【2020年】太陽光発電のコスト動向と、運用時における削減のポイント

今野 彰久

著者 今野 彰久

スマートエネルギー事業部の部長です。
自身でも太陽光投資をしているため、投資する方の目線でのご紹介を得意としています。

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日本は世界と比較して、太陽光発電にまつわるコストが高い水準にあるといわれています。


そのため、今後も低コスト化が進められていく見通しが立っており、これにともない設置コストも変動していくことが予想されているのです。


今回は、世界のコスト動向から見る日本市場の今後、および運用時におけるコスト削減のポイントについてご説明します。

1.太陽光発電のコストに関する最新動向

2020年現在、日本における太陽光発電の発電コストは、いまだに高い水準にあるといわれています。

実際のところ、世界と比較してどの程度の水準にあるのでしょうか。この章では、太陽光発電のコストに関する最新動向をご説明します。

なお、ここで使用されている「発電コスト」とは、「電力を生み出すためにかかるコスト」を指しており、電気の売却価格ではない点に留意してください。

(1)2020年現在のコスト相場

2019年7月に自然エネルギー財団が公表した「日本の太陽光発電の発電コスト現状と将来推計」によれば、調査時点での発電コストは以下の通り。

グラフ

出所:自然エネルギー財団「日本の太陽光発電の発電コスト現状と将来推計

発電コストの水準は、平均的なケースで1kWhあたり15.3円、効率的に運用できているケースでは1kWhあたり13.1円です。

これは、世界規模で見れば高水準にあり、海外ではすでに平均的な発電コストが1kWhあたり10円程度にまで低下しています。

グラフ

出所:調達価格等算出委員会「平成31年度以降の調達価格に関する意見

これらのデータから、日本における産業用太陽光発電の発電コストには、まだコスト低減の余地が大きく残っているものと考えられます。

(2)2030年のコストは1kWhあたり5~6円に?

将来的に、太陽光発電のコストはさらに低減していきます。

これは、国が2030年・2050年に向けて掲げたエネルギー基本計画の中で、再生可能エネルギーを主力電源化していく方針を示していることからも明らかです。

その中で、再生可能エネルギーの長期安定電源化に加えて、コスト競争力の強化の必要性を検討事項に挙げています。

具体的なコスト低減に向けた見通しとして示されているのが、以下のグラフです。

グラフ

出所:自然エネルギー財団「日本の太陽光発電の発電コスト現状と将来推計

発電コストは年々減少する見通しが立っており、2030年ごろには5~6円付近になる見込みです。

コスト低減の根拠としては下記の要因が挙げられており、今後の技術発展次第ではさらにコストを抑えられる可能性があります。

資料

出所:自然エネルギー財団「日本の太陽光発電の発電コスト現状と将来推計

2.太陽光発電所の設置~運用にかかるコストの相場

太陽光発電にかかるコストの内容がわかったところで、実際にコスト相場がどのくらいになるのかを確認していきましょう。

(1)太陽光発電所の設置コストの相場

太陽光発電の設置コストの相場は、FIT価格の下落に合わせて年々安くなっています。

以下のグラフは、事業用太陽光発電のコスト動向を示したものです。

グラフ

出所:調達価格等算出委員会「令和2年度の調達価格等に関する意見(案)

FIT制度がスタートした2012年に42.2万円/kWだった設置コストは、2019年には26.6万円/kWまで下落しているのがわかります。

では次に、もう少し設置コストについて詳しく内訳を見ていきましょう。

次のグラフは、構成部材のコストと工事コストを合計した、システム費用の推移と内訳を示しています。

資料

出所:調達価格等算出委員会「令和2年度の調達価格等に関する意見(案)

2019年度の設置コストの内訳を見ると、システム費用26.6万円/kWに対して太陽光パネルが14.1万円/kWとなっています。システム容量が50kWであれば、1,330万円の設置コストのうち約700万円は太陽光パネルのコストということです。

このことから、設置コストを抑えるために最も効果的なのは、太陽光パネルのコストを抑えることであるのがわかります。

(2)太陽光発電所のランニングコストの相場

ランニングコストにかかる費用は、2018年度においてどの程度のコストがかかるのでしょうか。

資料

出所:調達価格等算出委員会「令和2年度の調達価格等に関する意見(案)

2019年の平均値は、10kW以上全体で年間0.55万円/kWとなっています。つまり、システム容量が50kWのとき、年間のランニングコストは27.5万円かかることになります。

年間で見ると少ないように見えますが、20年間にすると550万円になります。2019年の設置コストが、システム容量50kWで1,330万円であることを考えれば、ランニングコストも利回りへ大きな影響を与えそうです。

特にランニングコストは、上記で述べたようにメンテナンスから保険、廃棄費用などの要素が含まれます。その必要性は事業者が判断することになりますが、もちろんどこまでサービスを利用するかによって大きくコストは変動します。

ランニングコストを抑えるためには、本当に必要なサービスかどうかの見極めが、非常に重要になるでしょう。

3.太陽光発電所の運用コストを抑える3つの方法

コスト

事業や投資で収益性を確保するためには、売上を上げることとコストを抑えることが必要です。

太陽光発電は多くの売電収入を得られるとはいえ、気象条件によって発電量に変動性があり、安定性があるとはいえません。

そのため、導入時に計画する事業収益性を達成させるためには、運用コストを抑えることが最も重要です。

具体的な方法としては、次の3つがあります。

  • 相見積りでコスト交渉
  • 補助金制度の活用
  • 中小企業経営強化税制の活用(自家消費の場合)

