2019.09.14 Sep
更新日時:2020.02.29 Sat
太陽光発電の名義変更はどうやるの?7つの手続きの必要書類や申請時の注意
------------------------------------------------------------------------------------------------
太陽光発電設備の売買、贈与や相続によって発電設備の所有者が変わるとき、太陽光発電設備の名義変更が必要となります。
本記事では、太陽光発電の名義変更時に行う7つの手続き、必要書類や申請時の注意点についてご説明します。
目次
1.太陽光発電の名義変更に必要な手続きまとめ
名義変更に必要な手続きは、少なくとも7つあります。それぞれ、順に解説していきます。
(1)事業計画認定(国への申請)50kW未満の場合
名義変更を行う際、最も重要な手続きが事業計画認定です。
太陽光発電設備を譲渡された方法によって、以下のように申請方法が変わります。
変更認定 |
事後変更届出 |
事業譲渡(贈与を含む) |
社名変更・会社の分割や合併 |
競売 |
相続 |
ー |
戸籍上の氏名変更 |
離婚による分与 |
|
賃貸物件の入居者に設備を貸与する状況において、入居者を変更する場合 |
つぎに説明する電子申請の際、上記の区分を入力する場所があるため、いずれに分類されるか事前に確認しておきましょう。
なお、いずれの場合も、以前の所有者ではなく譲受人が申請を行わなければなりません。
以下、「再生可能エネルギー電子申請」より画像を引用しつつ、変更手続きの方法を解説していきます。
①【変更認定・事後変更届出】電子申請ページへアクセスする
再生可能エネルギー電子申請へアクセスし、ログインIDとパスワードを使ってログイン。マイページの「認定設備」の項目を選択します。
その後、手続き対象となる設備の「参照」をクリックすることで、下記のような画面が表示されます。変更認定であれば、つぎの画像にある「変更認定申請」を選択。
事後変更届出であれば「事後変更届出」を選択します。
以降、それぞれ別々の方法で事業者の変更を行っていきます。
②【変更認定】事業者の変更を行う
事業譲渡にともなう名義変更の場合、いくつかある変更内容の選択肢から「事業者の変更」を選びます。
つぎに事業者情報の変更画面にて、「新たに事業者を登録します」にチェックを入れると、事業者情報の入力画面があらわれます。
個人の場合も法人の場合も、その後に続く入力画面は事業者名や住所、連絡先などの基本的な情報を入力するのみ。
一連の作業を終えれば、事業者変更の情報入力は完了です。
③【事後変更届出】事業者の変更を行う
事後変更届出の場合、変更認定申請の場合とやや異なる画面が表示されますが、入力する項目はいずれも基本的なものばかり。
まず、個人・法人の区分を入力します。
その後、事業者名を入力し、変更理由の区分を選んだのちに変更理由を書き入れます。
あとは変更認定申請と同じく、事業者の住所や連絡先など基本的な情報の入力を行えば、事業者変更の情報入力は完了します。
④【変更認定・事後変更届出】その他、必要な変更・書類添付を行う
名義変更にともない、保守点検責任者の変更が生じる場合は、続けて保守点検責任者の変更情報を入力します。
すべての変更情報を入力し終えたのち、遵守事項のチェックボックスがあらわれるので、各項目の内容に問題なければチェックを入れて「内容確認」をクリックしてください。
その後、内容確認画面が表示されるので、再度問題ないか確認して「保存して次に進む」をクリック。後述する必要書類をPDF形式あるいはZIP形式にし、添付してアップロードします。
必要書類のアップロードを経て、すべてのデータを送信したのちにページ下部にある「申請」を押します。
メールアドレスを登録していれば、上記の画面が表示されたタイミングで登録したメールアドレス宛てに承諾コードが届くので、メール内に記載されているURLからユーザー登録を完了させます。
