2019.03.17 Mar
更新日時:2019.09.11 Wed
台風・地震対策はバッチリ?太陽光発電を災害から守る5つのポイントとは?
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太陽光発電を事業とするとき、自力では避けられない「自然災害」が最大のリスクとなって立ちはだかります。
しかし、自力では避けられないといっても、事業者に取れる行動はいくつかあります。被災してから後悔しても取り返しはつかないので、いまから対策について見直しておきませんか?
今回は、台風や地震がもたらす被害と、太陽光発電を災害から守る5つのポイントを解説していきます。
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目次
1.太陽光発電施設に関する台風の被害事例4パターン
引用:(気象庁「台風の発生数(2018年までの確定値と2019年の速報値)」)
気象庁を見れば、台風が発生している個数は年平均で20~30個ほどです。そのうちの何個かが上陸し、日本に被害をもたらします。太陽光発電が台風による被害例は、以下の4パターンです。
- パネル飛散
- 豪雨による冠水
- 土砂崩れ
- 防草シートのまくれ
(1)パネル飛散
パネル飛散の例として、2018年9月4日に四国や近畿に上陸した台風21号による被害があります。大阪市住之江区にある物流施設の屋根上に設置されていた出力6.5MWのメガソーラー、2万8160万枚のパネルのうち、約半分の1万3780万枚が損壊・飛散しました。ソーラーパネルの他にも、ケーブルラック本体の倒壊、ラック蓋、指示金具の飛散により被害が拡大。近隣の建物にも飛散し、建物を損傷させました。
その他にも、2014年9月の台風18号は京都や滋賀県に、2015年8月台風15号は九州に大雨の被害をもたらしましたが、その際も強風によってソーラーパネルが飛散し、近隣家屋や車両を損壊させています。このように強風によってソーラーパネルが飛散し、近隣に被害を与えることがあります。
(2)豪雨による冠水
豪雨による冠水の例としては、2016年9月の台風18号による記録的大雨があります。この台風によって栃木の鬼怒川堤防が決壊し、住宅や店舗などの約2万棟の建物が浸水、ソーラーパネルも冠水しました。
また、2016年8月には台風10号によって北海道帯広市にある太陽光発電所が浸水、損傷したこともあります。堤防が決壊し、河川から押し寄せた泥川や流木によってフェンスが損壊、架台の一部が太陽光パネルごと倒壊するなどの被害が起きました。
(3)土砂崩れ
台風による土砂崩れの被害としては、2016年9月に高知県の土佐市・須崎市で120mmの大雨による土砂崩れがあります。斜面に設置していたソーラーパネルが、土砂崩れにより道路上に崩れ落ちることがありました。
(4)防草シートのまくれ
産業用太陽光を行う場合、ソーラーパネルの下に雑草が生えないように、防草シートを敷き詰めることがあります。この防草シートが台風の風によってまくれ上がることもあります。防草シートを直すのには手間と時間がかかります。
2.太陽光発電施設に関する地震の被害事例2パターン
引用:(気象庁「過去の地震情報震度7」)
太陽光施設が地震によって被害を受ける事例は、2パターンあります。
- 土砂崩れ
- 売電不能による機会損失
(1)土砂崩れ
地震による揺れなどで地盤が緩み、土砂崩れが起こることでソーラーパネル設備が破損することも考えられます。2016年の熊本地震では、住宅用のソーラーパネルが破損した事例がたくさんでています。
(2)売電不能による機会損失
2018年9月の北海道地震では、売電不能という事態が発生しました。地震によって太陽光発電設備が倒壊したというわけではありません。地震の影響により、道内最大である苫東厚真火力発電所が停止。この事故により、北海道の電力の需給バランスが崩れ、日本で初めてのブラックアウトと呼ばれる全域停電に陥りました。
