2019.05.31 May
更新日時:2019.09.11 Wed
系統連系は太陽光発電の売電に必要?基本から手続きの手順まで大公開!
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「系統連系」という言葉を耳にしたことはあるでしょうか。実は系統連系がされていなければ、太陽光発電で発電した電気を売電することはできません。
つまり、系統連系は太陽光発電で売電するために必ず必要な手続きなのです。そのため、スムーズに売電をスタートさせるためにも、系統連系について正しく理解することが非常に重要です。
そこで本記事では、系統連系について詳しく解説していきます。
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目次
1.太陽光発電における系統連系とは
まずは系統連系とはなにか、そしてなぜ売電するためには系統連系をしなければならないのか、といった基本的な内容について説明していきます。
(1)電力会社の送配電網と発電設備を接続すること
太陽光発電では、発電した電気を電力会社へ売電することで収入を得ます。売電するとき、発電した電気は売電メーターを経由して、電力会社の電柱・電線などの送配電網へ送電されます。
つまり、売電するためには電力会社の送配電網と太陽光発電が接続された状態でなければならないのです。
電柱や電線をはじめとした電力会社の送配電網のことを総称して「電力系統」と呼ぶため、この接続を「系統連系」といいます。系統連系は太陽光発電だけでなく、風力発電やエネファームといった他の発電設備でも必要になる手続きです。
(2)太陽光発電における系統連系の区分
系統連系は、発電設備の規模によって以下の3つの区分が定められています。
- 低圧連系
- 高圧連系
- 特別高圧連系
それぞれの区分による違いを、詳しく見ていきましょう。
①低圧連系
システム容量が50kW未満の太陽光発電システムが該当します。住宅へ送電する電柱など一般的な設備を使って200V以下の低圧電源へ接続するため、接続費用を抑えられるメリットがあります。
②高圧連系
システム容量が50kW以上2000kW未満の太陽光発電システムが該当します。高圧電源への接続となり、キュービクルという変電設備が必要になるため、低圧連系よりも接続費用や連系するまで時間がかかります。
③特別高圧連系
システム容量2000kW以上になると、特別高圧連系に該当します。特別高圧連系になると、個人の太陽発電ではなくいわゆるメガソーラーなどです。接続用の鉄塔など必要な設備がさらに増えるため、多額の費用と連系まで長い期間がかかることになります。
以下の表がまとめです。設備規模が大きくなるにつれて、費用と時間が増えていくことがわかります。
低圧 | 高圧 | 特別高圧 | |
設備規模 | 50kW未満 | 50kW以上2,000kW未満 | 2,000kW以上 |
費用 | ★ | ★★ | ★★★ |
期間 | ★ | ★★ | ★★★ |
2.系統連系をして太陽光発電を始めるには
系統連系が、売電するために必要な手続きであることはわかりました。では、具体的に系統連系するためにはどのような準備が必要なのでしょうか。
(1)電力会社の許可が必要
系統連系するためには、電力会社の送配電網に接続する必要があるため、当然ながら電力会社へ申請して許可を得る必要があります。これが「系統連系申請」です。
系統連系時に電力会社と結ぶ契約を「電力受給契約」というため、系統連系申請のことを「電力受給契約申請」ともいいます。実は厳密にいうと、系統連系と電力受給契約では意味が異なります。系統連系はあくまでも設備同士の接続許可であって、売電は関係ありません。
一方で、電力需給契約は売電(電力を受給)を許可しましょうという契約です。通常、電気は家の中で消費する分だけ電気系統から家側に流れます。
しかし、売電するときこれとは逆に、太陽光発電から電力系統側へ電気を流すことになります。
このことを「逆潮流」といいますが、そのために必要なのが電力需給契約なのです。
そして、電力受給契約には1つ注意点があります。それは、電力受給契約申請をしても電力会社が許可を出さない可能性もある、ということです。
これは、電力の需給バランスが関係しています。需給バランスとは、電力を使う需要と電力を賄う供給のバランスのことです。この需給バランスが崩れると、電気の品質が悪くなり、最悪の場合は大規模な停電を起こしてしまいます。
そのため電力会社は、需給バランスを保つために刻一刻と変化する需要量を24時間体制で常に監視し、需要に応じた供給量の調整を行っているのです。
需要量が多くないエリアで太陽光発電がたくさんあっても、供給過多で電気が余り需給バランスが崩れてしまいます。そこで、管轄エリア内の太陽光発電の接続可能数をみだりに増やさないよう、接続許可が下りないことがあるのです。
50kW未満の低圧案件では許可が下りないことはそう多くはないかもしれませんが、管轄の電力会社の状況を確認しておいたほうが良いでしょう。
(2)設備の準備と接続工事
太陽光発電から電力系統へ逆潮流させるためには、電力会社へ電気を送電するための設備が必要です。その役割を担っているのが、パワーコンディショナです。
パワーコンディショナは、逆潮流させるために以下の2つの機能を持っています。
- 交流電流への変換
- 電圧の調整
①交流電流への変換
太陽光パネルで発電した電気は、直流電流です。電力系統側に送電するためには、交流電流の必要があるのです。
