2019.09.05 Sep
更新日時:2020.02.20 Thu
【2020年】太陽光発電の収支をシミュレーション!ポイントや最新動向も解説
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販売業者に提示されるシミュレーション結果は、それぞれ前提となる条件が違っていたり、物件購入に繋げるために楽観的な数値になっていたりする場合があります。
これらは投資家にとって不利に働くため、シミュレーションの方法を投資家自身が理解し、収支計算の違和感に気付けるよう意識することが大切です。
今回は、太陽光発電の収支をシミュレーションする方法、およびシミュレーション時に重視すべきポイントや最新動向をご説明します。
目次
1.発電シミュレーションの前に用意するもの
発電シミュレーションを行うにあたり、用意すべき情報がいくつかあります。
この章では、シミュレーション実行の事前準備に必要な、7つの項目をご説明します。
(1)設置する地域
地域により日射量は大きく変動するため、設置する地域の設定はシミュレーションに必須です。
都道府県だけでなく、市町村や番地まで具体的な場所を用意してください。
(2)発電量
設置する地域が決まれば、以下の計算式から発電量を割り出せます。
発電量=システム容量(kW)×設置場所の日射量(kWh/㎡)×損失係数×365(日)
項目 | 値の求め方 |
システム容量
(kW) |
太陽光パネルの公称定格出力に、設置する枚数を乗じて算出する。 |
設置場所の日射量
(kWh/㎡) |
NEDOが公開している全国の日射量データのうち、設置場所にもっとも近いエリアの観測データを適用。この際、太陽光パネルの方角・傾斜角度を考慮して算出する。 |
損失係数 | 電気がケーブル・パワーコンディショナを通過する際の損失。NEDOは73%を係数として推奨しているが、通常では75~80%とすることが多い。 |
なお、後述する情報サイトをもちいて発電シミュレーションを行う場合、設置する地域の入力のみで発電量が同時に算出されるケースがほとんど。
そのため、自身で発電量の計算まで行うケースは稀ですが、より詳しい発電量の計算は「日射量から発電量を算出!太陽光発電のセルフシミュレーション法」でご説明しています。必要に応じてご参照ください。
(3)パネルを設置する方角・傾斜
太陽光の入射角により発電量が変わるため、パネルを設置する方角・傾斜は発電シミュレーションに必要な情報です。
一般的に方角は南向き、傾斜角度は30度前後が望ましいとされています。
(4)太陽光パネルの種類
太陽光パネルは、シリコン系や化合物系など複数の種類に分かれており、その違いによって発電量が大きく変動します。
正確な発電シミュレーションのためには、太陽光パネルの種類を把握し、計算のためのデータとして利用する必要がある点に注意してください。
(5)設置予算
発電シミュレーションにより求めたい数値は「最終的にどの程度のリターンを得られるのか」という部分。つまり、利回りです。
利回りの計算には、発電量のほか「設置にかかる費用」を含める必要があるため、発電シミュレーションには設置予算の設定が欠かせません。
(6)売電単価
2020年を含む、これまでの売電単価は下記の通り。
年度 | 10kW未満の売電単価 | 10kW以上の売電単価 |
2020年(案) | 21円 | 13円+税
12円+税(50kW以上250kW未満) |
2019年 | 24円(26円) | 14円+税 |
2018年 | 26円(28円) | 18円+税 |
2017年 | 28円(30円) | 21円+税 |
2016年 | 31円(33円) | 24円+税 |
2015年 | 33円(35円) | 29円+税 |
2014年 | 37円 | 32円+税 |
2013年 | 38円 | 36円+税 |
2012年 | 42円 | 40円+税 |
2011年 | 42円 | ー |
2010年 | 48円 | |
2009年 | 48円 |
このうち、投資を検討している太陽光発電所の年度に応じた売電単価を、発電シミュレーションの計算に加える必要があります。
(7)売電期間
売電期間は、家庭用太陽光発電であれば10年、産業用太陽光発電であれば20年です。
2.実際にシミュレーションしてみよう!計算の流れ
この章では、年間発電量と収集を計算するためのシミュレーションについてご説明します。
(1)年間発電量をシミュレーション
前述の通り、年間発電量の計算はつぎの計算式から求められます。
発電量=システム容量(kW)×設置場所の日射量(kWh/㎡)×損失係数×365(日)
一例として、以下の条件をもとに発電量を算出します。
- 種類:産業用太陽光発電
- システム容量:50kW
- 設置場所の日射量:5kWh/㎡
- 損失係数:75%
68,437kWh=50kW×5kWh/㎡×0.75×365
上記の計算により、年間発電量は68,437kWhだと計算できます。
(2)年間発電量から収支を計算!
