2019.03.18 Mar
更新日時:2020.02.26 Wed
太陽光パネルの反射光が苦情に?太陽光投資の近隣トラブル事例2つと対策法
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太陽電池パネルの反射光が「光害」となり、トラブルとして取り上げられていることをご存知でしょうか?これは、太陽光電池パネルに太陽光が反射することで、近隣の家などに以下のような影響を及ぼすものです。
光害トラブルは、場合によっては実際に裁判になってしまうケースもあるため、事前に対策をする必要があります。
ここでは、太陽光の光害トラブルによって実際に起こった事例や対策の方法、さらにその他の気をつけるべきトラブルについても解説していますのでご覧ください。
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目次
1.反射光を原因とした太陽光投資のトラブル
太陽光パネルの反射光が原因で起こったトラブルには、以下のようなものがあります。
(1)実例:太陽光発電の反射光で室内温度が高温に(2015年)
2015年に、兵庫県姫路市で起こった事例です。2014年に建設された産業用太陽光パネルの近隣の住民(以下住民)が、パネルを設置した会社(以下設置会社)に、損害賠償とパネルの撤去を求めて訴えました。
住民側の訴えの内容は、産業用太陽光パネルが建設されたことで、
- パネルの反射光が自宅内に長い時間(日の出から午後2時ごろまで)入る
- 室内温度が最高で52度まで上昇した
というものでした。しかし、設置会社は事前の測定や説明を行なっており、反射光で上記のような影響が出ることはあり得ないと主張しました。
そして、住民側に本当にそこまでの被害があったのかの証拠の提出を依頼。一方で、設置会社は反射光の影響を抑えるために、太陽光バネルの周りに木を植えて、上から遮光ネットを被せて対策を施しました。
住民側が行なった測定では、反射光による実害を証明できずに、2017年に訴えを取り下げるという結果になりました。
(2)実例:屋根に設置したパネルの反射光が隣家へ差し込みクレームに(2012年)
2012年に、横浜市であった事例です。住民Aさんは新築の三角屋根のうち、北側と南側に太陽光パネルを設置しました。このうち北側の太陽光パネルの反射光が、隣のBさんの家に差し込みトラブルになりました。
これは、Bさんの家がAさんの家よりも一段高く、以下のように反射光が入りやすい位置関係だったためです。
Bさんは、Aさんとハウスメーカーを相手に、損害賠償とパネルの撤去を求めて訴訟を起こしました。結果としては、1審でAさんの損害賠償が命じられたものの、2審では一転して賠償する必要ないとの判決で収束。
この判決の理由は、調査結果が以下のようになり、反射光の実害が「受忍限度」を超えていなかったと判断されたためです。
- Bさんの家に反射光が差し込む時間は約30分〜約2時間程度であった
- 光の眩しさは、カーテンなどで被害を回避できるほどのものだった
しかし、結果としてAさんは、損害賠償の支払う必要はなくなったものの、太陽光パネルを撤去しました。これはAさんが、Bさんやそのほかの近隣住民との関係性を重要視した結果と思われます。
(3)反射光で実際に損害賠償が認められる可能性は低いが配慮は必要
反射光によるトラブルについて確認すると、実際に損害賠償が発生したり、パネルの撤去を命じられる可能性は低いといえるでしょう。
先ほど紹介した2つの実例についても、どちらも反射光による実害が「受忍限度」を超えていなかったため、訴えが認められないか、訴え自体が撤回されています。
しかし、最初の実例では設置会社が植樹と遮光ネットを設置して対策を施し、次の実例でも、自主的に太陽光パネルを撤去する結果になりました。
いくら損害賠償が発生する可能性が低いとはいえ、近隣の住民に関する配慮や対策は必要といえます。
特に太陽光投資は、期間が20年にもわたるので、トラブルを起こさないために様々な工夫をしなければいけません。
そこで、次の章では反射光が近隣に影響しづらくするための対策方法について、解説します。
2.太陽光投資家はどうやって反射光の対策をすれば良い?
