2019.08.20 Aug
更新日時:2019.09.13 Fri
メーカー保証だけでは不十分なの?産業用太陽光発電の保険を比較・解説
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太陽光発電設備は、自然災害などが起きた際、被害を受ける可能性も十分あります。自然災害による被害のリスクを考慮すると、設備のメーカー保証だけでは不十分です。
太陽光発電投資をするなら、別途任意保険の加入がおすすめです。
今回は、太陽光発電投資における保険の内容や、その重要性について説明していきます。
目次
1.産業用太陽光発電はどうしてメーカー保証だけではダメなの?
太陽光発電設備には、基本的にメーカー保証が備わっています。メーカー保証は主に、以下2種類あります。
- 製品保証
- 出力保証
しかし、太陽光発電投資をするうえでは、製品保証と出力保証だけでは心許ないといえるでしょう。
太陽光発電投資は以下2つの理由から、自然災害などのトラブルによって、設備が被害を受けることも十分あり得ます。
- 20年間という長期にわたって行う
- 太陽光発電設備は屋外に設置する
太陽光発電投資は「FIT制度(固定価格買取制度)」により、20年の間、発電した電気を電力会社に買い取ってもらえます。これだけの期間があれば、その間に大規模な災害が発生する確率は十分あるといえるでしょう。
また、太陽光発電設備は屋外に設置するものです。この性質上、太陽光発電設備はどうしても自然災害の影響をダイレクトに受けてしまいます。
自然災害の発生によって設備が被害を受けたとき、製品保証と出力保証の保証内容では、損害をカバーできません。
では、製品保証と出力保証とはどんな保証なのでしょうか?ここでは、それぞれの内容と、注意点について説明していきます。
(1)メーカー保証①:製品保証
製品保証とは、太陽光発電設備の部品に不具合が生じたときに適用される保証です。保証期間中であれば、機器が自然故障した場合に修理や補修、部品の交換などをメーカーに無償でしてもらえます。
保証期間はメーカーによって異なりますが、10~15年ほどが一般的です。太陽光発電設備は設置から時間が経つほど経年劣化によって故障しやすくなるため、保証期間が長いものを選ぶのがおすすめです。
また、メーカーによっては、有料で保証期間を延長してもらえるものもあります。
①注意点:外的要因による被害は対応範囲外
製品保証の対象になるのは、あくまで自然故障の場合のみです。人為的なものはもちろん、外的要因による設備の故障は対応範囲外となっています。
つまり、自然災害などによって設備が故障したり、大破したりした場合、メーカー保証は適用されず、修理や修繕費は自己負担となるのです。
(2)メーカー保証②:出力保証
太陽光発電における出力は発電量を意味し、出力保証とは、その発電量を最低限保証するというものです。
太陽光発電設備の発電量は、同じ日射量でも、太陽電池パネルの性能によって大きく左右されます。太陽電池パネルの性能が落ちれば、発電量も大きく減ってしまうのです。
出力保証では、発電量がメーカーの定めた基準値を下回った場合、太陽電池パネルを無償で交換してもらえます。保証期間はメーカーによって異なりますが、短いもので10年、長いものでは25年のものもあります。
太陽電池パネルは経年劣化により、故障しやすくなるだけでなく、発電性能も落ちてきてしまうものです。こちらも製品保証同様、なるべく保証期間が長いものを選ぶといいでしょう。
①注意点:発電量低下を証拠付けるデータが必要
出力保証が適用されるのは、普通に使用していて発電量が落ちた場合のみです。そのため、製品保証と同じく、自然災害によって発電量が落ちた場合は保証の対象外となります。
また、出力保証を適用するには、発電量が落ちたことをメーカーに申請しなければなりません。この際には、発電量が落ちたことが分かる、客観的なデータが必要です。
メーカーに証拠として提出する資料は、遠隔監視システムの発電量のデータがおすすめです。遠隔監視システムを利用する予定がないのなら、月々の売電明細でも問題ありません。
2.産業用太陽光発電の保険を比較・解説
ここまで説明してきたとおり、メーカー保証があるだけでは、自然災害などによって太陽光発電設備が被害を受けたとき、修理や修繕費用を自己負担しなければなりません。しかし、メーカー保証とは別に保険に加入しておけば、自然災害などによって設備が被害を受けたとき、保険会社から補償が受けられます。
太陽光発電に関係する保険には、主に以下のものがあります。
産業用太陽光発電の各保険における特徴 | |
火災保険 | 自然災害などの被害を受けた際に補償が受けられる保険 |
動産総合保険 | 自然災害などの被害を受けた際に補償が受けられる保険。火災保険と内容は似ているが、対象がより広範囲になっている |
休業保険 | 災害などにより発電ができなくなった際、その間得られるはずだった売電収入を補償してもらえる保険 |
設備規模により変動があるものの、低圧の産業用太陽光発電であれば、各保険はおおむね以下のような料金設定のものが多いです。
産業用太陽光発電の各保険における料金相場 | |
火災保険 |
年間10,000~40,000円 |
動産総合保険 | |
休業保険 | 年間5,000~7,000円 |
なお、スマエネに掲載している投資案件は、産業用太陽光発電(低圧)の損害保険料を40,000円として計算しています。
こういった「太陽光発電所のメンテナンス・運用経費は、どのくらいかかるのだろう?」という疑問は、シミュレーションシートを使えば一目で分かります。
「物件を探す」から価格・利回り・立地を入力すれば、各物件のシミュレーションを閲覧できるので、本記事とあわせてご参照ください。
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(1)火災保険はどのような被害に対応できるの?
