2019.06.19 Jun
更新日時:2019.09.13 Fri
経産省が注意喚起!太陽光発電の定期報告の提出ルールを再確認しよう
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みなさんは、太陽光発電に義務付けられている定期報告を忘れずに提出しているでしょうか。もしかすると、そもそも定期報告とは何?という方もいるかも知れません。
そんな状態を危惧して、実は経産省から定期報告に関する注意喚起も行われています。実は定期報告の提出が漏れると、場合によっては売電ができなくなる可能性もあるのです。
そこで本記事では、太陽光発電の定期報告の基本情報と提出ルールについて解説していきます。
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目次
1.太陽光発電における定期報告とは?
太陽光発電では、設置する前に「事業計画認定申請」や「系統連系申請」を行う必要があります。定期報告を行わずとも、上記2つの申請が完了していれば太陽光発電の設置および売電をスタートさせられます。
では、定期報告とは一体どのような手続きなのでしょうか。
(1)定期報告は太陽光発電導入後の「実績報告」のこと
定期報告は、太陽光発電の導入後に経済産業省に対して行う実績報告のことをいいます。固定価格買取制度を利用して売電を行う場合、定期報告の提出は必須です。
太陽光発電以外では、風力発電などの再生可能エネルギーにおいても定期報告は提出する必要があります。
(2)太陽光発電の定期報告は3つ種類ある
定期報告には、次のような3つの種類があります。
- 設置費用報告
- 増設費用報告
- 運転費用報告
基本的にどれも、経済産業省に対して費用の実績に関する報告をすることになります。
実はこの3種類は、以前1つにまとまって「運転費用年報」として運用されていました。3種類になったことで提出ルールや内容も変わっています。
さらに、状況によって提出の必要かどうかも変わりますので、それぞれの概要を見ていきましょう。
①設置費用報告
設置費用報告は、太陽光発電を設置したときに必要な報告です。
設備や土地、工事など設置にかかった費用を、経済産業省へ報告することになります。報告は、設置後の決められた期間中に1度だけ行います。
②増設費用報告
増設費用報告は、すでに設置している太陽光発電に太陽光パネルを増設して容量を増やす際に必要な報告です。
増設するために導入した設備や土地、工事などでかかった費用を、経済産業省へ報告することになります。報告は設置費用報告と同様に、増設後の決められた期間中に1度だけ行います。
③運転費用報告
運転費用報告は、太陽光発電を稼働した後、運用している間に定期的に必要な報告です。
太陽光発電を運転していく上で必要なメンテンナンスや保険といったサービス費用や、固定資産税等を経済産業省へまとめて報告します。1度で済む設置費用報告や増設費用報告とは違って、固定買取制度が適用されている間は年に1度の報告を継続して行う必要があります。
2.経産省が太陽光投資家に定期報告を促す注意喚起
太陽光発電の定期報告は、設置者の義務です。
しかしながら、定期報告に罰則規定が定められていなかったこともあり、提出しない設置者の方も多かったようです。そのような背景から、2018年7月23日に経済産業省の資源エネルギー庁から「定期報告に関するお知らせ(注意喚起)」という文書が公示されました。
(1)定期報告の未提出に対して太陽光事業者へのペナルティが明示された
公示された文書では、FIT制度の認定者が経済産業省大臣に対して定期報告を行うことを、法令で定めていると改めて示しています。
また、文書中に「時期を過ぎても定期報告を御提出いただけていない事業者の皆様」とあるため、やはり定期報告が満足に提出されていなかった状況がうかがえます。そして、これまで具体的に定められていなかった定期報告の罰則規定が、この注意喚起で初めて明文化されました。
定期報告を怠った際のペナルティは、経済産業省大臣の指導の対象となること、最終的には認定取り消しの可能性まであります。認定取り消しとなるのは、経済産業大臣の指導があった後になるとは思います。しかし認定取り消し=売電停止です。
具体的な判断基準や決定フローが示されていない以上、認定取り消し回避のために定期報告は確実に行うべきでしょう。
(2)実際に未提出の設置者に経産省大臣から指導
上記の注意喚起が公示された1ヶ月後の2018年8月31日、資源エネルギー庁から「定期報告に関する指導について」という文書が新たに公示されました。
内容としては、注意喚起をしたにもかかわらず定期報告の提出がなかった事業者に対して、経済産業大臣による指導が実施されたというものです。さらに、2018年9月20日までに定期報告がなされなかった場合は、認定取り消しになる可能性を改めて念押しされています。
このようにペナルティが発動した事実から、注意喚起というポーズだけではなく、ペナルティをしっかり行使していくという経済産業省側の姿勢が見て取れるでしょう。
この指導文書は、簡易書留で郵送されています。郵送されたことに気づかずに、認定取り消しになっては目も当てられません。住所変更など心当たりがある場合は、必ず所有者情報を見直しておきましょう。
(3)太陽光発電における定期報告の必要性とは?