⑤【変更認定・事後変更届出】申請確認と申請内容の承諾を行う
ユーザー登録を完了させて申請確認のメールが届けば、メール内に記載のある申請ID・承諾コード・ログインIDをもちいて申請内容の承諾を進めます。
メール内のURL先に必要情報を入力し、すべての情報を入力し終えたあとに「承諾」をクリックすることで、認定申請の登録は完了します。
参考:操作マニュアル【変更認定申請】10kW未満太陽光 10kW以上50kW未満太陽光
操作マニュアル【事後変更届出】10kw未満太陽光 10kw以上50kw未満太陽光
⑥【変更認定・事後変更届出】各申請に求められる添付書類まとめ
事業者名の変更に必要な書類は、以下画像の通りです。
ケース |
各ケースで必要となる書類 |
事業譲渡(贈与を含む) |
①譲渡契約書または譲渡証明書【原本】 ②法人:双方の履歴事項全部証明書【原本】 個人:双方の住民票の写し、住民票記載事項証明書【原本】又は戸籍謄(抄)本【原本】のいずれか ③双方の印鑑証明書【原本】 ④裁判所による破産管財人証明書(破産による譲渡時) ※地方自治体の場合は以下の書類 ①譲渡契約書 又は 譲渡証明書 ②公印規程 ※太陽光パネルは、建物附属設備として認められているものではないため、事業譲渡の際は、建物と別に明示することが必要 |
競売 |
①物件目録 ②登記嘱託書(権利証)又は登記識別情報通知書 ※競売物件を農地転用する場合で、①②の書類が添付できない場合は、「売却決定通知書」または「最高価買受申出人であることの証明」が必要 |
社名変更・会社の分割や合併 |
変更理由を証する書類(履歴事項全部証明書等) |
相続 |
①被相続人(亡くなられた方)の戸除籍謄本(附票を含む)【原本】 ※附票がない場合、住民票の除票でも可。 ②法定相続人全員の戸籍謄本【原本】 又は法務局より発行された法定相続情報【原本】 ③法定相続人全員の印鑑証明書【原本】 ④遺産分割協議書又は相続人全員の同意書 ※太陽光パネルは、建物附属設備として認められているものではないため、相続の際は、建物と別に明示することが必要 |
戸籍上の氏名変更 |
①戸籍謄(抄)本【原本】 ②印鑑証明書【原本】 |
離婚による分与 |
①登記簿謄本(所有権移転登記済)【原本】 ②公正証書若しくは離婚協議書 ③双方の印鑑証明書【原本】 ④離婚届受理証明書 ※太陽光パネルは、建物附属設備として認められているものではないため、分与の際は、建物と別に明示することが必要 |
賃貸物件の入居者に設備を貸与する状況において、入居者を変更する場合 |
①賃貸借契約書 ②賃貸人の印鑑証明書【原本】 ③建物の登記簿謄本 ④管理業務委託契約書(建物の所有者と当該建物の管理者が異なる場合のみ) |
出所:再生可能エネルギー電子申請「操作マニュアル【変更認定申請】10kW未満太陽光 10kW以上50kW未満太陽光」を抜粋・改編
補足:20kW以上の場合は標識の変更も必要
ここまでご説明した手続きのほか、設備規模が20kW以上の野立て太陽光発電であれば、標識の記載内容を変更する必要があります。
いわゆる住宅建築現場や工事現場などに掲示されている標識で、すでにフェンスなどに設置されているところをシールなどで書き換えることになるでしょう。
変更を忘れやすい部分なので、漏れのないように気をつけましょう。
(2)事業計画認定(国への申請)50kW以上の場合
50kW未満の場合は電子申請をもちいて申請を行いますが、50kW以上の場合は下記書類を「発電設備のある都道府県を管轄している経済産業省」へ直接送付します。
- 変更認定申請書または事後変更届出書
- 連絡票
- 返信用封筒
申請書や届出書、連絡票を始めとする添付書類は、経済産業省の「50kW以上太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスの変更申請・廃止手続の方法」からダウンロードできます。