火災保険は、火災をはじめとした様々な災害によって太陽光発電設備が被害を受けた際、被害回復にかかったお金を補償してもらえる保険です。火災保険の対象となる災害等には、主に以下のものがあります。
火災保険の対象 |
火災・落雷・破裂・爆発 |
風災・雪災・雹災 |
水災 |
電気的事故・機械的事故 |
このように、火災保険は様々な災害をカバーしているだけでなく、「電気的事故」や「機械的事故」にも対応しています。
電気的事故は過電流やショートなどによって設備が損傷する事故、機械的事故は機械の内部の不具合によって設備が損傷する事故です。火災保険に加入すれば、こうした原因で太陽光発電設備が故障した場合にも補償が受けられます。
ただし、火災保険では、震災や噴火、津波などの災害は補償の対象外となっています。これらの災害もカバーしたければ、別途「地震保険」などへの加入が必要です。
また、ここで紹介したものはあくまで一般的な火災保険の補償内容です。保険会社やプランによっては、電気的事故や機械的事故に対応していないものもあるので注意しましょう。
(2)動産総合保険はどのような被害に対応できるの?
動産総合保険は、不動産以外の「動産」に生じた、様々な損害を補償してくれる保険です。動産総合保険も、火災保険同様、様々な災害が原因で受けた太陽光発電設備の被害を補償してくれます。
動産総合保険の補償内容は、火災保険と重複するものも多くなっているため、どちらか片方に加入するのが一般的です。動産総合保険の対象となる主な災害などは、以下のとおりです。
動産総合保険の対象 |
火災・落雷・破裂・爆発 |
風災・雪災・雹災 |
水災 |
盗難 |
不測かつ突発的な事故 |
動産総合保険も火災保険同様、火災や風災、水災などの災害に対応しています。また、動産総合保険では、盗難や不測かつ突発的な事故も補償対象となっています。この点は、火災保険には見られない特徴です。
ただし、動産総合保険の補償対象には、基本的に電気的事故や機械的事故は含まれていません。(保険会社やプランによっては、電気的事故や機械的事故も補償対象になっているところもあります)
また、火災保険同様、地震や噴火、津波による被害は補償の対象外となっています。火災保険と動産総合保険のどちらを選ぶかは、補償内容や保険料の額などを考慮して決めるといいでしょう。
(3)休業保険はどのような被害に対応できるの?
先ほども説明したとおり、火災保険か動産総合保険に加入していれば、対象となる災害の発生によって被害を受けた際、被害回復にかかるお金を補償してもらえます。しかし設備の修理や修繕をしている間は発電ができないため、売電収入が途絶えてしまいます。
そこでおすすめなのが、「休業保険」です。休業保険とは、休業中に本来得るはずだった収入を補償してもらえる保険です。休業保険に加入しておけば、発電ができない間も、その間に得るはずだった売電収入を保険会社から支払ってもらえます。
休業保険も、火災保険や動産総合保険同様、補償の対象となる災害等が決まっています。対象となる災害等は、主に以下のとおりです。
休業保険の対象 |
火災・落雷・破裂・爆発 |
風災・雪災・雹災 |
水災 |
不測かつ突発的な事故 |
補償対象となる災害等は、火災保険や動産総合保険とそれほど変わりありません。休業保険も震災や噴火、津波などによるものは補償の対象外になっているので注意しましょう。
3.ぶっちゃけ太陽光発電投資の任意保険には加入すべきなの?