太陽光発電が健在だとしても、需給バランスが一機に崩れてしまうと、電力会社から発電網から切り離されます。そのため、送電できずに売電ができないとい事態に陥ることがあります。
産業用ソーラーパネルは、台風による強風や大雨に対して被害を受けることは多い一方で、地震による影響は受けていないのが実情です。もちろん地震への警戒を怠ってはいけませんが、まずは台風被害への対策を講じるのが先決だといえます。
関連記事:【被害画像多数】2018年度の被災から学ぶ!太陽光事業者が知るべき被害ケース3つ
3.今すぐチェックすべき台風・地震対策のポイント4つ
自然災害が来てから慌てても、冷静に対処して被害を食い止めることは困難。そのため、太陽光発電設備を建設する前に、あらかじめ対策をとりダメージを抑えるべきです。
(1)架台の強度を強くする
太陽光発電設備の見積もりを見るときに、ソーラーパネルとパワコン、kW単価だけを見ている方はご注意ください。忘れがちなのですが、架台の強度が災害時の被害を左右します。
国土交通省が定めた建築基準法をもとにして、架台の強度は等級で示されています。現在は等級1が最高であり、強度は「500年に一度程度の発生する暴風による力に対して倒壊崩壊せず、50年に一度程度発生する暴風による力に対しても損傷を生じない程度(国土交通省HPより)」とされています。
強度が高い架台は金額も高くなる場合が多いものの、被災への不安を解消する方法として効果的です。
(2)高水位に対応できる高さで設計する
大雨になると、太陽光設備は浸水してしまいます。ソーラーパネルやパワコンは浸水してしまうと壊れてしまいます。ですので、架台の高さを最低でも地面から60㎝以上の高さにして設計することが重要です。
架台を地面から高くする6つのメリット |
除草が簡単になる |
雑草が伸びたとしても陰になりにくくなる |
風通しが良くなることで、パネルの表面温度が下がりやすくなる |
雪による倒壊リスクが減少する |
地表の照り返し熱の影響を受けにくくなる |
周りの遮光物から影の影響を受けにくくなる |
地面から高くすることで、このようなメリットがあります。しかし、実際は地面スレスレに設置もすることもあるのが現実です。
なぜそのようになるのかというと、施工業者が仕入れ代金を低く抑えるためです。地面から高くするということは、それだけ材料費が増えることになります。
したがって、施工業者はその分だけ見積もり料金を下げて、一見魅力的なプランに仕立てている可能性もあるのです。しかし、台風の冠水対策や積雪などの対策にも、発電量をあげるという意味でも、架台を適切な高さに設計するほうが賢い選択だといえます。
関連記事:塩害とは?海岸付近で太陽光発電を始めるときの注意点
(3)被災時の耐久性について施工業者に相談する
施工する前に施工業者に対して、被災時の耐久性などの相談をした方が良いでしょう。なぜなら、なるべく利益は確保したいと考えた投資家が、知識不足のために誤った要望を出す可能性があるからです。
たとえば、ソーラーパネルを「風の逃げ道がないほど詰める」といった注文。一見すると、限られた土地を有効活用できる工夫のように思いますが、強風時に風の逃げ道がないためパネルが吹き飛ぶ恐れがあります。さらにこの施工は、災害時には被害がでるだけでなく、保証を受けられなくなってしまいます。利益に目をくらませた行動は禁物だということを、肝に銘じておきましょう。
(4)施工業者はネットで評判・口コミを要チェック!
各メーカーの製品は、災害が起こることを前提に作られていますので、強度などは計算しつくされています。では、なぜ災害に対して耐久性が追い付かないのでしょうか?