それぞれ詳しく見ていきましょう。

(1)相見積りでコスト交渉

運用コストを抑える方法として必ず実行すべきなのが、相見積りを取得して販売業者とコスト交渉を行うことです。

1社だとコスト交渉はしにくいですが、相見積りをしていれば他社のコストを引き合いに交渉をしやすくなります。

そのため、複数業者から相見積りを取得したうえで、比較検討を行うようにしましょう。

(2)太陽光発電関連の補助金活用

有効な方法の1つが、太陽光発電関連の補助金を活用することです。太陽光発電関連の補助金で助成しているのは、主に国と地方自治体の2種類があります。

国の補助金は、現在は太陽光発電単体に対しての補助金の助成はありません。一方で、各地方自治体では補助金が設定されている場合もあります。

例えば、東京都の品川区では、下記のような補助金制度が設けられています。(2020年2月時点)

太陽光発電システム設置助成事業(品川区)

補助金額

3万円/kW

補助上限金額

15万円

申請の受付期間

2019年4月1日〜2020年3月19日

※申請額が予算に達した時点で終了

リンク

太陽光発電システム設置助成事業

下記は、東京都の八王子市が設けている補助金制度で、こちらは受付時により細かな条件を満たす必要があります。

再生可能エネルギー利用機器設置費補助制度(八王子市)

補助金額

2万円/kW

補助上限金額

10万円

申請の受付期間

2019年4月10日〜

※予算の範囲内で先着順受付

リンク

再生可能エネルギー利用機器設置費補助制度

満たす必要がある条件は、以下の通り。

資料

出所:八王子市「再生可能エネルギー利用機器設置費補助制度

補助金制度は補助金の上限が設定されている特性上、募集後まもなく終了するケースが多くあり、手作業で1つずつ公式サイトを探すには大変な労力がかかります。

そのため、環境ビジネスオンラインの「事業所向け太陽光発電関連の補助金検索サービス」を活用し、その都度新しい情報をキャッチして制度を利用することをおすすめします。

(3)太陽光発電を利用した税制優遇もコスト対策の1つ

投資目的の太陽光発電からは外れるものの、工場の電力確保など自家消費を目的として太陽光発電所を導入するのであれば、税制優遇を活用することでコストの負担を抑えることが可能です。

中小企業の方の場合に限定されますが、中小企業等経営強化法という制度が利用できます。この制度は2019年度末までの期間限定でしたが、2019年の改定に伴って2021年3月31日までとなっています。

中小企業等経営強化法は、固定資産税の課税標準を3年間半減するだけでなく、法人税の即時償却もしくは税額控除、低利融資が受けられる制度です。

売電による投資目的の運用には使用できませんが、自家消費を前提として太陽光発電所を導入するのであれば検討すべきでしょう。

4.太陽光発電所のコストを確認するときの注意点

お金

太陽光発電にかかるコストを確認するときに、どのようなポイントに注目しているでしょうか。

正しいコストの見方がわからないと、比較のしようもありません。特にありがちなのは、太陽光パネルのコストだけに目が行くパターンですが、事業として考えるのであればそれは間違っています。

コストを確認するときに、注意すべき点は大きく2つあります。

  • 工事費も含めて考える
  • 売電収入とコストのバランス

非常に重要なポイントなので、それぞれ詳しく把握していきましょう。

(1)工事費も含めて考える

太陽光発電のコストを確認するときは、必ず全体コストで見ることを忘れてはなりません。

コストというと、どうしてもインパクトの大きい太陽光パネル単体に目が行きがちです。しかし、工事コストも含めた全体コストで比較検討することを心がけましょう。

太陽光パネルのコストがいくら安くても、それ以外の部材や工事費が高ければ意味がありません。また、利回りを確認する際には、ランニングコストも含めた利回りを考慮して判断しましょう。

保険やメンテナンスなどがアフターサービスとして契約内に含まれていると、設置費用は高くても利回りで見ると安くなっていることもあります。

できる限り大きな視点で確認し、コストに漏れがないかを意識しておきましょう。

(2)売電収入とコストのバランス

設置コストが安く済んだとしても、設置エリアの日射量が少ないなど、設備の設置場所に適していない環境であれば、期待するような売電収入は見込めません。

コストばかりに気を取られずに、売電収入とのバランスから十分に収益性のある事業計画を建てるようにしましょう。

発電シミュレーションは、メーカーごとに算出条件が少し異なるため、メーカーや販売業者から提示される発電シミュレーションにも注意したいところです。

シミュレーション内容が非現実的ではないか確かめる手段として、自身でシミュレーションを行うことも可能です。必要であれば、以下記事をシミュレーションの参考としてご活用ください。

関連記事:【2020年】太陽光発電の収支をシミュレーション!ポイントや最新動向も解説

6.太陽光発電はコストを抑えて収益の確保を

今回ご説明したように、太陽光発電にまつわるコストは急速に低コスト化しています。

この状況は、投資家にとって決して無関係ではなく、把握すべき「適正な設備導入コスト」が毎年更新されることにほかなりません。

投資目的で太陽光発電所を始めるのであれば、予想利回りが実際の利回りから大きく外れないよう最新のコスト動向をキャッチしておきましょう。

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