変更認定と事後変更届出のどちらを選ぶかは、50kW未満の太陽光発電所と同じく以下表を基準とします。
変更認定 |
事後変更届出 |
事業譲渡(贈与を含む) |
社名変更・会社の分割や合併 |
競売 |
相続 |
ー |
戸籍上の氏名変更 |
離婚による分与 |
|
賃貸物件の入居者に設備を貸与する状況において、入居者を変更する場合 |
必要な書類を送付したのち、認定までは3ヶ月程度を要し、完了後は受理印を押された書類の写しが申請者に届きます。
なお、それぞれの場合に必要となる書類も、50kW未満の場合と同様です。
(3)売電契約(電力会社との契約)
売電収入を新たな設備保有者が受け取るために、売電契約の名義変更が必要です。
基本的にはネットでの手続きに対応しておらず、管轄の電力会社のカスタマーセンターに問い合わせ、電話による指示を仰がなければなりません。
各電力会社の問い合わせ先 |
その際、名義変更をスムーズに進めるため、下記の情報をすぐに答えられるように準備しておきましょう。
- 発電設備の住所
- 名義変更前の氏名
以降、電力会社の担当者の指示に従いつつ、名義変更を進めることとなります。
また、口座変更の手続きには時間を要します。これは、売電メーターの検針から振込が実行されるまでに、タイムラグがあるためです。
変更手続きが完了しても、必ず次回以降の振込から反映されるわけではありません。
変更手続きを行う際は、口座変更が何月分から新しい口座へ振り込まれるようになるのかを確認しておきましょう。
(4)不動産登記(法務局)
事業計画認定と同様、不動産登記(土地登記簿)の名義変更は特に重要な手続きの1つです。
ケースに応じて下記書類を用意し、法務局に提出します。
ケース |
主な必要書類 |
贈与の場合 |
・贈与者の印鑑証明書、登記済権利証、固定資産評価証明書、登記簿謄本(全部事項証明書) ・受贈者の住民票 ・登記識別情報 ・登記原因証明情報(贈与契約書)など |
相続の場合 |
・被相続人の戸籍謄本・除籍謄本、住民票の除票 ・相続人の戸籍謄本、住民票 ・登記申請書など |
いずれの場合も手続きに専門的な知識が求められることから、司法書士や取引時に仲介する業者への代行依頼を推奨します。
また、これら以外の書類を求められるケースもあります。
自身で手続きを進める場合は、法務局に問い合わせて必要書類の確認を行ったのち、訪問前に法務局へアポイントメントを取ったうえで訪問しましょう。
手続きにまつわる具体的な相談を前提として訪問する場合、法務局の混雑状況によっては対応のためのリソースを用意できず、相談を別日に持ち越されるケースが想定されるからです。
(5)メンテナンス契約
メンテナンス契約に関しては、名義変更を行う前に第三者に点検を依頼したうえで、設備に故障や不具合がないかを確認すべきです。
仮に故障や不具合などが発見されたら、譲渡後に追加で修理費用がかかることから、事前に両者で認識を合わせて納得したうえで売買取引を行いましょう。
新オーナーは、現行のメンテナンスサービスを継続しても構いませんし、別のサービスを契約することもできます。現行オーナーがメンテナンス履歴を持っている場合は、その頻度や業者も参考にするとよいでしょう。
(6)保険契約
多くの事業者は、太陽光発電を行うにあたり損害保険に加入しています。
- 相続以外による名義変更:以前の契約は解除し、新たに損害保険に加入する
- 相続による名義変更:引き続き損害保険を利用するため権利継承を行う
一般的に、ケースに応じて上記の手続きを行います。
(7)保証契約
太陽光発電には、メーカーや施工業者が以下のような保証を設けているケースがあります。
- メーカー保証:保証期間内に不具合が発生したとき、修理・交換を行う保証
- 施工保証:施工に起因する不具合や事故に対する保証
メーカー保証の一般的な保証期間は、太陽光パネルの出力保証が25〜30年、パワーコンディショナのメーカー保証は10〜15年であり、設備を譲渡される段階で期間が残っている可能性は十分にあります。