なぜ経済産業省は、これほどまでに定期報告の提出を徹底させたいのでしょうか。それは、法令で定められているという理由だけではありません。
実は経済産業省が、この定期報告のデータをもとに固定価格買取制度の買取価格を決めているからなのです。次年度以降の買取価格は、経済産業省の「調達価格検討委員会」という組織で行われていますが、定期報告で申告される費用と売電収入額を突き合わせて収益化ができるような価格設定がされているのです。
そのため、定期報告の数が集まらなければ、データの信頼性が薄くなってしまい適正な買取価格の設定ができません。消費者に安心をして商品購入してもらうためにも、買取価格設定の明確な論拠を示すという意味で、定期報告は太陽光発電業界として重要なものなのです。
3.太陽光発電における定期報告の提出ルール
では、定期報告は具体的にどのように提出していくのでしょうか。
定期報告は種類が3つあるので、その種類ごとに提出ルールが異なるのはもちろん、発電設備の規模や稼働状況によっても提出ルールが変わります。だれが、いつまでに、どうやって、なにを報告しなければならないのかを1つずつ説明していきます。
(1)定期報告の対象となる太陽光投資家
定期報告は、太陽光発電の設置者すべてに義務付けられていますが、実は発電設備の規模によっては提出が必要ありません。
提出の対象者を、発電設備の規模と定期報告の種類ごとにまとめると、次のようになります。
発電設備の容量 | 設置費用報告 | 増設費用報告 | 運転費用報告 | |
10kW未満 (住宅用) |
J-PEC補助金受給 | 不要 | 増設後 10kW未満:不要 10kW以上:必要 |
経済産業大臣が求めた場合のみ必要 |
J-PEC補助金未受給 | 必要 | |||
10kW以上 (産業用) | 必要 |
まず、10kW以上の産業用では3種類すべての定期報告が必須になります。
一方で、10kW未満の住宅用ではJ-PEC補助金の受給状況によって変わります。J-PEC補助金は平成25年で終わったので、受給されているのはそれ以前に設置された方になりますが、設置費用報告が不要になります。
また一方で、J-PEC補助金を受給していない方は、設置費用報告が必須になります。増設費用報告は、J−PEC補助金の受給にかかわらず、増設後の容量が10kWを超えなければ提出は必要ありません。
運転費用報告は、別途案内があった場合のみ提出が必要です。
(2)定期報告の種類ごとに提出期限がある
定期報告は、「定期報告に関するお知らせ(注意喚起)」と「定期報告に関する指導について」にあったように提出期限があります。提出期限を守らなければ最悪の場合はペナルティとして認定取り消し、つまり売電停止になることは説明しました。
ただ注意しなければいけないのが、定期報告の種類ごとに提出期限の考え方が異なる点です。それぞれの提出期限の特徴を抑えて、ペナルティを確実に回避していきましょう。
①設置費用報告の提出期限
設置費用報告の提出期限は、太陽光発電の運転開始日から1ヶ月以内です。たとえば、運転開始日が2019年5月5日であれば、2019年6月15日が提出期限となります。
1度提出すれば、以降は提出する必要はありません。
②増設費用報告の提出期限
増設費用報告の提出期限は、太陽光発電の増設した後の運転開始日から1ヶ月以内です。基本的には、設置費用報告と同じ考え方になりますので、提出は1度のみで問題ありません。
ただ、複数回の増設を実施した際は、増設後の容量が10kW以上であれば増設をするたびに1回提出が必要となりますので注意しましょう。
③運転費用報告の提出期限
運転費用報告は、固定価格買取制度で売電をしている間の1年に1回、太陽光発電設備を運転して実際にかかった費用を報告する必要があります。1年分の運転実績から蓄積されたデータをもとに報告を行うため、設置した翌年に最初の提出期限が設定されることになります。設置した年は、提出の必要がありません。
運転費用報告は提出期間が少し特殊で、翌年の運転開始月から運転開始月の翌月末までとなります。
たとえば、運転開始日が2019年5月15日だったとします。このとき、提出期間は翌年の2020年5月1日〜6月30日の2ヶ月間となり、提出期限は2020年6月30日になります。
また、提出月によって運転費用の報告期間が変わります。提出月が5月の場合、報告期間は2019年5月〜2020年4月の1年間となります。
