2019.04.21 Apr
更新日時:2020.02.29 Sat
売電収入に直結する?太陽光パネルの「種類」による劣化率の違い
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世の中の機械や自動車そして建造物などはすべて、時間の経過とともに必ず劣化現象が起きてきます。もちろん、太陽光パネルも例外ではありません。
太陽光パネルの劣化は発電効率に関わるため、投資効果に大きな影響を与えかねないのですが、多くの投資家がそこに着目していないのが事実です。
このページでは、はたして20年という長い運用期間において、パネルの劣化を考えた時にどんな太陽光パネルを設置するのが有効的なのか。また劣化を防ぐ手段とはどのようなものがあるのか等を分かりやすく解説していきます。
知っていると知らないとでは投資効果に差が出るので、しっかりと学んでいただきパネル購入の準備に活かしてください。
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目次
1.太陽光パネルの種類について
太陽光パネルの劣化について説明する前に、太陽光パネルの種類を簡単に理解しておきましょう。現在、実際に投資用として普及している太陽光パネルは、大きく2種類に分類されます。
- シリコン系
- 化合物系
このうち「シリコン系」は、その中でも「結晶系」と「非結晶系」に分けられます。「結晶系」は「非結晶系」に比べて、気温の温度上昇による発電ロスが大きいというデメリットがあります。
しかし、「非結晶系」よりもエネルギー変換効率が高いため、投資物件向きのパネルとして現在広く普及しているタイプです。一方「化合物系」は、電池の素材に多様かつ特殊な化合物を材料として用いており「シリコン系」の太陽光パネルに比べ、高い変換効率を発揮する高性能パネルです。
ただし、非常に高価なため、今のところ投資物件用としての採用率が低いことも事実。とはいえ、電力会社による固定買取価格が下がり続けていることも手伝ってか、変換効率が高い「化合物系」の太陽光パネルへの注目度が高まっています。
そのため、パネルメーカーによる生産性改善の動きが強まってきているようです。従って、近い将来「化合物系」パネルの低価格化が進み、投資物件向けパネルの主流となることが予想されます。
2.太陽光パネルが劣化しやすい部分と原因について
年中、タフな環境の下で休まず稼動しながら発電を続ける太陽光パネル。経年劣化があるのも当然だと理解できますが、実際に太陽光パネルのどの部分が劣化しやすいのでしょうか。
また、劣化が進む原因とは何なのか見ていきましょう。
(1)紫外線による太陽光パネル保護材の劣化
太陽光発電とは、発電素子である「セル(半導体)」が太陽エネルギーを電力に変換する仕組みになっています。
「セル」を湿気や高温そして衝撃から守るため、封止材の「EVA(エバ)」やパネル裏側の「バックシート」、そして表面の「強化ガラス」が用いられています。ですが、紫外線を浴び続けるうちに、これらの保護材が変質して劣化が始まるのです。
劣化が進むにつれ、パネルの内部に水が浸入しやすくなってしまい、水と封止材の「EVA(エバ)」が接触すると化学反応によって「酢酸ガス」が発生します。発生した「酢酸ガス」は「セル」の電極や配線を腐食させ、結果として発電特性が低下することになるのです。
保護材の変質は紫外線だけでなく、温度変化によっても生じることが分かっています。四季によって温度変化が著しい日本の環境下ならではの悩ましい現象です。
(2)自然現象がおよぼす太陽光パネルへのストレス
温度変化による保護材の劣化に加えて、雪や台風などの自然現象が太陽光パネルに与えるストレスも、劣化の要因のひとつとして挙げられます。
太陽光パネルは、架台レールに金具で固定されています。しかし架台の構造上、固定位置が限定されているため積雪や強風によるストレスを受けやすく、結果として保護材の変形や破損を招いてしまいます。
肉眼では確認できないごく小さな変形や破損でも、次第に劣化が進むにつれてパネルの内部に水が侵入することになります。
3.太陽光パネルの種類による劣化率の違い
特定国立研究開発法人「産業技術総合研究所(略称:産総研)」の研究結果によると、太陽光パネルを構成するモジュールの種類によって、経年劣化率が異なることが分かりました。
上の表を見てもらうと分かるように「化合物系」の太陽光パネルの劣化率が断トツで低く、「結晶系」においては、「ヘテロ接合(HIT)」の太陽光パネルに軍配があがっています。
しかし、HIT太陽光パネルは製造工程がかなり複雑なため、他の種類のパネルと比べ価格が高いという難点があります。
上記のデータを参考に、仕入れコストや経年劣化率などを総合して判断するなら、投資物件に用いる太陽光パネルに相応しい太陽光パネルは「シリコン系」の「多結晶」と言えるでしょう。
4.劣化を続ける太陽光パネルの寿命は何年間なの?