原因として、想定以上の災害に遭遇することや、施工業者が「メーカーの指定方法で施工していない」ということがあげられます。こういった粗悪な施工業者を避けるためには、事前にネット検索で評判・口コミのチェックが欠かせません。こうして信頼できる施工業者を見つけたうえで、災害に対する相談ができれば理想的です。
(5)ハザードマップで洪水・土砂災害のリスクを確認する
太陽光発電における土砂災害の原因の多くが、施工会社の知識不足と太陽光発電設備を建築基準法の工作物から除外したことが原因です。
民主党政権時代に、太陽光発電設備は「建築基準法の工作物から除外」されており、500kW未満であればほぼ届け出が必要ない状態になっています。そのため、工事規定使用前調査、使用開始届、主任技術者が不要。保安規定のみが必要ですが、投資用の場合はそれも実質不要なので、実際は野放し状態というわけです。
①問題のある場所にも太陽光発電所が建設される可能性は大
現在では、あからさまに問題がある場所にも、ソーラーパネルが設置してあるのが実情です。また、平野部に建設するのが理想なのですが、日本の場合は土地が限られているので森林を伐採してソーラーパネルを設置することがあります。
土砂災害を未然に防ぐために、人工的に斜面を作ったエリアには「雨が降った時の水路の設計」「植生マットの貼り付け」「根までは伐採しない」などの施工を施すのですが、ソーラーパネルの場合は、どうしても根まで伐採してしまいます。通常は残った根が水を吸うことで地盤が安定するのですが、そのセーフティネットもソーラーパネル建設は破壊をしてしまいますので、土砂災害が起きてしまうというわけです。
②製品自体の耐震性を過信するのは厳禁
どんなに製品が耐震性に優れていたとしても、地盤がしっかりしていないところに建設した場合、土砂に巻き込まれてしまいます。したがって、ハザードマップで事前調査をすることをおすすめします。
ハザードマップで危険とされる場所は「太陽光設備の設置場所としては不向き」だと、念頭に置いておきましょう。また、ハザードマップは基準が年々厳しくなってきており、今までは禁止区域に入らなかったのに、今年からは適用されるということもありますので注意が必要です。
4.運用中は「損害保険」で災害被害に備えよう
産業用太陽光発電は事業として行う以上、災害などの不測の事態に備えて保険を検討したほうが良いでしょう。なぜなら、産業用太陽光発電であれば、20年間は継続する前提で事業を計画するからです。高額な設備投資を行う以上、災害などの影響で多額の出費が必要になってしまうと事業が継続できなくなり、後に残るのは多額の借入だけという事態に陥ってしまいます。
- メーカー保証
- 施工の工事補償
- 販売会社による自然災害補償
任意の保険に入る前、まずは上記の3点を確認していきます。
(1)メーカー保証とは?
ソーラーパネルやパワコンには、以下の2つのメーカー保証があります。
- 製品保証
- 出力保証
①製品保証
製品保証は、万が一製品に故障があった場合、各メーカーが交換や修理を無償でしてくれるものです。ソーラーパネルやパワコンに対して、メーカーの多くが最低でも10年の製品保証を設けています。ただし、災害や事故などの不良による保証は範囲外です。
②出力保証
出力保証は、ソーラーパネルの発電量に対して一定期間の間、一定以上の性能を保証するものです。メーカーの公称値より性能が下がった場合に、パネルを交換してくれます。補償期間は10年から25年と、メーカーによって違います。
(2)施工の工事補償
太陽光発電のシステムメーカーは、施工に関する不具合については関与しません。施工工事が原因となる雨漏りや漏電などの不具合は、施工会社や販売会社の責任になります。このため施工会社は、このリスクを回避するために「工事賠償責任保険」に加入しています。しかし、この保証は施工に関する補償ですので、台風や地震などの災害には対応していません。
(3)太陽光発電所の販売会社による自然災害補償
上記の2つは自然災害に対応していませんが、メーカーが用意している自然災害補償でカバーすることができます。ただし、自然災害補償は太陽光の販売会社が加入する保険です。購入者が自然災害補償を利用するためには、この保険に加入している販売会社から購入することが必要です。
(4)太陽光発電に対応する損害保険に加入する
今まで説明してきたものでは、自然災害に対して対応できないものがほとんど。これでは不安が残ります。そこで考えていただきたいものは、損害保険への加入です。
- 企業総合保険
- 動産総合保険
- 施設賠償責任保険
- 休業補償保険
- 出力抑制保険
損害保険にはこのようなものがあります。
①企業総合保険
太陽光投資の保険の場合、ベースとなる保険が「企業総合保険」です。「企業総合保険」は事業体の火災保険です。
- 火災
- 落雷
- 破裂または爆発
- 台風、竜巻、暴風、旋風などの洪水、高潮を除いた風災