ただし、施工保証に関しては、名義変更を認めない場合もあるようです。そのため、名義変更後の保証継続が可能か否かを、事前に問い合わせておくことが推奨されます。
名義変更の手続方法は各太陽光発電の機器メーカーによって異なりますので、メーカーへ直接問い合わせるか、販売店経由でメーカーに確認しましょう。
(8)償却資産申請(自治体)
太陽光発電の設備は償却資産に該当するため、各自治体へ固定資産税(償却資産税)の名義変更申請が必要になります。
発電設備が10kW未満の場合は、申請を必要としないケースがあるものの、太陽光発電を事業として行うのであれば申請はほぼ必須です。
申請の必要・不要は、各自治体のホームページに記載されており、それぞれ以下のように表や文章での解説があるためそちらをご参照ください。
出所:飯田市「太陽光設備をお持ちのみなさま、償却資産の申告はお済みですか?」
(9)その他・場合によって必要となる手続き
ここまでご説明した手続きのほか、地方自治体で設定されている太陽光への補助金や助成金を受給している場合もあります。
自治体補助金については、設備規模が10kW未満の住宅用に対して補助金を設定することがほとんどですが、念のため設置された自治体へ確認しておいたほうが良いでしょう。
遠隔監視サービスのID・パスワード引き継ぎも要チェック
見落としがちなのが、遠隔監視サービスにログインするためのIDやパスワードの引き継ぎです。契約の名義変更をしても、IDやパスワードが分からなければログインできずに画面を閲覧できません。
インターネット回線の名義変更を行う際は、プロバイダの名義変更も別途必要になることもあるので注意しましょう。
以下、名義変更時に必要となる申請の一覧です。再度確認しておきましょう。
申請一覧 (クリックで各項目に飛びます) |
申請先 |
国 |
|
電力会社 |
|
法務局 |
|
メンテナンス業者 |
|
保険会社 |
|
機器のメーカー・施工業者 |
|
自治体 |
|
以前の所有者 |
2.太陽光発電の名義変更のポイント
太陽光発電の名義変更を行う際は、以下のポイントを意識しておきましょう。
- 売電契約は「新規」ではなく「継続」を
- 複雑な申請は仲介業者に代行してもらおう
- 贈与税・相続税が発生する場合もある
売電契約は、新規契約として申請すれば売電単価が変更されて、ほとんどのケースで譲渡前の売電単価よりも下がります。そのため、継続契約を行う方向で手続きを進めましょう。
また、名義の変更にあたり必要となる申請には、複雑な内容の手続きが多々あることから、容易に対応できるもの以外は基本的に仲介業者へ依頼することをおすすめします。
なお、贈与や相続によって発電設備が譲渡される場合、それぞれ贈与税・相続税を課せられるケースがあります。親や兄弟、配偶者から資産を相続するとき、受贈者や相続人の立場に応じた税額が課せられる点に留意してください。
3.提出漏れがないよう、早めの手続きを
太陽光発電の名義変更は、親族からの贈与や相続、中古物件の売買取引時に必要となります。
名義変更にかかる期間は、50kW未満の場合1ヶ月前後、50kW以上の場合には3ヶ月程度を要します。
スムーズに名義変更を行うため、本記事で申請に必要となる情報を収集することはもちろん、以前の所有者と新たな所有者で円滑なコミュニケーションを取れるよう相互に配慮する意識が大切です。
新着物件
太陽光のプロに無料で相談!
ご検討は「何でも」お気軽にお問い合わせください
太陽光発電投資に関心を持っている方でこれからはじめようか検討している方にオススメの太陽光発電の完全マニュアルです!
・他の投資との比較
・なぜ投資会社は自分で買わないの?
・太陽光投資のメリットデメリット
・太陽光投資の流れ など
率直で、わかりやすいコトバで太陽光発電の基礎をしっかり理解して、お客様のより良い投資ライフにお役立てください!
物件のことならおまかせください!