2019.11.30 Nov
更新日時:2019.11.30 Sat
太陽光発電と農業の両立?営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)とは
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太陽光発電投資を、農地で始められることをご存知でしょうか?
実は、農地を活用して太陽光発電を導入する方法があります。それが、営農型太陽光発電です。営農型太陽光発電は、就農人口の減っている農業業界を盛り上げる方策の1つとして注目が集まっており、その導入事例は増加傾向にあります。
本記事では、営農型太陽光発電のメリットとデメリット、および導入事例を解説していきます。
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目次
1.太陽光発電と農業を両立させる「営農型太陽光発電」とは
太陽光発電と農業を両立させる営農型太陽光発電は、どのような形態で営まれているのでしょうか。その概要を、詳しく解説していきます。
(1)営農型太陽光発電は農地で農業、上空で発電を行う
営農型太陽光発電は、農地に支柱を立てて、上空部に太陽光パネルを設置する形で発電を行います。
つまり、地上部分にある農地で農業を営みながら、その上空部で太陽光発電を運用することによって、2つの事業を1つの土地で両立させているのです。営農型太陽光発電は、このような形態を取ることから「ソーラーシェアリング」ともいわれます。
太陽光パネルの設置方法としては、屋根タイプと一本足タイプの2種類があります。
出所:農林水産省 食料産業局「営農型太陽光発電の優良事例」
屋根タイプの中でも、ビニールハウスの屋根へ設置するものと単にひさし(庇)のように設置するパターンに分かれます。
農地の上空に太陽光パネルがあると、農作物に太陽の光が行き届かなくなるのではと不安になるでしょう。しかし、その点は太陽光パネルに透過型のものを使う、もしくはパネル間に隙間を設けるなど、必要十分な光を取り込む工夫が施されます。
また、そもそも農作物はある一定量の光で十分なため、ある程度の遮光があっても問題にはなりません。このように設置方法は、設置する土地の状況や周囲環境、農作物に合わせて選ぶことになるでしょう。
(2)営農型太陽光発電が向いている人
営農型太陽光発電は、いま農家として事業を営まれている方や、手持ちの農地を生かしてこれから農業を始める方にとって、導入を検討する価値は十分にあります。
以下のような条件に当てはまる場合には、営農型太陽光発電が向いているといえるでしょう。
営農型太陽光発電が向いている人 |
すでに農業を営んでおり、農地を生かして収益をより伸ばしたい |
放置している農地があり、有効活用したいと考えている |
農業を始めたいと考えているが、収益性の低さに課題を感じている |
なお、営農型太陽光発電における「事業の主体」はあくまでも農業であるため、本腰を入れて作物栽培を行うという前提は必要です。
2.太陽光発電と農業を両立した好事例
太陽光発電と農業を両立することで、一体どのような効果を得られるのでしょうか。農林水産省が公開している「営農型太陽光発電の優良事例」の資料をもとに、その実態を学んでいきましょう。
(1)ビニールハウスで水耕栽培と組み合わせた事例
群馬県のファームクラブは、ビニールハウスの屋根に太陽光パネルを設置し、営農型太陽光発電をグループ会社とともに運用しています。
項目 | 概要 |
設置タイプ | 屋根タイプ(ビニールハウス) |
設置場所 | 群馬県高崎市 |
発電設備下部の農地面積 | 16.1a |
栽培する主な農作物 | 水菜、ルッコラ、リーフレタスなど |
発電出力 | 110.8kW |
太陽発電設備の建設費 | 6,100万円 |
20年間の収支試算 | 5,010万円の売電所得 |