- 台風、暴風雨、豪雨などによる洪水、高潮、土砂崩れ、落石などの水災
- 雹災、豪雪、雪崩などによる雪災
- 建物外部からの物体の落下、飛来、衝突や倒壊
- 電気的・機械的事故
- 盗難
- 吸排気設備などの水漏れ
火災保険は、台風はもちろん、落雷、雪害、雹害、水害、盗難なども保険金の対象になります。ソーラーパネル、パワコン、架台、金具、ケーブル、監視システム、太陽光発電事業に関する一式が補償の対象です。
②動産総合保険
企業総合保険とカバーされているものは近いです。企業総合保険に含まれているものには、「電気的・機械的事故」が含まれています。これは太陽発電設備の電気のショートや機械の稼働で発生した事故などが含まれます。
企業総合保険と動産総合保険の違いは、太陽光発電の設備形態で分けられます。土地に定着して動かすことができないものは「企業総合保険」、移動が容易なものは「動産総合保険」の加入となるのが一般的です。これは、実際の設備形態を保険会社が確認してどちらを適用するか決めますので、複数の太陽光設備を持っている場合は注意が必要です。
③賠償責任保険
ソーラーパネルが飛散したことにより、第三者に対して身体的障害や財物損壊を与えた場合によって被る損害を、保険として支払うものです。少額の保険料でも支払限度は手厚いので、重大な事故も十分にカバーできるのが特徴です。
④休業補償保険
台風などの自然災害で発電が停止してしまった場合に、本来発生するはずだった売電収入を補償するのが休業補償保険です。企業総合保険や動産総合保険では収入分は補填されないのですが、休業補償に加入しておくと支払いが行われます。修理費という急な出費が必要な時に、売電収入もないという事態に備えておくことができます。
- 火災、破裂、爆発、落雷
- 風災、雹災、雪災
- 水災
- 突発的な事故
このような状況での発電停止時に適用されます。
(5)地震への対応は特約を検討しよう
今まで「損害保険」を説明してきましたが、該当する災害に地震が含まれてはいません。通常、地震保険といわれるものは、居住用の物件にしか対象になりません。したがって産業用の太陽光発電は家計地震保険では契約することはできません。
では、どのようにすれば良いのかというと、火災保険に特約として盛り込みます。このあたりは、保険会社とのやり取りで決めていくことになります。なお、地震の特約費用は設備代金の1~2%と、比較的費用が高額ですので悩みどころではあります。
(6)金融機関から融資を引き出す際には保険加入が重要
もしあなたが、太陽光発電設備を金融機関からの借入で賄おうとしている場合、金融機関はあなたに「何かあったときの対応」を求めてくることがあります。
金融機関からすれば、高額な設備費用のリスクには敏感になるのは当然のことです。その時に、リスクをしっかりと分解して「自分で解決できるリスクは自分で行い、不可抗力なリスクは保険で対応する」と金融機関に説明する必要があります。万が一の不足の事態に備えるという意味でも、自己負担による保険加入は検討すべきです。
5.台風・地震で太陽光発電所が壊れたらどうするの?
実際に台風や地震などの自然災害で、太陽光施設が壊れたらどうすればよいのでしょうか。ここでは被災後の対処法を説明します。
(1)破損したソーラーパネルを素手では触らない
ソーラーパネルは、自然災害で破損しても光が当たれば発電をします。したがって、水没してしまった太陽光施設は感電する恐れがありますので、十分注意をする必要があります。破損したパネルを触る場合は、素手では触らずゴム手袋を装着して行いましょう。
(2)廃棄物は太陽光発電の施工業者か販売業者へ
破損してしまった発電設備は、2017年10月現在明確な廃棄処分のガイドラインがありません。しかし、現在はリサイクル技術の発達により、適正処理を行える業者が増えてきました。廃棄の必要があるときは、JPEAが発表している「適正処理(リサイクル)の可能な産業廃棄物中間処理業者名一覧表」などを参考に引き取り先を探してみてください。
(3)環境的に良くないとされている太陽光廃棄物
太陽光施設の材料には、人体に有害とされている物質が多々含まれているとされています。環境省も、被災した太陽光パネルの保管に関して、発電や雨水による含有物流失を防ぐために表面をブルーシートで覆ったりすることを推奨しています。自分だけでなく、周りにも気を配ることが必要です。
6.オーナーは「万が一」をイメージした行動が必須
日本は台風や地震などの自然災害が多い国です。いくら太陽光設備の強度が保証されていたとしても、不測な事態は起こります。災害は自分ではコントロールはできませんが、自然災害に対する対策はコントロールすることはできます。投資家としてリスク管理は必須であり、特に台風対策は万全にすべき項目です。
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