2019.05.29 May
更新日時:2019.09.11 Wed
アレイとは?太陽光発電の売電収入に直結する3つのポイントを解説
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太陽光発電において、「アレイ」という言葉があります。
あまり耳馴染みのない言葉かもしれませんが、実はアレイ設計の条件によっては発電量が大きく左右されます。そのため、安定した売電収入を確保するためにも、アレイに関する正しい知識を身につけることは非常に重要です。
本記事では、太陽発電においてアレイがどのような役割を担っているか、発電量に影響を与えるアレイ設計を行う上で注目すべきポイントを解説してきます。
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目次
1.太陽光発電設備における「アレイ」の存在とは?
そもそも、アレイとはどういったものでしょうか。太陽光発電における、アレイの意味とその役割から解説していきたいと思います。
(1)アレイは太陽光パネルに関する単位の1つ
太陽光発電は、サイズによって単位が決めてられており、区別のためそのサイズごとに名称がつけられています。アレイは、その太陽光発電の単位の1つです。
まず、太陽光発電の最小単位となるのは、太陽電池「セル」です。
太陽光パネルをよく見ると、格子状になっているのがわかります。この1つ1つの格子こそが「セル」です。産業用でよく用いられる多結晶シリコン太陽電池では、セルサイズは一般的に6インチのものが使われます。
次に、太陽電池セルの集合体として1枚になったものが太陽光発電パネルで、その単位を太陽電池「モジュール」といいます。つまり、名称は異なりますが「太陽光パネル」=「太陽電池モジュール」なのです。
モジュールサイズはパネルメーカーによって異なりますが、基本的に60セルの1,600mm×1,000mm前後の畳1枚ほどのサイズのものが多いです。
そして、この太陽電池モジュールが架台に配置されてひとまとまりになった単位のことを「アレイ」といいます。
アレイは、太陽電池モジュールが縦と横に積み重ねられており、何段何列で組み上げるかは土地面積に合わせて決めていきます。そのため、アレイのサイズは太陽光発電を設置する土地の面積によって変わります。
一般的には、縦の段数は風圧の関係から3段〜5段、横の列数は土地の幅と他のアレイのサイズとのバランスを取って決めることが多いです。
アレイごとの重量やサイズといったアレイに関する情報は、架台・基礎の強度設計や土地への設備配置のベースとして行われています。
(2)アレイの発電量はどのように決まるの?
では、アレイによって発電量はどのように決まるのでしょうか。発電能力を示すアレイ出力は、次のように求めるられます。
たとえば、300Wのモジュールを4段10列(40枚)のアレイに配置した場合の出力は、12kWとなります。
この12kWのアレイを4つ設置すれば合計出力が48kWとなって、50kW以下の低圧太陽光発電設備が出来上がります。
アレイごとの発電量は、アレイ出力に年間の日射量を積算すれば算出できますが、次の章で述べるアレイ設計によって大きく変わります。
2.アレイ設計で重要な3つのポイント
アレイ設計において、発電量へ影響を与えるポイントは次の3つです。
- アレイ角度
- アレイ設置方位
- アレイのストリング設計
上記3つの条件をどう設定するかによって、効率良い発電ができるかどうか大きく左右されます。それぞれの条件をどのように決めるべきか、詳しく見ていきましょう。
(1)太陽光の入射角度を決める「アレイの角度」
アレイ角度とは、アレイと地面の勾配差のことで、アレイをどれだけ傾斜をつけて設置するか、という指標です。
なぜアレイ角度をつけて設置するのかと言うと、照射される太陽光の入射角度によって発電量が大きく変わるためです。
これは、太陽光モジュールの表面がガラス面であることが影響しています。
天気の良い日にガラス張りのビルが太陽光を反射するのと同じように、太陽光モジュールも太陽光を反射します。もちろん、ガラス表面には太陽光が反射しにくくなるコーティングなどの表面処理がなされているものの、それでもある程度は反射されるのです。
反射される太陽光の量は、ガラス表面に対する太陽光の入射角度によって変わります。最も反射されにくい入射角度が90°で、この入射角度90°からずれていくほど反射される量が多くなります。
入射角度が90°のときには、太陽光はモジュール表面のガラスで反射されず、太陽光のほとんどがモジュール内部、つまりセルへ照射されるのです。この入射角度90°となるのは、アレイ角度を30°前後にしたときです。
