太陽光発電、家庭用の買取価格は21円に。卒FITも始まる2020年以降の推移は?

今野 彰久

著者 今野 彰久

スマートエネルギー事業部の部長です。
自身でも太陽光投資をしているため、投資する方の目線でのご紹介を得意としています。

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2020年2月4日、調達価格等算定委員会の発表により、家庭用太陽光発電の買取単価が21円/kWh、産業用太陽光発電の買取単価が13円/kWhとなりました。


今回は、それぞれの詳しい買取価格について、および2020年以降の価格推移についてご説明します。

1.2020年度の電力買取価格は「21円・13円」

2020年度における電力の買取価格は、家庭用・産業用太陽光発電のどちらも前年度に比べて低下しました。具体的に、どの程度の買取価格が適用されるのかご説明します。

なお、この章で解説する買取価格は「委員長案」であり、決定事項ではない点に注意してください。

(1)家庭用(10kW未満)=21円

前年度までの買取価格は、出力制御対応機器設置義務の「なし」と「あり」によって異なり、それぞれ24円/kWhと26円/kWhでした。

しかし、2020年2月に公表された調達価格等算定委員会の委員長案により、家庭用(10kW未満)の太陽光発電所は21円/kWhになる見込みです。

出力制御対応機器設置義務の有無にかかわらず、同一の単価が適用されるか否かは現時点で判明していないため、今後の発表が注目されます。

(2)産業用(10kW以上)=13円

調達価格等算定委員会の委員長案によれば、10kW以上50kW未満の産業用太陽光発電は13円/kWh(+税)、50kW以上250kW未満の場合は12円/kWh(+税)になる見込みです。

加えて、10kW以上50kW未満の産業用太陽光発電は、発電した電気をすべて売却できる「全量買取」の対象外となり、選択肢は自家消費後の電気を売却する「余剰買取」のみに絞られます。

FIT制度の期間は、これまでと同様に20年間が適用されます。

2.太陽光発電をめぐる現在の状況

お金

太陽光発電投資は、現在どのような状況に置かれているのでしょうか。2020年現在の状況を解説していきます。

(1)家庭用で固定買取制度「FIT」期間終了へ

FIT制度が開始した2009年から、家庭用太陽光発電を導入していた事業者は、2019年にFIT期間の終了を迎えました。

これにより、2019年を機に卒FITの対象となった事業者の数は約56万件。

2020年以降も、毎年続けて卒FITを迎える事業者が増えてきます。

FIT制度の期間を終えた事業者は、以下のような選択肢が用意されています。

  • 大手電力会社に売電する
  • 新電力(大手以外の電気事業者)に売電する
  • 自家消費+蓄電や電気自動車の給電に活用する

FIT制度の終了後にどの程度の売電単価が適用され、どれほどの収益が期待できるのかは「太陽光投資、2020年度の売電価格は13円!卒FIT後の売電価格の動向も紹介」の記事で詳しく解説しています。

あわせてご参照ください。

(2)国による「税制優遇制度」はほとんど終了

かつては、中小企業や学校などを対象とした、再生可能エネルギー導入に係る減税措置が存在していました。

ですが、現在ではほとんどが終了しています。中小企業等経営強化法による減免措置はまだ存在していますが、これは余剰売電を対象としたもので、全量売電には適用されません。

しかし、税制優遇制度自体がなくなったわけではありません。国による支援から、地方自治体による税制優遇や補助金などの支援に切り替わりつつあるのです。

なお、地方自治体の支援は、助成の対象、補助金額、申し込み方法に至るまで自治体ごとにバラバラなので気をつける必要があります。

(3)太陽光発電の電力買取価格は下落傾向

お金

ここでは、太陽光発電の電力買取価格の推移を見ていきましょう。

以下の表を見てください。

年度

10kW未満の売電単価

10kW以上の売電単価

2009年

48円

2010年

48円

2011年

42円

2012年

42円

40円+税

2013年

38円

36円+税

2014年

37円

32円+税

2015年

33円(35円)

29円+税

2016年

31円(33円)

24円+税

2017年

28円(30円)

21円+税

2018年

26円(28円)

18円+税

2019年

24円(26円)

14円+税

2020年(案)

21円

13円+税

12円+税(50kW以上)

※括弧内の価格は「出力制御対応機器あり」の場合

このように太陽光発電に適用される電力の買取価格は、少しずつ低下しています。

下落率は緩やかになる可能性が高いものの、今後も下落基調は継続するものと考えられます。

2.太陽光発電をめぐる国の動向はどうなっているの?