最初に理解しておくべきことは、太陽パネルの反射光を完全に防ぐのは不可能ということです。ただし、反射光の性質を理解し対策をすると、トラブルを減らすことが可能です。
そこで、この章では反射光によるトラブルの対策のポイントを3つ、解説していきます。
(1)反射光の影響を受けやすい条件を知る
太陽光パネルを土地に設置する際は、北向きで設置しないよう注意が必要です。その理由は、北側にパネルを設置すると隣の建物が反射光の影響を受けやすくなるからです。南向きと北向き、それぞれに太陽光パネルを設置した場合を説明していきます。
このように、北側にパネルを設置すると上の図のような角度で太陽光がパネルに当たり、反射光はとなりの建物に向かって反射します。
反対に、南側に設置した太陽光パネルは上空に逃げるように反射するので、近隣の建物に反射光が当たる確率は低いといえるでしょう。太陽光パネルを設置するときは、このような性質を理解した上で設置する必要があります。
(2)業者に依頼し事前に測定する
太陽光パネルを設置する前に、業者に依頼して反射光を測定しましょう。パネルを設置した場合に、反射光が周りにどのような影響を与えるか正確に知るためです。
太陽光パネルが北側を向いている場合はもちろんのこと、北西や北東を向いている場合も反射光の強さや方角をシミュレーションする必要があります。反射光の元となる太陽の動きは時刻や季節によって変わるため、知識を持った業者に依頼すると、正確なシミュレーションをしてしもらえます。
(3)近隣住民とのコミュニケーションを大事にする
太陽光パネルを設置する前後で、周りの住民とコミュニケーションを取り、トラブルとならない環境作りが大事です。事前に太陽光パネルを設置すること、および設置により発生する影響を近隣住民に説明する必要があります。
またパネルを設置した後も、近隣住民の生活に悪影響がないか確認することで、信頼関係を構築することが大事です。このように、日頃から近隣住民とのコミュニケーションを心がけることで、反射光などでトラブルになる可能性や、訴えられる確率を低くすることができます。
3.反射光だけじゃない!太陽光投資に関する代表的なトラブル
太陽光投資で気をつけるべき点は、反射光だけではありません。ここでは、太陽光投資における反射光以外の代表的なトラブルをまとめました。
(1)雑草で太陽光発電所の周辺の景観が損なわれる
産業用の大規模な太陽光パネルを設置した場合は、パネル周りに雑草が生い茂り景観が損なわれ、近隣の住民からのクレームに発展するケースが非常に多いです。
さらに雑草が生えると、以下のような2次被害が発生する可能性もあります。
- ゴミの不法投棄、泥棒の被害にも合う可能性が高まる
- 隣地に雑草が侵入して迷惑をかける
- 害虫や害獣が発生する
- 火災の危険性が高まる
特にネズミなどの害獣が発生すると、敷地内の設備(コードなど)を噛みちぎり漏電が発生したり、太陽光発電ができなくなったりするので注意しましょう。
このような状態になると、近隣住民とのトラブルがさらに増えてしまう要因となるため、雑草への対策は入念に行う必要があります。
・対策:雑草防止設備の設置+こまめな草刈り
雑草への対策は、雑草を生やさないための対策はもちろんのこと、伸びてきた雑草を減らす努力も同時行わなければなりません。
雑草はとても強い生命力を持っているため、完全に生えないようにするのは不可能で、想像よりもはるかに早いスピードで成長するからです。
まず、雑草を生やさないための対策を以下の表にまとめてみました。
方法 | メリット | デメリット |
防草シートを敷く | 1度敷いておくと長い期間、雑草の数を減らせる | 初期費用もかかり、シートによって値段が異なる |
砕石を撒く | 砕石を撒くのみなので、低コストかつ手軽に行える | 砕石の間から雑草が減るため完全に減らすことは難しい |
コンクリート舗装 | 雑草が生えなくなる環境になるため、高い効果を得られる | 施設内全てを舗装すると、コストがとても高くなる |
以上の方法の中でも、防草シートはコストパフォーマンスに優れ、自分でも比較的簡単に行えるので、おすすめです。
次に、生えてしまった雑草に対する対策です。
方法 | メリット | デメリット |
草刈機で刈り取る | ・その場で雑草を刈り取ることができる | ・費用と手間がかかる ・誤ってケーブルなどを切断する可能性がある |
除草剤を撒く | ・低コストかつ手軽に行える ・雑草を除去できるだけでなく、今後生えてくる数も減らせる |
・施設の周りが田畑の場合は悪影響を与える可能性がある ・雑草の種類によって除草剤を使い分ける必要がある |
除草剤を撒く方が手軽に雑草の対策ができますが、雑草の種類によって除草剤を使い分ける必要があり、周辺への影響が出る可能性もあります。
このため、専門家に相談しながら使用すると良いでしょう。
関連記事:草刈りを怠ると発生する6つの問題!どう対処すべき?