太陽光パネルに両面透過型パネルを採用しており、農作物への採光を考慮しつつ発電を行っています。また、ビニールハウス内の防水シートの色を白にすることで、反射光も余すことなく発電に利用しているようです。
収穫した農作物には「ソーラー野菜」のシールを貼り付けて販売し、他の農作物と差別化を図りブランド価値を高めています。
(2)地方農家と発電事業会社が共同運営する事例
千葉県の千葉エコ・エネルギーが運営する営農型太陽光発電は、「地方農家との共同事業」という少し特殊な運用形態になっています。
項目 | 概要 |
設置タイプ | 屋根タイプ |
設置場所 | 千葉県匝瑳市 |
発電設備下部の農地面積 | 13a |
栽培する主な農作物 | 大豆の有機栽培 |
発電出力 | 49.5kW |
太陽発電設備の建設費 | 1,600万円 |
20年間の収支試算 | 1,900万円の売電所得 |
売電事業は千葉エコ・エネルギー、農地は地方農家とあくまで事業の運営主体は別々です。その一方で、千葉エコ・エネルギーが得た売電収入の一部は、地域還元を目的に地方農家の合同会社へ利益配分されています。
地方農家は、その資金を利用して「農業の付加価値向上へ向けた耕作へ挑戦していく」という、地域貢献のバランスに優れた取り組みが実現しています。
(3)中山間地での後継者育成を目的とした事例
静岡県で営農型太陽光発電を行うOIKOS天竜も、お茶の栽培と売電事業を両立させている好例として挙げられます。
項目 | 概要 |
設置タイプ | 屋根タイプ |
設置場所 | 静岡県浜松市 |
発電設備下部の農地面積 | 7a |
栽培する主な農作物 | 茶 |
発電出力 | 49.5kW |
太陽発電設備の建設費 | 1,500万円 |
20年間の収支試算 | 1,000万円の売電所得 |
太陽光発電で得た売電収入は、後継者育成と茶製品関連の新産業開拓を目的に利用されています。これにより、住民の高齢化による茶畑の放置を防止し、次世代にバトンを渡す役割が営農型太陽光発電に期待されています。
3.太陽光発電と農業を両立させるメリット
上記で挙げた事例に見られるように、営農型太陽光発電にはさまざまなメリットがあります。
営農型太陽光発電のメリット |
売電と農業のダブルインカム |
耕作放棄地を活用できる |
低金利の融資で太陽光発電投資ができる |
(1)売電と農業のダブルインカム
営農型太陽光発電の最大のメリットは、やはり農業と売電の2つの収入源を確保できる点でしょう。
農作物は気象条件などの影響を大きく受けるため、農業の収入は安定しません。ほかにも、自然災害や異常気象で農作物が大規模な損害を受け、収入が激減するリスクもあります。
そのリスクヘッジとして、比較的安定した売電収入を確保できる営農型太陽光発電が役に立つのです。
(2)耕作放棄地を活用できる
営農型太陽光発電は、農地でありながら農耕を行っていない「耕作放棄地」を活用できます。
親族からの相続で農地を所有しているものの、遠方であったり他の仕事があるため利用せず放置していたりという場合もあるでしょう。田舎にあるため、買い手や借り手がつかず手に余っているというのはよく聞く話です。
耕作放棄地を一時転用して営農型太陽光発電を運用すれば、ただ税金を徴収されるだけの土地から売電収入を生む土地へと変身を遂げます。
(3)低金利の融資で太陽光発電投資ができる
太陽光発電投資は、数百万円から数千万円の資金が必要になるため、融資を受けてスタートするのが一般的です。営農型太陽光発電でも融資を検討することになりますが、営農型太陽光発電の場合は「スーパーL資金」という金利の低い融資を活用できます。
スーパーL資金は、日本政策金融公庫が取り扱う農家経営の支援制度で、市町村長の認定を受けた認定農家であれば利用可能です。
項目 | 概要 |
返済期間 | 25年以内 |
融資限度額 | 個人: 3億円(特認: 6億円)
法人:10億円(特認:30億円) |
金利 | 0.25%〜 |
※執筆時点での情報
通常のソーラーローンでも、金利が2〜4%程度になることを考えれば、かなり低金利であることがわかるでしょう。また返済期間や融資限度額も、ソーラーローンよりかなり好条件なので、ぜひ活用を検討しましょう。