しかし、提出月が6月になると、報告期間は2019年6月〜2020年5月に変わります。
1年間分のデータ報告が必要なので、このように提出月が1ヶ月ずれると、報告期間も1ヶ月分ずれることになるのです。
最初の運転費用報告を提出した後も、年に一度の報告が必要になりますが、最初と同様の提出期間と報告機関のルールは変わりません。
(3)定期報告の提出方法は電子申請
定期報告の提出は、再生可能エネルギー電子申請というWebページから電子申請で行います。
申請の大まかな流れは、次のとおりです。
- 申請に必要な情報を事前に整理する
- 設置者IDで再生可能エネルギー電子申請にログインする
- 定期報告を選択する
- 必要事項を入力する
- 入力内容を確認して提出する
電子申請のため、インターネット環境とパソコンやタブレットなどがあればいつどこでも申請ができます。また、システム上で申請の進捗情強を確認できて便利です。
定期報告の詳細な提出手順は、「【画像付き】太陽光投資の定期報告マニュアル!」で解説していますので、合わせて参考にしてみてください。
①電子申請できない場合の申請方法
インターネット環境やパソコンなどを所有していない等の理由で電子申請を利用できない方のためには、書面で定期報告の申請が用意されています。提出する書類は、資源エネルギー庁のホームページからダウンロード・印刷もできますし、太陽光発電協会のJPEA代行申請センターへ郵送依頼もできます。
ただし、書面で申請する場合は、電子申請よりも時間がかかる点に注意が必要です。申請書の取得や提出の郵送にかかる時間と、JPEA代行申請センターが届いた書面から電子申請のシステムへ代行入力する時間が、電子申請するよりも余計に時間がかかります。提出期限もあるので、可能な限り電子申請で提出するのがオススメです。
また、複数の太陽光発電を所有している場合は、認定された太陽光発電設備ごとに申請が必要となりますので注意しましょう。
(4)定期報告の報告内容
定期報告で報告する内容は基本的にその費用になりますが、必要な情報が多岐にわたります。さらに、報告種類によってその内容も異なります。そのため、申請する前にあらかじめどういった情報が必要なのかを、ある程度整理をした上で申請に臨みましょう。
まずは、すべての申請に共通して再生可能エネルギー電子申請ページにログインするために、設置者IDとパスワードが必要になります。
①設置費用報告と増設費用報告の報告内容
設置費用報告と増設費用報告は、基本的に報告内容は同じです。どちらも設置にかかった費用を報告することになりますが、増設費用報告は増設部分のみにかかった費用となるので注意しましょう。
報告が必要な費用は、次のとおりです。
提出する費用項目 | 具体的な内容 |
太陽光モジュール | 本体費用 |
パワーコンディショナ | 本体費用 |
モニターシステム | 発電量等を監視するシステムの費用 |
架台 | 架台のみの費用 |
その他付属機器 | 接続箱や集電箱など太陽光発電設備に関係する付属機器の費用 |
廃棄想定費用 | 事前認定申請時に記入した費用 |
土地造成費 | 土地の整地にかかった費用 造成しなかった場合は0円 |
工事費 | 組立や設置、基礎、電気など工事にかかった費用 |
その他費用 | 手続き代行や進入禁止用のフェンスなどにかかった費用 |
接続費 | 電力会社の系統連系にかかった費用 |
値引き | 全体を一括で値引きされた場合の値引き金額 ※単体値引きは、各項目へ反映させる |
リース費 | リースしたものがあればその費用 |
費用に関するものは、設置業者との契約書や明細書で確認ができます。
設置業者が1つの業者ではなく、太陽光発電の設置・電気工事と、土地の造成・基礎工事で分れている場合は、それぞれの業者ごとに確認書類を準備する必要があります。もし、わからない部分があれば設置業者に問い合わせて確認をしましょう。
また費用以外にも、申請時には以下の情報も必要となりますので、合わせて確認しましょう。
申請情報(具体的な内容) | 情報の確認先 |
設置者IDとパスワード | 申請時のメール、設置業者 |
運転開始日 | 電力会社から届いた「連系開始のお知らせ」 |
系統接続距離 | 設置図面、視認、設置業者 |
設置に要した期間 | 記録、設置業者 |