ここまで説明してきたとおり、保険に加入しておけば、災害などの被害にあった際、被害額を補償してもらえます。しかし、保険の加入にはデメリットもあります。それは、ランニングコストとして保険料がかかってしまうという点です。
保険に加入すれば、保険料が毎月かかるぶん経費が増えるため、利益は少なくなってしまいます。では、保険には加入しないほうがいいのかといえば、そんなことはありません。
(1)「事業」として考えるなら任意保険は加入した方が良い
たしかに、20年間の売電期間中に災害による被害を一切受けなければ、保険に加入するよりも、加入しないほうが得だったということになるでしょう。しかし、もし災害が発生して、太陽光発電設備が被害を受けたときに保険に入っていなければ、そのときの損害額は保険料の比ではありません。
過去には、災害によって太陽光発電設備の大部分が大破したり、設備を建てた土台の土地が土砂崩れを起こすなどの被害も報告されています。このようなケースに陥った場合、太陽光発電投資を続けるには、設備を1から建て直さなければならないかもしれません。
(2)基本的には「万が一」を考えて判断を下すべき
保険に入っていなければ、被害回復のためのお金は完全に自己負担となるため、大きな損害を負ってしまいます。そうなれば、赤字になったり、事業が破綻したりしてもおかしくはありません。
太陽光発電投資を事業として運営していくなら、このような事態に陥るのは避けたいところです。当メディア「スマエネ」では、太陽光発電における自然災害のリスクと保険内容を理解したうえで、保険加入を前向きに考えることを推奨します。
4.太陽光発電所を襲う被害の実例
自然災害によって太陽光発電所が被害を受けることは、決して珍しいことではありません。当メディア、スマエネの記事「【被害画像多数】2018年度の被災から学ぶ!太陽光事業者が知るべき被害ケース3つ」でもご紹介したように、2018年には強力な「台風21号」や「北海道地震」など、大規模な災害が連続して起こりました。
従来よりも、地域を問わず大規模災害が起こる傾向は強まりつつあるため、ますます保険の必要性は高まるでしょう。ここでは、前述した2018年度の被害の実例を、いくつかピックアップしていきます。
(1)西日本豪雨により土砂崩れが起こり、太陽光発電所が大破
最初に紹介するのは、2018年に西日本を襲った豪雨によって、兵庫県姫路市にある太陽光発電所の大部分が大破したケースです。この太陽光発電所は切土・盛土した土地に建てられており、豪雨によって、土地が土砂崩れを起こしてしまいました。
被害内容は、太陽電池パネル1,344枚とパワーコンディショナ60台の破損でした。破損した太陽電池パネルは全体の38%、パワーコンディショナは実に全体の86%を占めていました。
(2)台風21号により、大量の太陽電池パネルが飛散
こちらは台風21号によって、大阪府大阪市にある太陽光発電所が被害を受けたケースです。この太陽光発電所では、強風によって大量の太陽電池パネルが架台から引き剥がされ、飛散してしまいました。
飛散・崩壊した太陽電池パネルの枚数は、13,780枚にもおよびました。これは、全体の49%を占める枚数です。
さらにこのケースでは、ケーブルを並べて敷設するための「ケーブルラック」が倒壊し、支持金具なども飛散しており、近隣の建物が損傷する2次被害も起こっています。
(3)台風21号により、水上太陽光発電の太陽電池パネルが破損
最後に紹介するのは、台風21号によって、大阪府大阪狭山市にある水上太陽光発電所が被害を受けたケースです。この発電所では、「フロート(浮き場)」を使って水面上に設備を設置していましたが、強風によってフロートがまくれ上がってしまいました。
その結果、フロートに固定されていた太陽電池パネルが風であおられ、733枚ものパネルが反り返ってしまいました。
5.事業として太陽光発電投資を始めるなら任意保険は必須
太陽光発電投資をするのなら、メーカー保証だけでは不十分だといえます。なぜなら、メーカー保証では、災害によって太陽光発電設備が被害を受けた際、補償が受けられないからです。
火災保険や動産総合保険などに加入しておけば、災害によって設備が被害を受けても、保険会社から補償を受けられるので安心です。
太陽光発電投資で成功するために最も重要なのは、いかに大きな損害を出さないようにするかという点です。自然災害によって大きな損害が出れば、大きな赤字を抱えて、事業撤退ということにもなりかねません。
そうならないためにも、これから太陽光発電投資を始める方も、すでに始めていて保険に加入していないという方も、保険には加入するようにしましょう。
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