ただし注意してほしいのが、設置するエリアの緯度よって入射角度は微妙に変わるという点。日本の緯度で考えると、おおむね30°が最適なアレイ角度といわれています。ただ、実際にはエリアによって最適なアレイ角度は25°〜35°と少しバラつきがあります。
もし、あなたが各エリアごとに細かく知りたい場合は、NEDOの日射量データベースが便利です。ここでは、過去数十年間の日射量をデータベースとして、エリアごとの日射量を調べられます。角度指定の項目で最適傾斜角を選択すると、自動的にそのエリアのアレイ最適角度を教えてくれます。
例として、設置エリアが東京の場合を見てみましょう。以下が、実際にNEDOの日射量データベースで算出した最適なアレイ角度のグラフです。
グラフには、月別と季節別、そして年平均における最適なアレイ角度が示されています。
この中で、年平均である32.8°が東京における最適なアレイ角度ということになります。
関連記事:パネルの反射光が眩しい?太陽光投資が招く近隣トラブルと対策を解説
(2)太陽光の日射量を左右する「アレイの設置方位」
アレイ設計において、太陽光の日射について注意しなければならないポイントがもう1つあります。それが、アレイ設置方位です。
アレイ設置方角ということもありますが、つまりは東西南北のどちら向きにアレイを設置するかを示す指標です。1日の中で、どれだけ多くの日射量をアレイに取り込めるかで、発電量は変わります。
1日のうちで日射量が最も多くなるのは、太陽が南中を迎える昼の12時です。つまり、アレイ設置方位は真南向きにすると最も発電量を増やせます。
さらに、設置方位を南向きにすることで、1日を通して長く日射を得られるというメリットもあります。
朝夕の日射も比較的長い時間取り込めるため、効率よく発電ができるのです。ただ、設置する土地の状況によっては、設置方位を真南にすることが難しい場合もあるでしょう。そういった場合は、なるべく設置方位を南向きへ近づけるようにすることを心がけましょう。
また、太陽光の日射に合わせて方位を変えていく、追尾型太陽光発電というものもあります。日射方位に合わせて架台が自動で動き、常に太陽光を正面から受けられます。
発電量の向上が見込めるものの、追尾システムを駆動させるためには専用架台や専用プログラムが必要で、費用が高額になります。導入するかどうかは、費用対効果を算出して検討しましょう。
(3)発電量を左右する「アレイのストリング設計」
ストリングとは、アレイに設置したモジュールを直列に配線した回路のことです。アレイ内のモジュールは、必ずどこかしらのストリングに接続されます。そのため、アレイはストリングを並列につないだ1つのかたまりともいえます。
モジュールで発電した電気は、このストリング内のすべてのモジュールを経由して最終的にパワーコンディショナへ集約されるのです。
このストリング設計によって、発電量が大きく増えることはありません。ただし、発電量が減ることはあります。
ストリング設計によって、発電量が減る原因となるのは次の2点です。
- モジュール枚数がストリングごとに差がある
- 影の影響が考慮されていない
①モジュール枚数がストリングごとに差がある
ストリングに接続されるモジュール枚数が、他のストリングと差が発生しないように上下左右のパネルへと配線する必要があります。ストリングごとにモジュール枚数を揃えるのは、発電量の差異が生まれないようにするためです。
発電量の差異が大きく異なると、パワーコンディショナですべてのストリングの発電量を合算するときに、ロスが発生しやすくなるのです。
②影の影響が考慮されていない
ストリング設計の仕方によっては、影のかかり方でアレイ全体が売電できない状況に陥ることもあります。
たとえば、以下のように電柱の影がかかったと仮定します。
この場合、3つのストリングすべてに影がかかります。影のかかったモジュールは通電できない状態になるため、ストリング内の電気の流れをせき止めてしまいます。
すると、パワーコンディショナへ送電ができなくなることで、アレイ全体が売電できない状態になるのです。
このような影がかかる場合は、ストリングの組み方を以下のようにします。そうすることで、1つのストリングは犠牲になるものの、2つのストリングは生きた状態にできます。ストリング設計を工夫することで、アレイ全体が売電できなくなる事態を避けられるのです。
このように、影のかかり方とストリング設計によっては売電に大きな影響を与えます。
そのため、安定した発電を確保するためには、事前に現地調査を行って周知環境を確認した上で、影の影響を想定したストリング設計が重要となります。
3.システム変換効率とアレイの関係性
ここで、太陽光発電で重要な指標であるシステム変換効率とアレイに、どのような相関関係があるのかを把握しておきましょう。
(1)システム変換効率とは?