パワーコンディショナにはインバータと呼ばれる装置があり、これが直流電流を交流電流へ変換します。この際に変換ロスが発生するため、パワーコンディショナにも変換効率という指標があります。メーカーにもよりますが、変換効率はおおむね95%〜98%程度が一般的です。
②電圧の調整
太陽光発電から系統側へ送電するためには、売電する電気の電圧を電力系統よりも高くする必要があります。電力系統側の電圧は一定の範囲ではあるものの、刻々と変化しています。電力系統側の電圧変化に合わせた電圧調整の役割も、パワーコンディショナが担っているのです。
電気は、電圧の高いところから低いところへ流れます。水の流れをイメージしてみてください。水は高いところから低いところへ流れますね。電気も同様です。
パワーコンディショナには、上記の2つの機能の他にも系統連系保護装置による安全停止機能も具備しています。電力系統側に停電など何かしらの異常が発生した際に、太陽光発電へのダメージを最小限に抑えながら、電力系統から切り離すことができます。
3.太陽光発電の開始に必要な系統連系の流れ
系統連系が行われるまでの、具体的な手続きの流れについて順を追って説明していきます。
(1)系統連系申請
まずは、系統連系申請を行い電力受給契約を電力会社と結ぶ必要があります。実は系統連系申請が、太陽光発電を設置するために必要な最初のステップです。
系統連系申請が下りなければ、国へ太陽光発電の設置許可を申請する「事業計画認定申請」も始めることができません。
電力受給契約の申請に必要な書類の種類や書式は、電力会社ごとに異なります。東京電力を例に挙げると、以下の6種類の書類が必要となります。
- 系統連系協議依頼票
主にパワーコンディショナの機器仕様を記入する書類です。その他、工事内容について周囲環境の状況や設備の設置概要を確認するために提出します。 - 単線結線図
太陽光発電システムの各機器の配線関係がわかるように、簡易的な図で表す書類です。 - 付近図、構内図
太陽光発電設備がどのような場所に設置されるのか、電柱との位置関係はどうなっているのかを示す図を記載した書類です。 - ELB仕様の分かる資料
ELBとは、漏電ブレーカー(漏電遮断器ともいいます)のことです。そのELBの機器仕様を記入する書類です。 - 認証証明書の写し
パワーコンディショナの安全性を示す書類で、いわゆるJET証明書のことです。すべてのパワーコンディショナは、このJET(電気安全環境研究所)にて認証を得なければなりません。そのため、メーカーが必ずPDFを公開していますので、それをコピーします。 - 保護機能の整定範囲及び制定値一覧表
パワーコンディショナのより詳細な機器仕様を示す書類です。こちらもJET認証書と同様に、メーカーHPで公開されています。
系統連系申請は事業主本人が申請することもできますが、実際には施工会社が代理申請を行うことがほとんどです。申請の流れも複雑で、申請書類も専門的な内容が多いため、施工会社にお任せすることをオススメします。
(2)連系接続工事と立会い
系統連系申請と事業計画認定申請のどちらも完了してはじめて、太陽光発電設備の施工・設置へ進めます。そして、太陽光発電設備の施工・設置が完了した後に、電力系統と連系をするための接続工事となります。接続工事では、売電ブレーカーの設置から太陽光発電ブレーカーへの接続などが行われます。
基本的に接続工事は電力会社が行いますが、接続工事後に電力会社・施工会社・事業主の3者立会いのもと最終確認を行います。具体的には、太陽光発電が電力系統へ接続して問題ないか、電圧等の数値に異常がないかをチェックしていくことになります。
4.系統連系にかかる費用は1.35万円/kW
系統連系の接続工事は電力会社が動くため、費用が発生します。系統連系にかかる費用は一般的に接続費用といわれ、事業主が負担することになります。接続費用は、設備規模や電力会社によって異なります。
ただ、接続費用のある程度の目安として、調達価格等算定委員会という買取価格を決める国の組織が毎年調査している報告書があります。ここでは、10kW以上500kW未満の太陽光発電における接続費用の2019年度想定を1.35万円/kWとしています。つまり50kWの太陽光発電であれば、67.5万円が接続費用としてかかることになるのです。
ただし、この金額は先ほども述べたようにあくまで目安です。たとえば、太陽光発電の設置場所の近くに電柱がない場合は、新たに電柱を設置する追加費用が必要になることもあります。
このように、接続費用は周囲環境によっても変わることがありますので、注意しましょう。
関連記事:【必読】太陽光発電の年次報告とは?未提出なら認定取り消しも
5.計画的な系統連系でスムーズに太陽光発電をスタートさせよう
系統連系は電力系統と太陽光発電を接続するという、売電には必須となる手続きです。電力会社へ許可をとる系統連系申請を行い、太陽光発電設備の設置完了後には電力会社に接続工事を行ってもらう、という流れになります。
このように、申請から契約、そして設置工事を間に挟んだ上で系統連系の接続工事を行うため、非常に時間がかかります。系統連系がスムーズに進まないと、太陽光発電の設備を設置完了し発電がスタートしているにもかかわらず、長期間売電ができないという状況に陥ることも事例としてあります。
スムーズな売電をスタートするためにも、系統連系は計画的に進めるようにしましょう。
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