太陽光パネル (メーカー/型番/枚数/合計出力) |
契約書、明細書、見積書 メーカーカタログ/Webサイト |
パワーコンディショナ (メーカー/1台の容量/台数/合計容量/出力制御対応の状況) |
契約書、明細書、見積書 メーカーカタログ/Webサイト |
モニターシステム (出力制御対応有無) |
契約書、明細書、見積書 メーカーカタログ/Webサイト |
架台 (メーカー) |
契約書、明細書、見積書 メーカーカタログ/Webサイト |
その他付属機器 (機器の詳細) |
契約書、明細書、見積書 メーカーカタログ/Webサイト |
工事 (業者名称など) |
契約書、明細書、見積書 |
その他費用の内容 | 契約書、明細書、見積書 |
柵・塀の設置状況 | 写真もしくは現地確認 |
標識の設置状況 | 写真もしくは現地確認 |
電子申請ではなく書面で提出する場合は、以下の情報も追加で必要となります。
申請情報 | 情報の確認先 |
設置者情報 | 認定通知書、設備情報参照画面 |
設置ID | 認定通知書、設備情報参照画面 |
発電出力 | 認定通知書、設備情報参照画面 |
設置状況 | 設置図面、現地確認 |
②運転費用報告の報告内容
運転費用報告で報告が必要な費用は、以下のとおりです。
提出する費用項目 | 具体的な内容 |
土地賃借費 | 太陽光発電の設備を設置するための土地賃借にかかった費用 |
修繕費 | 故障や劣化等によって修繕した際にかかった費用 |
保守点検費 | メンテナンスや定期点検等にかかる費用とその内訳 |
事務所経費 | 事務所にかかった費用 ※自宅を事務所とする場合は利用割合分を計上 |
人件費 | 法人の場合で他業務も兼務している場合は時間等で按分した費用 |
保険費 | 対自然災害・対盗難の動産保険にかかった費用 また、太陽光パネル・パワーコンディショナ等のオプションで用意されている有償メーカー保証にかかった費用 |
通信費 | 発電量の遠隔監視や出力制御対応のために利用しているインターネット回線にかかった費用 |
法人事業税 | 太陽光発電の売電利益に対してかかった課税金額 |
固定資産税 | 太陽光設備自体にかかった固定資産税や、太陽光発電設備の設置用に購入した土地にかかった固定資産税 |
リース費 | 太陽光発電設備の機器などのリースにかかった費用 |
廃棄想定費用 | 事業計画認定で申請時に記入した費用 |
廃棄費用 | 将来的に利用するために積み立てた廃棄費用の月額費用と累積金額 |
その他 | 太陽光発電を運用するためにかかった上記以外の費用 |
③2018年7月より廃棄費用も追加に
実は定期報告の注意喚起と同日の2018年7月23日に、「廃棄費用(撤去及び処分費用)に関する報告義務化について(周知)」という文書が公示されました。これによって、運転費用報告に廃棄費用に関する項目が追加されました。
対象となったのは、10kW以上の太陽光発電すべてです。廃棄費用が追加されたのは、FITが終了する2040年以降、太陽光パネルの大量廃棄が予測されているためです。FIT開始を機に太陽光発電が急速に普及した一方で、役目を終えた発電設備の不法投棄や放置の問題が顕在化することを懸念しての施策と思われます。
資源エネルギー庁の「事業計画策定ガイドライン」で、廃棄費用や積立額の記載を求めてはいたものの義務化はされていませんでした。それが今回、義務化になった形です。
廃棄費用の項目追加に伴って、廃棄費用の積立金額を入力する欄に、「各事業計画の廃棄費用そう定額に対する現在の積立金額の進捗を公表することに同意します」というチェック欄が追加になっています。
公表されたくない場合は、チェックを外しておきましょう。
4.提出ルールを把握して売電スタート後の定期報告に備えよう
定期報告は、売電スタート後に経済産業省への提出が必要な手続きで、設置費用報告と増設費用報告、運転費用報告の3種類があります。
提出方法は基本的にはすべて電子申請と共通ですが、3種類で提出期限や報告内容など提出ルールが異なります。そして、定期報告を期限内に提出しなければ、最悪の場合は売電取り消しになる可能性もあります。
十分に定期報告の提出ルールを把握して、売電スタート後にも慌てずに対応できるよう備えましょう。
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