システム変換効率とは、すべてのアレイの発電量の合算値にパワーコンディショナの変換効率を積算したものを、アレイ全体への日射量と面積の積算値で割った値です。
つまりその太陽光発電システムで、照射された太陽の光エネルギーをどれだけ交流電流の電気エネルギーに変換できるか、ということを示しています。
たとえば、アレイ全体に照射された太陽光エネルギーが1000Wあったときに、最終的にパワーコンディショナから出力された交流電流のエネルギーが200Wであれば、システム変換効率は20%ということになります。
このシステム変換効率は、太陽光発電システム全体でどれだけ効率的に発電できるかという大まかな能力を計るときに、有効な指標です。
(2)システム変換効率と平均アレイ効率
一方で平均アレイ効率とは、アレイに照射された太陽の光エネルギーから、どれだけ直流電流の電気エネルギーに変換できるかを表した指標です。
具体的には、アレイで出力した電気量をアレイ日射量とアレイ面積の積算値で割った値が、平均アレイ効率です。
つまり、システム変換効率の一歩手前のアレイ単位での変換効率ということになります。
平均アレイ効率はアレイごとに算出されるので、システム変換効率では気づきにくいアレイごとの微細な異常を検知できます。
たとえば、1つのアレイだけ変換効率が低下していても、システム変換効率では誤差程度にしか見えず長期間気づかないこともあります。特に、アレイごとでパネル枚数やパワーコンディショナ容量、設置方位などが異なれば、システム変換効率だけで管理することは難しくなります。平均アレイ効率を用いて、より詳細な挙動を監視する必要が出てくるでしょう。
もちろん、アレイ発電量でもアレイごとの異常に気づけますが、天候が悪くて日射量が少ない場合でもアレイ発電量は下がります。そのため、日射量の低下も加味している平均アレイ効率を用いることで、監視の精度をより高められるのです。メンテナンスの観点でも、システム変換効率と平均アレイ効率、発電量を上手に使い分けていくことが大切です。
4.アレイ設計のポイントを抑えて発電量を確保しよう
アレイは太陽光発電の単位の1つで、太陽電池モジュールが架台に配置されひとまとまりになったものをいいました。
アレイ角度やアレイ設置方位、ストリング設計などのアレイ設計は、発電量を大きく左右する要素となります。太陽光発電の見積りや設計を検討する際には、太陽光パネルやパワーコンディショナの変換効率等にどうしても目がいきがちです。
たしかに個別の機器の性能も重要ではあります。しかし、太陽光発電投資において最も重要なのは、トータルで効率的に発電する設備設計ができるかという点です。アレイ設計は、その太陽光発電のトータル設計のベースとなる重要なポイントです。
メンテナンス観点も含めて、適切なアレイ設計を行って効率的に発電量を確保できるようにしていきましょう。
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