収支計算には、収入である「売電収入」、支出である「初期費用」と「ランニングコスト」を使います。
このうち、売電収入は年間発電量に売電単価を乗じた金額です。
売電収入の計算
先ほど算出した「68,437kWh」をもとに、売電単価が14円(税別)だった場合を想定して1年あたりの売電収入を計算してみましょう。
95万8,118円=68,437kWh×14円
なお、産業用太陽光発電は、売電期間として20年が設定されています。
20年間の売電収入は、1年あたりの売電収入である「95万8,118円」に20年を乗じた1,916万2,360円です。
初期費用とランニングコストを考慮して収支を計算
売電収入を求めたのち、初期費用と年間のランニングコストをそれぞれ20年分に置き換えれば、収支をシミュレーションできます。
たとえば、それぞれの項目が以下の通りだと仮定します。
- 年間の売電収入:95万8,118円
- 初期費用:1,000万円
- 年間のランニングコスト:20万円
この場合、年間の売電収入に20年を乗じた「1,916万2,360円」から、初期費用の「1,000万円」と20年分にランニングコストである「400万円」を差し引いた、+516万2,360円が20年の収支となります。
なお、ここでもちいたランニングコストとは、つぎのような出費です。
- メンテナンス費用
- 損害保険料
- ローンの利息
- 固定資産税
これらを考慮した利益率の計算は、「太陽光発電の「利回り」とは?表面・実質利回りの違いや相場観を解説」で詳しく解説しています。
(3)WEBからシミュレーションできるおすすめサイト3選
WEBからシミュレーションできるサイトは、下記の3つがおすすめです。
シミュレーションに組み込まれている前提条件はそれぞれ異なるため、同様の条件でシミュレーションしても多少の差異があります。
そのため、複数サイトを利用して、大まかなイメージを掴む目的で利用することを推奨します。
①三菱太陽光発電シミュレーション
三菱太陽光発電シミュレーションは、三菱電機が提供する家庭用・産業用太陽光発電の両方に対応した発電シミュレーション。
- 設置地域
- システム容量
- 設置方式(架台・屋根のいずれか)
- パネルの方位・傾斜角度
- 売電価格
これらの入力情報から、年間予測発電量や年間予測売電額を求められます。
数あるシミュレーションのなかで、手軽かつ詳細な結果が算出されるため、いずれのケースにもおすすめできるサイトです。
②太陽光発電システム導入シミュレーション
太陽光発電システム導入シミュレーションは、LIXILが提供する家庭用太陽光発電に特化したシミュレーションです。
- 屋根の形
- ソーラーパネルのタイプ
- パネルの方位
- 坪数・パネル枚数
- 日陰の状況
- 積雪の有無
上記を始めとする細かいヒアリングを経て、年間の予測発電量や削減できる光熱費、環境貢献度といった項目を算出してくれます。
産業用太陽光発電に対応していない点はネックであるものの、家庭用太陽光発電の導入を考えている場合にイメージを掴むならピッタリのサイトです。
③太陽光発電シミュレーション
太陽光発電シミュレーションは、住環境計画研究所が提供する家庭用・産業用太陽光発電の両方に対応した発電シミュレーションです。
計測したいエリアの郵便番号を入力し、候補に出されたいくつかの地域から近いものを設置場所を選択。
パネルの方角や角度、シミュレーションしたい期間等を入力することで、指定期間における発電量を求められます。
ただし、売電単価の入力欄がない都合上、収支のシミュレーションは自身で行う必要があります。
ザックリと発電量を知り、さまざまな売電単価を想定して収支をイメージをする場合におすすめできるサイトです。
3.シミュレーション時の注意点
シミュレーションを行う際、いくつか注意すべき点があります。
できる限り現実的なシミュレーション結果を求めるためにも、つぎのポイントを押さえておきましょう。
(1)設置予算に一部の費用が含まれていない場合も
シミュレーションを行うとき、設置予算のなかに一部費用が含まれていないケースがあります。
仮に一部の費用が欠けているなら、シミュレーション結果は実際より楽観的な数値が記載されてしまうため、確認は必須です。
- 設備の施工にかかる費用
- 土地の造成にかかる費用
- 接続工事にかかる費用
販売業者から、直接シミュレーションを渡された際、上記の費用を考慮しているか否か業者側に確認しておきましょう。
スマエネで掲載している物件は、いずれの費用も考慮してシミュレーションを作成しているため、設置費用が欠けている心配はありません。
(2)2020年以降、10kW~50kW未満の発電所には制限が追加
2020年2月4日に公表された「令和2年度(2020年度)の調達価格及び調達期間についての委員長案」により、10kW~50kW未満の発電所には以下2つの制限が追加されました。
- 自家消費要件:発電量の30%を自分で使わなければならない
- 地域活用要件:災害時に地域の電力供給に協力しなければならない
自家消費要件が定められたことで、10kW~50kW未満の発電所は発電した電力をすべて売却する「全量売電」が選択不可となりました。
100%売電できていた従来と比較して、売電量は70%にまで落ち込むため、収益性の低下が予想されます。
また、地域活用要件が定められたことで、災害時に非常電源として活用できるようにコンセントBOX、およびコンセントBOXに接続するためのケーブルの用意が必要となりました。
これにより、初期投資として従来以上の金銭的負担が強いられるため、2020年以降は10kW~50kW未満の発電所に不利な状況が続く見込みです。
ただし、2020年度から適用される内容は、2019年以前に認定を受けた太陽光発電所には適用されません。
2019年以前に認定を受けていれば認定年度の単価のまま運用できるため、投資目的で太陽光発電をスタートするのであれば「すでに認定を受けている物件」を選ぶことをおすすめします。
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(3)シミュレーションはあくまで「予測」
いかに多くの情報をもちいてシミュレーションを行ったとしても、シミュレーションはあくまで予測に過ぎません。
シミュレーション以上の収支を得られることもあれば、シミュレーションを下回る結果になるケースも往々にあるのです。
太陽光発電所の導入を決める参考材料の1つであり、確実なものではない点に注意してください。
4.太陽光発電投資を始める前には綿密なシミュレーションを
販売業者に提示されるシミュレーション結果は、それぞれ前提となる条件が違っていたり、物件購入に繋げるために楽観的な数値になっていたりする場合があります。
これらは投資家にとって不利に働くため、シミュレーションの方法を投資家自身が理解し、収支計算の違和感に気付けるよう意識することが大切なのです。
なお、スマエネでは投資家に誤解を与えないよう、実際に発生する支出をできる限り加味したシミュレーションをご用意しています。
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