劣化すること自体は、機械設備なのだから仕方がないと思いつつも、投資家としては「では実際の話、太陽光パネルの寿命ってどれくらいの年数なの?」と心配になりますよね。
そこで、ここでは太陽光パネルの寿命について見ていきたいと思います。
(1)法定耐用年数は太陽光パネルの寿命ではない
太陽光パネルの寿命についてネット検索などを使って調べた際に、「法定耐用年数」という用語を目にした方がいらっしゃるかも知れません。
結論から言うと、この「法定耐用年数」は実際の太陽光パネルの寿命とは別のものです。「法定耐用年数」とは、太陽光発電を事業として行う場合、税申告に必要な「減価償却率」を求める際に必要となる耐用年数です。
ちなみに、10kW以上の太陽光発電設備においては、適用される「法定耐用年数」が17年と定められています。
関連記事:太陽光発電の耐用年数は何年?税金の計算方法やメンテナンス手順も徹底解説
(2)長期間運用されている太陽光パネルの事例
刻々と劣化し続ける太陽光パネルの寿命について、確固たる寿命年数が公表されているデータはありません。ですが、パネルメーカーによる20年~25年という出力保証を付けているところを見て察するならば、優に30年は製品としての寿命はあると考えて良いかも知れません。
そもそも太陽電池とは設計上、半導体の特性を利用して発電するものなので寿命は半永久的なのです。
2012年に経産省が固定買取制度をスタートしてから7年足らず。そのため、パネルの寿命を知る上での実績には事足りませんが、今のところ太陽光パネルの劣化によって発電がストップしたという事例は報告されていません。
①すでに30年以上も稼働している太陽光発電所がある
これを実証するように、買取制度とは関係なく約30年以上も前から発電を開始して、今もなお現役で稼動している太陽光パネルがあります。
千葉県佐倉市にある「佐倉ソーラーエネルギーセンター」は、国産パネルメーカーの京セラが太陽光発電の魅力を知ってもらおうと、PR用として1984年8月から稼働をスタートさせた出力43kWの低圧発電所です。
発電開始から今年で35年を迎えますが、何ら問題なく発電しているようです。
(3)条件次第では太陽光パネルの寿命は30年!それ以上も
太陽光発電の歴史はまだ浅く、パネル寿命に関するデータがないので予想の域を出ません。ですが、パネルメーカーによる20年以上の出力保証や太陽電池の特性、そして35年もの長期間ずっと運転を続けている「佐倉ソーラーエネルギーセンター」の事例を見る限り、太陽光パネルの寿命は30年以上と結論づけても問題ないと思われます。
ただし、施工の方法や用地の条件によって劣化の進み具合が変わりますので、そこは注意が必要です。
(4)シミュレーション時の発電量低下率は何%に設定する?