政府

ここまで解説したとおり、太陽光発電の普及拡大は国策によって進められています。太陽光発電をめぐる国の動向が、電源の普及と投資の収益に大きな影響力を持っているのです。

今後、国は太陽光発電に関して、どのような政策を行おうとしているのでしょうか。

(1)政府の動き「エネルギー基本計画」

政府のエネルギー政策を見ていくうえで重要なのが、「エネルギー基本計画」です。

エネルギー基本計画は、国のエネルギー需要に関する中長期的な基本方針を示す政策です。

エネルギー基本計画では、東京電力福島第一原子力発電所事故の教訓を肝に銘じて、今後のエネルギー政策に取り組むと明記されており、再生可能エネルギーの拡大を図るとしています。

ここで重要なのは、再生可能エネルギーを主力電源化していく方向性がはじめて示されたことです。

①今後も再生可能エネルギーの普及に注力する方針

基本計画によると、2030年までは「温室効果ガス26%削減」と「エネルギーミックスの確実な実現」が大きな目標として掲げられており、再生可能エネルギーに関しては2030年度の導入水準を22~24%と見込んでいます。

2016年の時点で水力を除いた再生可能エネルギーの割合が7.8%であることを考えると、これからも政府は再生可能エネルギーに力を入れていく方針であるとわかります。

②「エネルギー基本計画」のなかの太陽光発電

太陽光発電については、世界的に低コストで導入が拡大していることを踏まえて、風力発電とともに「急速なコストダウンが見込まれる」電源に位置づけられています。

現在、世界の産業用太陽光発電における発電コストは10円/kWh。

政府は2030年までに日本の発電コストを7円/kWhまで低減するとしており、今後も発電コストを下げつつ買取価格が低下していくことはほぼ確実です。

(2)今後FIT制度そのものが終了?

2020年は制度内容の変更こそありましたが、これまで同様にFIT制度が継続されます。

しかし、今後はFIT制度そのものが廃止されて、新たな制度に代替される可能性があります。

時期は未定であるものの、スマエネの記事「太陽光発電のFIT制度が終わる!?2020年には関連法が改正される見込み」で解説しているように、FIP制度に変更される見込みなのです。

なお、すでにFIT制度の認定を受けている太陽光発電所は、FIT制度が終了しても期間満了まで同じ条件で売電を継続できます。

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3.太陽光発電投資を行う上での4つの好材料

では、太陽光発電に投資するメリットは、もうなくなってしまったのでしょうか。

そんなことはありません。太陽光発電投資にはまだ多くのメリットがあります。

(1)太陽光発電のシステム費用が安くなり発電効率も上がっている

先述の通り、買取価格は年々下がっていますが、太陽光発電設備や設置工事にかかる調達コストも同時に下がっています。

経済産業省によると、2016年の非住宅太陽光のシステム費用(モジュール・PCS、工事費・架台等)は平均28.9万円/kWですが、政府はこれを2030年までに10万円/kWまで抑えることを目標としています。

図

出所:経済産業省「太陽光発電のコスト低減イメージ」

利回りを確保するためにはイニシャルコストの削減が重要となりますが、システム費用が3分の1になれば買取価格の低下をある程度まで相殺できるでしょう。また、技術革新により太陽光発電設備が高性能化しており、発電効率も上がっています。

(2)太陽光発電所の運用ノウハウが積みあがっている

パネル

太陽光発電が普及したことにより、効率良く利益をあげるためのノウハウが発案されてきました。

ノウハウをひとつ挙げると、「過積載」という方法があります。

これは2016年頃から周知され始めた方法で、太陽光パネルをパワーコンディショナーの合計出力よりも多く設置することによって、従来では発電量が低下していた光量の少ない時間帯でも、ピーク時に近い発電量を確保できるというものです。

このようなノウハウをフル活用することで、買取価格が下がっても利益を確保できるようになっています。

関連記事:太陽光発電の利回りを高める「過積載」のメリット・ペナルティを防ぐ方法

(3)質の悪い太陽光事業の関連業者が減っている

太陽光バブル期には、数字を操作して詐欺まがいの高利回りを提示していた粗悪な業者も存在していました。

しかし、現在では市場が成熟して健全化してきており、そうした業者は減少しつつあります。

法律も改正され、投資家も太陽光発電の知識を求められるようになり、知識がなければ投資ができない状況になっています。

実績を蓄積している信頼できる業者を探すのも容易になり、業者選びに無駄な時間を割かなくてもよくなりました。

(4)産業用太陽光発電の中古市場も活性化している

お金

市場が成熟するとともに、太陽光発電設備やそれに係る権利の中古市場も活発化しています。

すでに運用実績のある単価30円/kWh以上の物件が中古市場に出回ることもあり、低リスクで売電事業を開始することも可能となっています。

収支のシミュレーションも立てやすいため、新しく太陽光発電設備を建設するのはリスクが高いと考えている投資家にもおすすめです。

4.新規に太陽光発電を始めるのであれば今がラストチャンス!

パネル

2020年現在に太陽光投資を行うのであれば、まだ全量買取の対象となる産業用太陽光発電所も多く残っているため、FIT制度の恩恵を受けることが可能です。

また、市場が成熟して運用ノウハウも蓄積しており、しっかりとした投資計画を立て、信頼できる業者を利用すれば利益を出せます。

新規に太陽光投資を始めるのであれば、今がラストチャンスでしょう。

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