、スムーズに手続きを進められるように準備を進めましょう。
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