太陽光投資を検討している方は、お目当ての太陽光物件を購入する前に、必ず20年間の収支シミュレーションを作成するかと思います。その際は、経年劣化による発電量の低下を前提にシミュレーションしなければなりません。
では、年々どの程度の発電量低下を見込んでシミュレートしたら良いのでしょうか。一般的には産総研が示した経年劣化率を参考に、単結晶パネルであれば年0.7%ずつ、多結晶であれば年0.5%ずつの低下率を見込んでシミュレーションを作成するケースが多いようです。
しかし、聞くところによると、単結晶・多結晶に関係なく、年1%の低下率でシミュレーションを作成して融資元である金融機関に提出する投資家も相当数いるとのこと。年1%で低下率を見込んでおけば、それ以上に発電量が低下する可能性は低く、また自然環境に左右されやすい場所で事業を行う場合は、安全策の意味も含めて試算するとのことです。
5.太陽光パネルの劣化状況はこまめな確認が必須
これまで太陽光パネルが劣化しやすい部分や劣化が起きる原因について説明しました。しかし、劣化することは避けられない事実だとしても、劣化の進捗度合の確認をしないままでいると危険です。
なぜなら、当初にシミュレーションで見込んだ1%未満の発電量低下率を上回るような事態を起こしかねず、収支バランスに大きなダメージを与えてしまうからです。
劣化の進捗状況を発電量データと照らし合わせながら、こまめにチェックすることを心がけるようにしましょう。
(1)O&M会社に太陽光発電所の劣化状況を確認してもらう
とは言うものの、太陽光パネルの劣化状況を投資家自身が目視でチェックする訳にはいきません。そこで、定期点検やメンテナンスを委託するO&M会社にしっかりとチェックしてもらうことが最善の方法と言えるでしょう。
優秀なO&M会社はパネルが劣化しやすい環境や場所について熟知しています。また、O&M会社はパネル本体に異常がないかを目視でチェックするだけでなく、専用の検査ツールを用いて劣化が酷く進行している場所を特定することができます。
O&M会社とメンテナンス契約を結ぶ前に、これらの検査が可能かどうかを確認しておくと安心です。
①太陽光パネルの劣化状況が確認できる検査ツール
太陽光パネルの劣化の度合いを知る上で、優れたツールはいくつかあります。
「ストリングトレーサー」と呼ばれる検査ツールは、直列でつながった複数のパネルのストリングに「ストリングトレーサー」から電流を流して、電流値と電圧値の変化を測定し専用ソフトで解析します。
解析されて作成されたものは「I-Vカーブ特性」と言い、I-Vカーブの状態を見ることでストリング間のパネルに異常がないかが確認できます。
出所:ソラパト「I-Vカーブトレーサーによる特性検査」
また、太陽光パネルの表面に特殊なカメラで撮影して検査をする「EL発光検査(EL検査)」と呼ばれる検査方法もあります。
パネルのセルや、セルを結ぶセルラインと呼ばれる電線の破損が、ひと目で確認できる優れた検査ツールです。
出所:ソラパト「屋外EL検査機によるEL発光検査」
6.劣化箇所・問題の早期発見のためにできること
太陽光パネルの劣化箇所やトラブルを早期発見することは、運用面において非常に大事なことであることは理解していただけたと思います。
早期発見のカギを握るのは言うまでもなく、点検・メンテナンスを委託するO&M会社です。優秀なO&M会社としっかり意思の疎通ができていれば、最悪の事態を回避することが可能です。
ところが、優秀なO&M会社に委託する以前の問題で特に注意を払わなければならない事があります。
(1)運搬トラブルや施工不良によるパネルの損傷
経年劣化よりも、パネルの損傷が多発する原因に運搬時のトラブルや施工不良があります。原則として、太陽光パネルはメーカーによる全数検査を経て合格した製品のみが出荷されます。
しかし、運搬のための積み込みや荷下ろし、雑な施工によって太陽光パネルにマイクロクラックや、浸水の原因となる部材の変形を起こしてしまうのです。特に目にする光景で、職人がパネルの上に乗って設置作業をしていることです。
ガラス面には乗らないものの、パネルの縁に体重をかけて作業をすることが常態化しているようにも見受けられます。太陽光パネルは過度な荷重やテンションをかけてしまうとセルに影響を及ぼしてしまいます。
施工会社にはあらかじめ、そのような施工方法を取らないように必ず伝えておき、厳守してもらいましょう。そして、完成した物件の引き渡し前には、必ずストリングトレーサー等を使った「竣工検査」を行い、パネルに異常がないことを報告してもらった上で引き渡してもらうと安心です。
7.太陽光パネルの劣化を理解してから選定・導入を進めよう
過酷な環境下で四六時中の間、野ざらしになっているため劣化することは仕方ありません。
あまり神経質になり過ぎてテコ入れが過ぎれば、余計な出費がかさんでしまい見込んでいた投資効果が得られないなんてことも無いとは言えません。
- 設置環境に合ったパネルの選定
- 完成引き渡し前にストリングトレーサーを使った「竣工検査」
- 優秀なO&M会社との提携
パネルの経年劣化や破損トラブルの壁をクリアする要点として、以上の3点さえしっかり押さえておけば問題ないでしょう。
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