(2)敷地内に侵入する恐れがあると苦情
太陽光発電所の施設は、子どもが施設内に侵入する可能性があると苦情になるケースがあります。
このため、フェンスなどを設置するなど、子どもが侵入しないような対策が必要です。施設内には高圧電流が流れているところもあり、子どもにとっては非常に危険。もし子どもが発電所内に侵入して事故が起これば、事業者側の責任となってしまいます。
また、フェンスを設置することで、子どもの侵入だけでなく盗難やいたずらを防ぐ効果も得られます。法律では発電所が50kw以下の場合、フェンスの設置は義務付けられていません。しかし子どもの侵入や様々な事故を防ぐために、どのような施設でもフェンスなどの対策は必要といえます。
・対策:フェンスを設置し、周辺住民と関係を築ける業者選定を
フェンスを設置する際は、安易に進めるのではなく、きちんと周辺住民の理解を得ながら進めることが大切です。なぜなら、フェンスを設置することで景観が損なわれ、苦情に発展する可能性が高くなるからです。
このような苦情は、発電所を設置する側が以下のような場合に発生する可能性があります。
- その地域に住んでいない
- 日射量がきちんとあり、しっかり発電できるという条件でしか場所を選んでいない
実際はこのような苦情があっても、発電所の建設やフェンスの設置が中止となる可能性は低いのですが、周辺住民との関係性は悪化したままになるでしょう。太陽光投資は20年以上にも及ぶ長期的な投資ですので、このようなトラブルは避けたいもの。
発電所を設置する業者をきちんと選定すると、周辺住民への対応も行なってくれるため安心です。逆に業者の中には、このような対応を行なってくれず、トラブルに発展してしまうケースもあるため注意しましょう。
(3)パワーコンディショナの動作音がうるさい
パワーコンディショナとは、発電した電気を家庭で使えるように調整する機械のこと。この機械は発電所において必須の設備ですが、独特の運転音がするため、苦情になるケースがあります。
発生するパワーコンディショナの運転音の大きさは、以下の通りです。
- 住宅用:50デシベル前後(エアコンの室外機と同程度)
- 産業用:70デシベル程度(セミの鳴き声、騒々しい事務所)
動作音はそこまで大きな音ではありません。しかし、この周波帯の音はモスキートーンと言われ、人によっては不快に感じる人もいます。特に産業用パワーコンディショナは、住宅用と比べても大きい音がするため、対策の必要性は高いといえます。
ちなみにパワーコンディショナは、発電しているときに作動するため、太陽光発電が行われない夜間は作動しない仕組みです。このため、「うるさくて眠れない」という苦情がくることはありません。
・対策:パワーコンディショナを民家から離すなどの工夫を
パワーコンディショナの動作音を軽減するには、離れた場所に設置するのがおすすめです。音は音源から離れるほどエネルギーが小さくなるためです。
また産業用パワーコンディショナの場合は、防御壁で囲むという方法があります。防御壁で囲むと音のエネルギーが壁で軽減され、小さくなります。防御壁にはパネルタイプやボックスタイプなど様々な種類があるため、設置されているパワーコンディショナに合ったものを選ぶと良いでしょう。
さらに、パワーコンディショナを静音タイプにするという方法もあります。種類によっては、住宅用で40デシベル、産業用で50デシベルに抑えられているものもあるため、他の方法と組み合わせると、大きな防音効果が期待できるでしょう。
4.トラブル回避には施工業者との入念な打ち合わせが必要
この記事では、太陽光投資における光害トラブルの事例だけでなく、様々なトラブルやその対策について解説してきました。太陽光投資は、発生する可能性のあるトラブル数がとても多いので、トラブルを回避するには施工業者との入念な打ち合わせが必要です。
太陽光投資のトラブル対策は、専門的な知識や経験が必要なため、業者の協力なしに成功させるのは難しいでしょう。事前に施工業者とシミュレーションを行い、近隣の住民への説明なども対応してもらうことで、安心して太陽光投資を始めることができます。
太陽光投資は長年にわたる投資ですので、トラブル対策を行って運営していきましょう。
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