4.太陽光発電と農業を両立させるデメリット
営農型太陽光発電は、収入源の拡大や耕作地活用などのメリットがありました。
その一方で、太陽光発電と農業を両立させるがゆえのデメリットも存在します。
営農型太陽光発電のデメリット |
農地一時転用の手続きが必要 |
支柱が大型農耕機の利用を制限する可能性 |
農作物には相性の善し悪しがある |
売電量は野立て太陽光発電にかなわない |
(1)農地一時転用の手続きが必要
営農型太陽光発電を実施するためには、必ず農地一時転用の手続きを行なって許可を取得しなければなりません。
農地一時転用の許可申請は、管轄の農業委員会へ手続きが必要です。
必要書類も種類が多いので、あらかじめ確認しておきましょう。
①一時転用の維持には再許可申請が必須
一時転用の許可は3年という期限が設定されているため、初回の許可申請後も原則3年ごとに再許可の手続きが必要です。
これにより、以前までは20年で6回の手続きが必要となり非常に手間でしたが、2018年に農林水産省から嬉しい発表がありました。営農型太陽光発電の推進を目的にして、一定条件を満たす場合に限り許可期間が3年から10年に延長されたのです。
条件は、以下のとおりです。
出所:農林水産省「営農型太陽光発電設備の農地転用許可上の取扱いの変更について」
ただし、再許可の申請回数が減ったとはいえ、手続自体が必要なことに変わりはありません。書類の準備など、手間がかかることは心に留めておきましょう。
②年1回の定期報告義務もある
太陽光発電所の稼働後に必要な手続きは、一時転用の再許可申請に加えて、年1回、農作物の生産状況の報告義務もあります。
一時転用の許可条件として、農業委員会へ毎年報告する義務が課せられているのです。あくまで本業は農業であるため、農作物の生産へ支障がないかをチェックされます。
原則として、近隣地域の農家と比べて平均単収が20%以上減少しないようにしなければなりません。
(3)支柱が大型農耕機の利用を制限する可能性
営農型太陽光発電を設置するために使う支柱が、トラクターなど大型農耕機の利用に制限をかける可能性があります。
太陽光パネルの設置高さや支柱の幅など、架台の設計には最大限の注意を払わなければなりません。
(4)農作物には向き不向きがある
栽培する農作物には、それぞれ営農型太陽光発電との相性があるので、選択肢が絞られるというデメリットがあります。
太陽光パネルが上部を覆うことで日当たりが悪くなるため、生育に「長い日照時間」が必要な農作物は営農型太陽光発電に適しません。
農業と太陽光発電を両立させるために、日照時間が少なくても育つ半陰性植物や陰性植物などの農作物を選びましょう。
(5)売電量は野立て太陽光発電に劣る
営農型太陽光発電は、野立て太陽光発電の売電量よりも劣ります。太陽光パネルの間引き設置や透過型パネルの採用で、野立てのように端から端までをパネルで敷き詰められないからです。
あくまで、農業をサポートする要素の1つとして太陽光発電を運用する、という意識を持っておきましょう。
関連記事:太陽光投資は超かんたん!?何も知らないド素人でも投資家になれた話
5.太陽光発電と農業の両立が相乗効果を生む
太陽光発電と農業を両立させる営農型太陽光発電は、農業経営の安定性や継続性に寄与するというメリットがあります。加えて、太陽光発電を低金利の融資でスタートできるなど、双方にメリットのある事業形態です。
一方で、農地一時転用手続きの手間や農業への制約も一部出てくるため、その点は注意しなければなりません。もし具体的な検討へ進むなら、農林水産省が公開している「営農型太陽光発電 取組支援ガイドブック」がまとまっていて参考になります。
取組事例だけでなく、始めるまでの手続きやチェックリスト、困ったときの相談先の掲載もあるので、是非活用しましょう。
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